「見つける」から「決める」へ。QuantumCore、異常検知・劣化診断の“その先”を担う組合せ最適化ソフト「QUBO Studio」提供開始

〜 点検・補修、配送、人員配置の計画候補を、判断の根拠とともに提示。量子アニーリングを含む4系統のソルバーに対応し、SaaSとオンプレミスでの提供を想定 〜

株式会社QuantumCore

QUBO Studioの結果分析画面(下水道管路の点検・補修計画の例)。KPI、期別の計画マップ、シナリオ別の指標比較、最適解が選ばれた理由の解説を一画面で確認できる(画面内の数値はデモデータによる計算例です)

リザバーコンピューティングによるエッジAIを手がける株式会社QuantumCore(本社:東京都品川区、代表取締役CEO:秋吉 信吾、以下「当社」)は、組合せ最適化ソフトウェア「QUBO Studio」の提供を開始します。異常や劣化を「見つける」AIの“その先”、つまり「どこから、いつ、どう手を打つか」を決める計画づくりを支えるソフトウェアです。

QUBO Studioは、点検・補修、配送、シフトなど「どこを・誰が・いつ・どの順で」を決める計画を、業務の言葉と表データから最適化し、判断の根拠とともに示します。たとえばインフラ点検・補修では、最大120区間を対象に、予算や作業能力の上限、夜間施工枠、高リスク区間の対応期限を守りながら、どの区間をいつ処置するかの候補をシナリオ別に比較できます。当社エッジAIの検知・診断結果も計画の条件として取り込めるため(データ連携の方式は個別に構成)、「見つける」から「決める」までをひとつの流れで扱えます。

提供形態は、SaaSと、構内に設置するオンプレミス型のAI Boxを想定しており、業務やデータの扱いに合わせてご相談に応じます。

本リリースのポイント

・異常検知・劣化診断の“その先”へ。劣化度・予算・人員・期限などを条件に、点検・補修、配送、人員配置の計画候補をシナリオ別に示します

・答えだけでなく、判断の根拠まで。KPI、シナリオ比較、パレート図、感度分析で「なぜその計画か」を示し、レポートで共有できます。13の業務テンプレートと、自然言語・CSV・Excelの入力から始められます

・量子コンピュータがなくても使え、量子実機にもつなげられる。古典ソルバー、量子アニーリング(SQAシミュレータ/D-Wave実機へのAPI接続)、ハイブリッド、並列アニーリングの4系統から選べ、規模に応じた自動選択にも対応します

・現場の機器でのローカル最適化にも。設計した最適化モデルを、マイコンへの組み込みを想定したエッジ向け最適化コア「BOLT-QZ」(関連技術を特許出願中)に組み込む構成にも対応します(機器への組み込みは個別に構成)

・SaaSでも、構内でも。提供形態はSaaSとオンプレミス型のAI Boxを想定。生成AIのAPIや量子実機などの外部接続を使わない構成なら、データを社外に出さずに運用できます

1. 背景 ― 「見つける」の先にある、「決める」という難題

異常や劣化を見つける技術は、身近なものになりました。一方で、見つけた後に「どこから、誰が、いつ、どう手を打つか」を決める仕事は、今も担当者の経験と表計算に頼っています。

当社はこれまで、約10秒の正常データからマイコン上で学習する異常検知や、押し当てるだけのコンクリート劣化診断など、現場で「見つける」AIを届けてきました。しかし現場の価値を決めるのは、通知を受けた後の判断です。

その判断は、組合せ爆発との闘いです。訪問先がわずか20か所でも、回る順番は約243京通りにのぼります※1。予算・人員・期限・車両容量といった条件が絡むほど、「最善」を見つけ、その理由を説明することは難しくなります。

インフラの老朽化は、この課題をさらに重くします。国土交通省によると、2040年には道路橋の約75%、下水道管渠の約34%が建設後50年以上になる見込みです※2。要対応の箇所が増える一方で、予算と担い手は限られます。「見つける」技術の先に、「決める」技術が欠かせません。

2. QUBO Studioとは ― 現場の複雑を、次の一手に

QUBO Studioは、業務の課題を検証できる最適化モデル(QUBO※3)に変え、実行できる計画候補を比べて選べるようにするソフトウェアです。流れは4つのステップです。

