台湾バッテリー製造業の振り返りと今後の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2021年1月第4週号発行>

〜台湾機械業界の動向が分かる〜

ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の1月第4週号を発行しました。今週号では、運搬機械設備業界、機械業界、生産機械設備メーカーの易発精機(EFC)、バッテリー業界について紹介します。

<210128号内容>
1 2020年台湾運搬機械設備製造業の振り返りと今後の展望
2 貿易協定の台湾機械産業に対する影響
3 生産機械設備メーカー 易発精機(EFC)
4 台湾バッテリー製造業の振り返りと今後の展望


●今週号の記事を一部紹介します。
<台湾バッテリー製造業の振り返りと今後の展望>
一、産業概況

 台湾のガソリン車・二輪車の新車に積載される大容量鉛蓄電池の需要は2020年下半期から回復したが、鉛価格の下落を受けて鉛蓄電池製品の価格は下方修正された。このため、20年1〜10月の台湾電池産業の生産額は前年同期比12.83%減、販売額は同7.64%減となった。バッテリーモジュール産業は20年に入って台湾市場における電動バイクの販売が低迷したことから、高単価製品の電動車両用バッテリーモジュールの出荷が減少し、20年1〜10月の生産額は同7.86%減、販売額は同2.15%減となった。

 このように、電池産業とバッテリーモジュール産業の生産額と販売額がそろって減少したことから、2020年1〜10月の台湾バッテリー製造業の生産額は前年同期比11.81%減、販売額は同6.42%減となった。
 2020年第4四半期の鉛価格は前年同期と比べて低い水準が続いたものの、台湾製自動車の新モデルの販売好調を受けて、鉛蓄電池の販売量は増加した。また、台湾製の産業用及び家庭用大型蓄電池の出荷が順調だったことから、20年第4四半期の台湾バッテリー製造業の生産額と販売額の減少幅は縮小し、20年通年の生産額と販売額は前年比で小幅減少となると予測される。

二、輸出入概況
輸出

 日本市場で家庭用大型蓄電池の需要が増加したことから、2020年1〜10月の台湾バッテリー製造業の対日本輸出額は前年同期比12.06%増となった。一方で、米国への無停電電源装置(UPS)と自動車用鉛蓄電池、マレーシアへのコードレス家電製品用バッテリーモジュールの輸出額はいずれも大幅減少したため、20年1〜10月の台湾当産業の輸出額は同16.19%減と大きく減少した。
 鉛蓄電池の出荷は2020年第4四半期から徐々に回復し、家庭用大型蓄電池の需要も好調を維持したことから、20年第4四半期の台湾当産業の輸出額は減少傾向が続くものの、減少幅は10%以下に縮小する見通しだ。しかし、コードレス家電製品用バッテリーモジュールの販売低迷が続いているため、20年通年の輸出額の減少幅は10%以上となるとみられる。

輸入
 台湾のバッテリーモジュールメーカーは中国に大規模な生産ラインを設置している。2020年に入って台湾では電気自動車(EV)の販売が好調だったため、EV用バッテリーモジュールの輸入需要が増加し、20年1〜10月の中国からの輸入額は前年同期比11.34%増と成長した。一方で、台湾市場では電動バイク用バッテリーモジュールの生産量が減少したことから、日本からの大容量リチウム電池の輸入は減少した。このため、20年1〜10月の台湾当産業の輸入額は同4.44%減で、20年通年の輸入額は10%以下の減少幅を維持する見込みである。


三、今後の展望
 大手製薬メーカーによって開発された新型コロナウイルス感染症のワクチン接種は2020年末から実施され始めたが、ワクチンの効果と接種のタイムスケジュールなど不確定要素が残っている。さらに20年12月よりアジアで第二波、第三波の感染拡大の兆しが見られる一方、イギリスで発見された変異種の流行が世界的に拡大する恐れがあるため、各国は国境封鎖の措置を再開した。新型コロナウイルス感染症は収束の兆しがなく、リモートワークと遠距離教育がニュー・ノーマル(新常態)となったことから、2021年上半期の世界市場におけるノートパソコン出荷台数は前年同期比で成長傾向を継続する見通しだ。また、第5世代移動通信システム(5G)の商用化がスタートし、5Gスマートフォンの買い替え需要が成長するとみられる。このため、21年上半期のスマートフォン出荷台数は前年同期比で増加し、バッテリーモジュールの需要をけん引する見通しだ。

 さらに、電力多消費事業者に関する規定が2021年から実施される予定で、電力多消費事業者は再生エネルギー発電設備の代わりにエネルギー貯蔵設備を設置することができるようになる。このため、エネルギー貯蔵設備に対する投資意欲が高まっており、エネルギー貯蔵設備動力用電池の需要が増加する見通しだ。これに対し、台湾電池製造業メーカーは生産能力の拡大を検討している。このうち、台湾水泥(台湾セメント、TCC)傘下のリチウムイオン電池メーカー、能元科技(E-One Moli Energy)は20年下半期に工場の拡大工事を開始した。

 総合すると、2021年上半期は▽ノートPC▽スマートフォン▽タブレットPCなど電子製品の販売は一定の水準を維持し、台湾のサーバー用バッテリーモジュールの生産規模は拡大する見込みだ。また、大型エネルギー貯蔵設備の稼働開始が追い風となることに加えて、原材料価格の回復を受けて電池製品価格も引き上げられ、21年上半期の台湾電池製造業の生産額と販売額は10%以上の成長幅となると予測される。

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