第38回東京国際映画祭にて高畑充希、中島健人、デブラ・ゼイン、福間美由紀を迎えケリング「ウーマン・イン・モーション」トーク開催
─ 「ウーマン・イン・モーション」ディナーには世代や職種を超えた映画関係者が一堂に集う ─

グローバル・ラグジュアリー・グループのケリングは、第38回東京国際映画祭公式プログラム TIFFスペシャルトークセッション ケリング「ウーマン・イン・モーション」トークを11月2日(日)、TOHOシネマズ 六本木ヒルズにて開催しました。
キャスティング・ディレクターの歴史的意義と創造的な影響に焦点を当てた『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』の特別上映後に実施されたトークでは、映画監督の是枝裕和によるオープニングスピーチに続き、高畑充希(俳優)、中島健人(俳優・アーティスト)、デブラ・ゼイン(キャスティング・ディレクター)、福間美由紀(プロデューサー)が登壇。自身の経験を交えながら、キャスティングの裏側や、女性が映画制作において果たす役割の変化について意見を交わしました。
また、同日夜には2015年にカンヌ国際映画祭で創設された「ウーマン・イン・モーション」プログラムの10周年を祝うディナーが都内で開催され、世代や職種を超えた映画関係者が一堂に会し、カメラの前と後ろで活躍する人々の交流の場となりました。来場者には、登壇者や第38回東京国際映画祭の審査委員を務めるヴィヴィアン・チュウとマチュー・ラクローをはじめ、CSA(キャスティング協会)に所属するキャスティング・ディレクターのカサンドラ・ハン、シーン・ジョセフィーヌ・タイセン、川村恵、映画監督・映画プロデューサーの川村元気、映画監督の石川慶、深田晃司、永田琴、奥山由之、枝優花、奥山大史、団塚唯我、田中未来、映画プロデューサーの村田千恵子、俳優の真矢ミキ、竹嶋康成、二宮和也、玄理、宮澤エマ、竹内涼真、石橋静河、玉城ティナ、奥切めぐみ、藤岡真威人に加え、文筆家・無言館共同館主の内田也哉子、俳優・プロデューサーのMEGUMI、歌舞伎俳優の片岡千之助、モデルのUTAらが出席。




















東京国際映画祭での5回目の開催となるケリング「ウーマン・イン・モーション」トーク。オープニングには、本プログラムの意義に賛同し、2022年には登壇経験もある是枝裕和監督が登場。「この取り組みを知ってちょうど5、6 年。こういうことが日本でもできればと思っていたタイミングでカンヌ国際映画祭のパーティーにお招きいただき、以来、その想いに賛同してまいりました。映画監督という仕事はどうしても外の世界に触れる機会が少なく、世界が狭まっていく危機感を感じています。こういう形で外の世界の方と連携しながら、何が課題なのか、何が欠けているのか、というのを見つめていく機会がとても重要だということに気づき、まずは自分の現場から変えていこうとしています」と、「ウーマン・イン・モーション」が掲げるテーマへの想いと、その想いによって変化した現状についてスピーチ。「こういったイベントを通して、自分自身の意識改革にもつなげていきたいと思っています。皆さんにも、いま映画業界で変化が起きていることを受け取って帰って欲しいです」と、会場に投げかけました。
是枝監督のオープニングスピーチを受け、今回のトークゲストが登壇。ドラマやミュージカル、映画など幅広い分野で活躍する実力派俳優の高畑充希氏、アーティストとしてだけでなく俳優業にも進出し、海外作品への出演にも意欲的な中島健人氏、是枝監督が率いる「分福」にて、『ベイビー・ブローカー』、『真実』、「阿修羅のごとく」などの映画やドラマを企画・プロデュースしてきたプロデューサーの福間美由紀氏に加え、CSA(キャスティング協会)に所属するキャスティング・ディレクターのデブラ・ゼイン氏が初来日し、登場しました。
「この先、自分が子育てをしたり、母として生きていく中で、試行錯誤したり、壁にぶち当たるときが来るのかなと感じています。そんな中、このイベントに招待いただいたのはとても良いきっかけになると思いました。お招きいただき嬉しいです」と今回のトークセッション参加へ意欲を語るのは、プライベートと仕事、その双方をしなやかに両立する姿が多くの共感を呼ぶ高畑氏。男性だからこその視点にも着目しながら参加する中島氏は、“映像業界における女性”というトークテーマについて「インティマシー・コーディネーターという職種ができたり、子どものいる方にとって働きやすい環境が整ってきたりと、進化し続けているタイミングですよね。今の世代の感覚でたくさんディスカッションしていきたいですし、皆さんと一緒に、女性がどう映画作りに尽力していくのか、しっかり学んでいきたいです」と「ウーマン・イン・モーション」が掲げるテーマへの素直な想いを明かし、笑顔でトークセッション参加へのモチベーションを語りました。プロデューサーという立場で国内外問わず多くの作品を生み出し、映画の制作現場をよく知る福間氏は、「海外の現場を知るたびに、日本ではどうなんだろうと考える機会が増えました。その経験を踏まえてお話しできるのが楽しみです」と語りました。