STEP 1|言葉で伝える

解きたい課題を自然言語で入力し、CSV・Excel・JSONの業務表を取り込みます。テンプレートとウィザードが、目的と制約の整理を支えます。

新規作成画面。解きたい課題を言葉で入力すると、近いテンプレートと、想定される変数・制約の規模、推奨ソルバーが表示される

STEP 2|条件を設計する

変数・目的関数・制約条件を画面で確認し、重みやペナルティを調整します。数式とQUBO行列のヒートマップで、業務の条件がモデルにどう反映されたかを確かめられます。

QUBO設計画面。変数・制約条件・目的関数の構成、数式、Q行列のヒートマップ、変数と制約の関係図を見ながら、ペナルティの重みを調整できる

STEP 3|解を探索する

4系統のソルバーから選ぶか、規模に応じて自動で選択します。計算時間や探索回数を設定し、実行中の進捗も確認できます。

STEP 4|比べて決める

KPIと地図・ガントチャート・配置図で結果を把握し、予算重視・安全重視・バランス重視などのシナリオを比較します。パレート図と感度分析で選択の根拠を残し、PDF・HTML・Markdown・JSONで共有できます。

シナリオ比較画面。予算重視・バランス型・安全重視のシナリオを現状の計画と並べ、リスク低減率・総事業費・予算執行率などの指標で比較できる

一度つくった「入力→解析→QUBO変換→実行→可視化→レポート」の流れは、ノーコードのワークフローとして保存し、次の業務に再利用できます。オーナー・管理者・メンバー・閲覧者の権限設定により、チームでの検討にも対応します。

ワークフロー設計画面。入力取得からLLM解析、QUBO変換、ソルバー実行、結果の可視化、レポート出力までをノーコードでつなぎ、繰り返し使える手順として保存できる

3. 「見つける」から「決める」、そして現場へ ― エッジAIとつながる最適化

当社ならではの特長は、QUBO Studioを当社のエッジAIと組み合わせられる点にあります。現場で「見つけ」「わかり」、QUBO Studioで「決め」、現場の変化に合わせて「描き直す」。この循環をひとつの技術基盤で回せるのは、エッジAIから出発した当社だからこそです。

検知から最適化までの循環(構成イメージ)

現場からQUBO Studioへ渡すのは検知・診断の結果、QUBO Studioから現場へ返すのは計画と最適化モデルです。

① 見つける ― エッジAIデバイスが、異常をその場で捉える

設備に取り付ける異常検知デバイスは、約10秒の正常データからデバイス上で学習し、クラウドに頼らずに異常の兆候を検知します。コンクリート劣化診断デバイスは、表面に押し当てるだけで非破壊の劣化判定を行います。東京都下水道局でのAI打音検査によるコンクリート劣化診断では、アクティブセンシングで高い精度※4を達成しています。

異常検知用のエッジAIデバイス。設備に後付けし、デバイス上で学習から推論までを行う
コンクリート劣化診断デバイスのセンサー部。表面に押し当てて、非破壊で劣化を判定する

② わかる ― 状態を推定し、計画の“条件”に変える

検知結果や劣化の度合い、設備の状態は、そのまま計画づくりの条件になります。生データはデバイス側で処理し、計画づくりに必要な検知・診断の結果だけをQUBO Studioに渡す構成にできます。オンプレミス環境で外部接続(生成AIのAPIや量子実機)を使わなければ、データを社外に出さずに計画を最適化することもできます。

③ 決める ― QUBO Studioが、条件を守る計画候補を導く

集まった検知・診断の結果と、予算・人員・期限・車両容量などの制約から、「どこを・誰が・いつ・どの順で」の計画候補を導きます。予算重視・安全重視・バランス重視などのシナリオで候補を比べられるため、現場の判断にも、その説明にも使えます。

オンプレミス型のAI Box(イメージ)。QUBO Studioを構内で動かし、外部接続を使わずに計画を最適化する構成を想定

④ 描き直す ― 現場の変化に、エッジで応える

設計したQUBOは、エッジ向け最適化コア「BOLT-QZ」(関連技術を特許出願中)に組み込み、現場の機器(マイコンなど)で候補解を探索する構成にできます※5。BOLT-QZは、当社のリザバー計算技術の仕組みを組合せ最適化に応用したコアです。乗算を使わない整数演算で動き、マイコンへの組み込みを想定しています。観測値からQUBOの係数を更新するオンライン学習機能も備えています。