今回のトークは、来年3月に授賞式が行われる第98回アカデミー賞®にて、新たに「キャスティング賞」が創設されることを受け、キャスティングの重要性と、映画・ドラマで描かれる女性像の変化、さらなる女性たちの活躍がテーマに。トークの前には、伝説的な女性キャスティング・ディレクターのマリオン・ドハティ氏をめぐるドキュメンタリー『キャスティング・ディレクター ハリウッドの顔を変えた女性』が特別上映され、ゼイン氏は「キャスティングという仕事を作り上げた人です。伝説的な彼女の存在は非常に大きいです」と敬意を込めて彼女の功績に触れました。
ハリウッドで約30年にわたり活躍し、『アメリカン・ビューティ』、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』を始め、『ドリームガールズ』など、多くのヒット作にキャスティング・ディレクターとして携わってきたゼイン氏は、「この仕事は世界中の俳優の知識が必要です。最終決定は監督が担いますが、キャスティング・ディレクターの意見が作品に大きな影響を及ぼすこともあるんですよ。意見が食い違った時には、監督と喧嘩をするくらいのことも起こります(笑)」と自身の経験も交えて明かされるエピソードに高畑や中島も興味津々。
高畑は「自身で役を選ぶというより、役に選ばれるという感覚になることがあって。自分では合っているかな?と思う役でも、自分をよく見てくれる方が選んでくれた役だから、とチャレンジすると、そのことで自分自身の課題が見えたりします」と俳優としての感覚を交えて話し、ゼイン氏に「人を見てキャスティングするときに、心がけていることは?」と思わず質問を投げかける一幕も。それに対しゼイン氏は「役柄のことを考えていますね。すごく演技が上手でも、役とのマッチングが大事なので、これは意識した方が良いと思います」とアドバイス。続いて中島が冗談交じりに「もし自分がゼインさんの作品に出るならどんな役が合うと思いますか?」と投げかけると、「大学生の役かしら?若く見えます。(笑)」とゼイン氏もお茶目に返し、和やかなムードでトークは盛り上がりを見せました。
第98回アカデミー賞®でようやく「キャスティング」部門が創設されることを受け、ゼイン氏は「これまで女性の仕事だと思われていた部分もあると思います。ようやくその価値が理解されました。記念すべき年になると思いますし、どんな結果になるのかワクワクしています」とキャスティング・ディレクターという職種が今後飛躍していくことに期待をふくらませている様子。
ゼイン氏は、映画で描かれる女性像の変化について聞かれ、「時代を反映していると思います。女性がリーダーを果たす役柄や女性のヒーローなどが増えてきましたし、そういう機会はどんどん増していくと思います」と現状を分析。中島氏も「『バービー』や『プロミシング・ヤング・ウーマン』など、女性が主体となって生き抜く力強さを描いた作品が増え、時代に順応した作品が作られているように感じます」とゼイン氏の意見に同意。一方、「本当の意味で、 “人間”として平等に描かれている作品が観たいですよね。LGBTQの方々を描く作品も、当事者が演じるべき、という意見など色々あると思いますが…」と鋭い視点で切り込んだのは高畑氏。ゼイン氏も「良い質問ですね」と賛同しながら、「私は必ずしも当時者である必要はないと思っています。フィクションなのか、ドキュメンタリーなのか、その線引が曖昧になる場合もありますが、上手い人が演じるべきです」とキャスティング・ディレクターとしての見解を述べていました。
映画で描かれる女性像に変化が見られることに希望を感じているのが福間氏。「昔も魅力的なヒロインを描いている作品はたくさんありますが、私がプロデューサーとして参加する作品でも、女性の眼差しや価値観を物語に落とし込むことは特に意識しています。まさに、女性の生き様が描かれている『遠い山なみの光』を製作したときは、物語の中では複数の女性が登場するけど、それが一人の女性の多面的な一面に見えるように心がけて作っていました」と現場の最前線に立つ福間」ならではのエピソードを披露しました。