全体の“設計図”はQUBO Studioで描き、現場の変化に合わせてエッジで描き直す。検知・状態推定・最適化をひとつの循環にすることで、計画を一度つくって終わる資料から、現場とともに更新され続ける仕組みへと変えていきます。

4. 主な活用シーン

QUBO Studioは13の業務テンプレートと1つのベンチマークを備え、うち5業務は入力から結果確認までの操作デモ動画を製品ページで公開しています。なかでも、現場で測った劣化度を計画に反映するインフラ点検・補修は、エッジAIとの連携がとくに生きる業務です。

業務

決めること

確かめられる結果

インフラ点検・補修計画

限られた予算を、どの区間に・いつ使うか

期別の実施案、事業費・予算執行率・モデル上のリスク低減

配送ルート最適化

配送先を、どの車両でどう回るか

車両別ルートの地図、距離・使用台数・モデル上のコスト

シフト作成・人員配置

必要人数と希望休を、どう両立するか

シフト案、人数・希望の充足率、勤務数の偏り、モデル上の人件費

ごみ収集計画

集積所を、どの収集車でどう回るか

収集車別のルート、積載重量、モデル上の収集コスト

基板配置・配線候補の探索

部品の置き方で、配線はどう変わるか

配置と層別の配線候補、経路長・ビア数・未配線接続

ファン・モータの運転条件比較

冷却余裕と電力を、どうバランスさせるか

回転数の候補、モデル上の消費電力・冷却余裕・騒音

このほか、生産計画、在庫配置、スケジューリング、エネルギー配分、電力需給アグリゲーション、ポートフォリオ最適化、価格最適化、Max-Cutベンチマーク(Sparse800型)のテンプレートを用意しています。

配送ルート最適化の結果画面。車両ごとのルートを地図で確認し、走行距離や使用車両数、モデル上のコストを比較できる
シフト作成の結果画面。従業員ごとのシフト表と、必要人数充足率・希望充足率などの指標を確認できる
基板配置・配線候補の探索画面。部品の配置と層ごとの配線候補、ビア、未配線を確認できる(製造用の設計検査は別工程)

5. 提供形態・主な仕様

提供形態は、SaaSとオンプレミス型のAI Boxを想定しています。対象業務やデータの扱い、エッジ連携の有無に合わせて構成しますので、まずはご相談ください。

製品名

QUBO Studio(組合せ最適化ソフトウェア)

提供形態

SaaS/オンプレミス型のAI Boxを想定(詳細はご相談ください)

構成

ブラウザの画面と、最適化処理を行うバックエンド

テンプレート

13の業務テンプレート+1つのベンチマーク

ソルバー

古典ソルバー(OR-Tools/Gurobi/CPLEX)、量子アニーリング(SQAシミュレータ/D-Wave実機へのAPI接続)、ハイブリッド(アニーリング+厳密探索)、並列アニーリング(CPU並列テンパリング)※6。規模に応じた自動選択に対応

データ入力

CSV・Excel(XLSX)・JSON

出力

PDF・HTML・Markdown・JSON(Q行列はCSV・JSONでも出力可能)

生成AI連携

OpenAIまたはAnthropicのAPI設定時に、自然言語での要件整理と結果の解説を支援(未接続時はローカルのルール解析で動作)

チーム機能

オーナー・管理者・メンバー・閲覧者の権限管理、ワークフローと実行履歴の保存

エッジ連携

当社エッジAIデバイス(異常検知/コンクリート劣化診断)の結果の取り込み、BOLT-QZによる現場の機器でのローカル最適化(いずれも個別に構成)

料金

お問い合わせください

製品ページ

https://www.qcore.co.jp/products/qubostudio/(5業務の操作デモ動画を公開中)

導入は、ひとつの業務と代表的なデータから始めます。「決めたいこと」を整理し、現在の計画と同じ条件で候補を比較したうえで、運用への組み込みを検討します。データが揃っていない段階でも、「決めたいこと」と「守りたい条件」からご相談いただけます。

6. 代表コメント

株式会社QuantumCore 代表取締役CEO 秋吉 信吾

「当社は創業以来、少ないデータと小さな計算資源で、現場で学び、現場で判断するAIをつくってきました。異常を見つけ、状態を推定する技術は、すでに多くの現場で使える水準にあります。けれども現場の方々が本当に知りたいのは、『異常です』という通知のその先、『では、どこから、どう手を打つか』です。

QUBO Studioは、その“次の一手”を導くためのソフトウェアです。全体の計画は、古典計算から量子アニーリングまで、課題に合った計算資源で描く。現場の変化には、リザバー由来のエッジ最適化で応える。『量子で全体最適を、リザバーで現場最適を』という私たちの構想に向けた、第一歩となる製品です。検知・状態推定・最適化をひとつの流れにつなぎ、限られた人と予算で社会インフラや現場を支える方々の判断を、より速く、より納得できるものにしていきます。」

7. 今後の展開

今後は、エッジAIと最適化を一体で届けるソリューションとして、適用分野を広げていきます。

  • 当社のエッジAIデバイスとQUBO Studioを組み合わせ、検知から計画までを一体で届ける提案を、インフラ維持管理、製造、物流、エネルギーの各分野で進めます

  • BOLT-QZのマイコン・端末への実装検証を進め、現場で完結するローカル最適化の適用範囲を広げます

  • 業務テンプレートを拡充するとともに、量子計算の進化を取り込みながら、全体最適の計算基盤を強化します

  • 導入検証(PoC)、共同検証、販売・技術パートナーのご相談を受け付けています

会社概要

会社名

株式会社QuantumCore(QuantumCore Inc.)

所在地

〒141-0031 東京都品川区西五反田2丁目14-13

設立

2018年4月24日

代表者

代表取締役CEO 秋吉 信吾

事業内容

リザバーコンピューティングを用いた次世代時系列処理プラットフォーム技術の開発、提供、導入支援

URL

https://www.qcore.co.jp/

当社は「制約の中で、知能を動かす」を掲げ、マイコン上のエッジAIから、フロンティア級LLMのローカル実装、現場の計画を導く組合せ最適化までを一貫して手がける、日本発のAIプロダクト企業です。PoC導入企業80社超、製品ユーザー数累計2万人超の実績があります。

本件に関するお問い合わせ

株式会社QuantumCore 広報・事業開発担当

お問い合わせ:https://www.qcore.co.jp/contact/

QUBO Studioの導入・デモのご相談:https://www.qcore.co.jp/products/qubostudio/#contact

注記

※1 20か所の訪問順序の並べ方(20の階乗、約2.4×10¹⁸通り)。

※2 国土交通省「社会資本の老朽化の現状と将来」。建設後50年以上経過する施設の割合(2040年3月時点の見込み。建設年度不明の施設を除いて算出)。

※3 QUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization、二次制約なし二値最適化):組合せの選択を0と1の変数で表す最適化モデル。量子アニーリングが直接扱える問題形式でもあります。

※4 東京都下水道局と実施したAI打音検査によるコンクリート劣化診断の取り組みにおける当社評価です。

※5 エッジでの利用には、Q行列の係数・格納形式の変換、機器への組み込み、結果の受け渡しを別途構成します。対応規模・精度・必要メモリはモデルと機器ごとに検証します。QUBO Studio内の「BOLT-QZ互換・評価版」はホスト側での方式評価機能です。「特許出願中」はBOLT-QZの関連技術に関する表記です。

※6 量子アニーリング実機は、D-WaveのSDKとAPI接続を設定した場合に利用でき、未接続時はSQAシミュレータで動作します。Gurobi・CPLEXは別途導入とライセンスが必要です。

・画面内の数値はデモデータによる計算例であり、導入効果を保証するものではありません。各テンプレートのモデルには前提条件があり、実業務への適用には実際の条件との照合が必要です。

・記載の内容は2026年10月時点のものです。D-Wave、Gurobi、CPLEX、OR-Tools、OpenAI、Anthropicは各社の商標または登録商標です。本リリースは、これら各社による承認・提携を示すものではありません。

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会社概要

株式会社QuantumCore

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URL
https://www.qcore.co.jp
業種
サービス業
本社所在地
東京都品川区西五反田2-14-13
電話番号
-
代表者名
秋吉 信吾
上場
未上場
資本金
-
設立
2018年04月