映像業界における女性の問題が少しずつ改善されていく中で、さらなる活躍には何ができるのかと投げかけられると、「2018年、フランスで映画作りを行っていた際に驚いたのが、撮影時間は8時間まで、土日は休み、というルールが定まっていたことです。カルチャーショックと言える衝撃でした。その現場には、女性や子育て中の方も多くて…。社会保障がしっかりしていることで、女性でもキャリアを続けることができるんです。日本では、生活を犠牲にせざるを得ないことがあまりに長く続いてきました。今、そんな日本でもルールが設けられるようになったりと、変わろうとしている中にいます。意識をアクションに変えていく最中です」と、世界の現場を知る福間ならではのリアルな現場の声を届けました。
現場の最前線に立つ高畑は「当事者としても、転換期を迎えていると感じています。子どもができて子育てをしていく中で、『もっとこうだったいいのに』と思うことが増えていくのかもしれません。そうなったら、我慢せずに声に出していくことで、働きやすい環境作りに貢献できたら嬉しいです」と、母として、俳優として、真摯に仕事に向き合う姿勢を見せ、中島は「食事の時間をしっかり作るとか、ファミリーデーを設けてみるとか、少しの変化が現場を充実させていくきっかけになると思います。みんながそれに気づき始めているので、時代の真ん中にいる一人の映画人として、推奨していけたら良いなと思います」と、これからの未来へと想いを託すとともに、行動を起こしていくことの大切さを明かしていました。
最後に、ゼインは「期待以上に多くのことを学べたイベントでした。皆さんにとっても発見があったら嬉しいです」とコメント。福間も「とても新鮮でした。どんな人でも、映画を愛し、支えてくれる人みんなが声に出していいんだと思ってくれる機会になったと思います」と手応えを実感した様子。高畑は「こういう経験はあまりないのでドキドキしましたが、色んな人の意見をきけて面白かったです。明るい未来が見える気がして嬉しいです」と笑顔に。中島も「時代を変えることに少しずつ尽力していきたいです。改めて、第98回アカデミー賞®でのキャスティング賞創設を祝福します」と述べ、登壇者らの力強いメッセージが多くの人に送られたイベントは、大盛況の中、幕を閉じました。
●高畑充希(俳優)
2005年、山口百恵トリビュートミュージカル『プレイバックpart2〜屋上の天使』主演オーディションでグランプリを獲得し、デビュー。07年からミュージカル『ピーターパン』で8代目ピーターパンを6年間務める。その後、13年NHK連続テレビ小説「ごちそうさん」出演し、演技力と歌唱力を併せ持つ女優として注目を集め、16年NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」ではヒロイン・小橋常子を務めた。18年映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』で、日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞。ドラマ「過保護のカホコ」(17)、「同期のサクラ」(19)、「にじいろカルテ」(21)、「いりびと -異邦人-」(21)、「ムチャブリ!私が社長になるなんて」(22)、「unknown」(23)などのテレビドラマから、『奇跡の人』(19、22)、『ミス・サイゴン』(22)、『宝飾時計』(23)などの舞台まで様々な作品に出演。近年の主な作品に映画『怪物』(23)、『ゴールデンカムイ』(24)、『国宝』(25)、大河ドラマ「光る君へ」(24)、Prime Videoにてドラマ「1122 いいふうふ」(24)、映画『ウィキッド ふたりの魔女』(25、日本語吹替版)、ミュージカル『ウェイトレス』(25)などがある。10月10日に映画『秒速5センチメートル』の公開を控える。デビュー20周年・音楽プロジェクト第一弾、Night Tempoプロデュースによる「Over You」が配信中。
●中島健人(俳優・アーティスト)
1994年、東京都出身。2008年、ドラマ「スクラップ・ティーチャー〜教師再生〜」(日本テレビ)でドラマデビューし、2011年にはアイドルグループ「Sexy Zone」としてCDデビューも果たす。2013年、ドラマ「BAD BOYS J」(日本テレビ)でドラマ初主演を務める。映画初主演作の『銀の匙 Silver Spoon』(14/𠮷田恵輔監督)をはじめ、『黒崎くんの言いなりになんてならない』(16/月川翔監督)、『心が叫びたがってるんだ。』(17/熊澤尚人監督)、『ニセコイ』(18/河合勇人監督)など幅広いジャンルで主演を務める。2024年、Sexy Zoneを卒業し、俳優・アーティストとして新たな活動をスタート。近作は、Netflix映画『桜のような僕の恋人』(22/深川栄洋監督)、『ラーゲリより愛を込めて』(22/瀬々敬久監督)、『おまえの罪を自白しろ』(23/水田伸生監督)、『知らないカノジョ』(25/三木孝浩監督)などがある。またHuluオリジナル「コンコルディア/Concordia」(24/製作総指揮:フランク・ドルジャー)では、全編英語セリフでの演技にも挑戦し、国内外で活躍の場を広げている。
●デブラ・ゼイン(キャスティング・ディレクター)
米国フロリダ州マイアミ出身。ニューヨーク州ブロンクスビルのサラ・ローレンス大学にて学ぶ。約30年にわたりキャスティング・ディレクターとして様々な作品に携わる。これまでに手がけた長編映画は『アメリカン・ビューティー』(99)、『ギャラクシー・クエスト』(99)、『トラフィック』(00)、『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』(02)、『シービスケット』(03)、『ドリームガールズ』(06)、「オーシャンズ」シリーズ(01〜)、「猿の惑星」シリーズ(11〜)、「ハンガー・ゲーム」シリーズ(12〜)など。近年では『コカイン・ベア』(23)や、『トロン:アレス』(25)など、話題作のキャスティングにも精力的に取り組んでいる。CSA(キャスティング協会)主催のArtios賞に21回ノミネート、4回受賞。
●福間美由紀(プロデューサー)
島根県出身。東京大学大学院修了後、ジュネーヴ留学を経て、映像制作会社に勤務。2014年、是枝裕和監督が率いる「分福」の立ち上げから参加し、以来、映画やドラマの企画・製作・海外展開を手がけている。主なプロデュース作品に、新進気鋭の監督たちによるオムニバス『十年 Ten Years Japan』(18/日本・香港/釜山国際映画祭アジアの窓部門)、是枝監督の『真実』(19/仏・日/ベネチア国際映画祭コンペティション部門)、『ベイビー・ブローカー』(22/韓国/カンヌ国際映画祭男優賞・エキュメニカル審査員賞)、Netflixシリーズ『阿修羅のごとく』(25)、カズオ・イシグロ原作・石川慶監督の『遠い山なみの光』(25/日・英・ポーランド/カンヌ国際映画祭「ある視点」部門)など。多様な才能と共に、国際共同製作にも幅広く取り組んでいる。
●ケリング「ウーマン・イン・モーション」について
ケリングは、女性に対するコミットメントや取り組みを、グループの優先事項の中心に据えています。クリエイティビティこそが変革を生み出す最も強い力の一つであるものの、依然として男女間の不平等が顕著な芸術や文化の世界に「ウーマン・イン・モーション」プログラムは取り組んでいます。2015年、ケリングはカンヌ国際映画祭にて、カメラの前と後ろで活躍する女性たちに光を当てることを目的とし、「ウーマン・イン・モーション」を創設しました。以来、このプログラムは写真をはじめとする芸術分野にも活動を広げています。「ウーマン・イン・モーション」アワードでは賞を通じて、インスピレーションを与えた人物を表彰するとともに、新たな才能への具体的な支援を行っています。また、トークイベントやポッドキャストでは、著名人がそれぞれの職業における女性の立場について意見を交換する機会を提供しています。
2025年、「ウーマン・イン・モーション」の創設10周年を迎える年に、ケリングは文化と芸術分野における女性への10年間のコミットメントを祝います。
先駆的なプログラムである「ウーマン・イン・モーション」は、芸術の世界を形作る多様な才能と声に光をあててきました。この10年間は、ケリングが対話と行動の場を提供し続け、創造の領域における女性の認知と影響力を高めるために取り組んできた、重要な節目となっています。
●CSA(キャスティング協会)について
CSA(キャスティング協会)は、プロデューサー、監督、クリエイティブチームがキャスティングの専門家を求める際の国際的なリソースであり、世界中でキャスティング・ディレクターおよびアソシエイト・キャスティング・ディレクター、キャスティング・プロデューサーの存在を広く認知させることを目的に活動しています。さらに、多様なチャリティ活動に取り組むとともに、重要かつ有益な専門情報を共有することで会員を支援しています。現在、米国、カナダ、ヨーロッパ、オーストラリア、アジア、アフリカに拠点を置く1,200名以上のキャスティングの専門家が所属しています。
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