「女性ファウンダーは資金の2%、IPOリターン1.5倍」——T4IS2026『Women Building the Future』Lisa Du氏・関美和氏・中澤里華氏・平野未来氏登壇

MPower最新リサーチ「女性創業スタートアップのシード評価は男性の半分以下、IPO到達は30%速い」——Lisa Du氏が『マーケット・ミスプライシング』と総括

ソーシャス

本リリースのポイント

「資金全体の2%、トップ100社では0.3%、女性創業スタートアップのシード評価は男性の半分以下。一方IPO時リターンは男性の1.5倍、IPO到達は30%速い」——MPower Partners 関美和氏が最新リサーチを引用。MPowerは新ファンド「W-Power Fund」を立ち上げ、女性ファウンダーに集中投資

「It’s almost like a market mispricing(市場は、女性ファウンダーを過小評価している)」——モデレーターのLisa Du氏(Bloomberg News)が総括

「東京プライム1,600社のうち、女性役員ゼロは17社まで減少、平均18%、政府目標2030年30%」——関氏が取締役会の進捗を提示

『Dear Chairwoman』の「男性用トイレ」エピソード——NTT 中澤里華氏が、取締役会の決定が会議室の外で出来上がっている構造を物語る

Cinnamon AI 平野未来氏が、自身の無意識バイアスをステージ上で告白——営業目標未達だった男性社員には「悔しい」、女性社員には「しょうがない」と感じた

「AIによる『シードストラップ』——一人起業で、そもそも調達しない選択肢が成立」——平野氏が構造のリセットを提示

岸田・石破政権下「上位会議の女性委員比率50%」、高市政権で家事支援政策が始動——3政権の経済政策諮問委員を歴任した平野氏の一次情報

ハイライト映像(YouTube):https://www.youtube.com/watch?v=Yqdu52LnTqs

セッション概要

ソーシャス株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役:尹世羅)は、2026年4月26日(日)、東京ガーデンテラス紀尾井町 紀尾井カンファレンスにて開催した SusHi Tech Tokyo 2026 公式パートナーイベント・招待制エグゼクティブサミット「Tech for Impact Summit 2026」(以下、T4IS2026)のメインステージにて、『Women Building the Future(女性が築く未来)』と題したパネルセッションを実施いたしました。

登壇者は、Bloomberg News ファイナンス記者のLisa Du(リサ・ドゥ)氏をモデレーターに、MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナーの関美和(せき・みわ)氏、NTT チーフ・コマーシャル・イノベーション/『Dear Chairwoman』著者の中澤里華(なかざわ・りか)氏、Cinnamon AI 創業者・CEOの平野未来(ひらの・みく)氏の4名。資本市場、取締役会、AI時代の人材パイプライン——日本のテック・エコシステムにおける女性の現在地が、データと現場の体験の両面から議論されました。

過去のT4ISには、オードリー・タン氏(元台湾デジタル担当大臣)、平井初代デジタル大臣、チャールズ・ホスキンソン氏(Cardano 創設者)、キャシー松井氏(MPower Partners 共同創業者)、堀義人氏(GLOBIS 創業者)、河野太郎元デジタル大臣らが登壇しています。

1. 「マーケット・ミスプライシング」——MPower最新リサーチが示すデータの逆説

セッション冒頭、モデレーターのLisa Du氏が、MPower Partnersが公表したリサーチに言及し、関美和氏に口火を切るよう促しました(本セッションは英語で実施されたため、以下発言はすべて事務局による要旨日本語訳)。

「スタートアップ資金全体に占める女性ファウンダーの比率は2%。調達額トップ100社で見ると、女性ファウンダーの比率は1%を下回り、正確には0.3%まで落ちる。アーリーステージの女性創業スタートアップのバリュエーションは、男性創業企業に比べて0.4倍——60%低い水準だ。一方、IPO時の時価総額対調達額の倍率は男性創業企業の1.5倍、IPO到達までの所要時間も30%速い。投資判断としては、データが明確に示している」(関氏、要旨)

これを受けてLisa Du氏が、議論の核心を一言にまとめます。

「資金ギャップは明らかにある。それなのに成果への影響はゼロ、むしろ女性のほうが上回る部分もある。これはほぼ、マーケット・ミスプライシング(市場の値付け誤り)の状態であり、適切な女性ファウンダーに絞って投資する人にとっては、むしろ機会だ」(Lisa Du氏、要旨)

関氏はその指摘を、新ファンド「W-Power Fund」の投資仮説そのものだと応じ、「男性VCが見逃してきた隠れた市場機会を取りに行く——それがW-Power Fundだ」と説明しました。なおLisa Du氏は議論の冒頭で、「一部の領域では女性ファウンダーが受け取るVC資金は1%まで下がり、昨年の2%から半減している。むしろ逆方向に動いている領域もある」と足元のトレンドにも触れました。

2. 資金ギャップは「症状」——VC好みのセクターと、女性が起業するセクターが、そもそも重なっていない

Lisa Du氏が「資金不足は『症状』にすぎないのではないか。なぜこのギャップが生まれているのか」と問いかけると、関氏は、自社レポートが示した構造的な原因を説明しました。

「同じ業種・同じ規模で比較しても、女性ファウンダーの評価額は依然として低く、調達額も少ない。ただ、それだけが原因ではない。我々のレポートが指摘した理由のひとつは、ミスマッチだ——VCが好むセクター(AI、半導体、製造業、インフラ、エネルギー、宇宙)と、女性ファウンダーが多く挑むセクター(コンシューマー、リテール、FemTech、教育、サービス、D2Cブランド)が、そもそも重なっていない」(関氏、要旨)

これに対し、自身も20年以上にわたって起業を続けてきた平野未来氏は、現場の感覚から応じました。

「正直に言えば、私は女性として起業してきましたが、男性として起業した経験はないので、純粋な比較は難しい。ただ経験から言えるのは、テーマがトレンドに乗っていて、自分がそのテーマの適任者であれば、女性でも資金は調達できる、ということ。逆にトレンドに乗らないテーマのときは、明確に難しかった。絶対に不可能だとは言いませんが、統計的な差別が存在するのは確かです」(平野氏、要旨)

3. AIによるリセット——「シードストラップ」と一人起業、そして新しいロールモデル

平野氏は、AIがエコシステム自体を変えつつあると説きました。

「以前は、アイデアを持ち、投資家から資金を調達し、事業を立ち上げる、という順番でした。今はAIがあるので、アイデアさえあればプロダクト開発もバックオフィス業務も格段に容易になった。『シードストラップ』——AIを使った一人起業——は、すでに概念ではなく現実です。もし私が今ゼロから起業するなら、おそらく資金は調達しない。そもそも調達しない選択肢が、本格的に成立し始めています」(平野氏、要旨)

中澤里華氏は、AI時代の新しいロールモデルとして3名を挙げました——Daniela Amodei氏(Anthropic 共同創業者)、Mira Murati氏(Thinking Machines Lab、20億ドルを調達)、Lucy Guo氏(Scale AI 共同創業者)。

「2025年、女性ファウンダー企業が世界で調達した額は730億ドル——2023年比で約2倍です。そのうち40%はAnthropicとScale AIに集中しているので、データは文脈で読む必要があります。それでも、彼女たちが築いた富は、これからの世代に必ず流れていく。日本に初の女性総理が誕生し、財務大臣も東京都知事も女性であるのと、同じ構造です。キャシー松井氏の言葉の通り、『You can’t be what you can’t see(見えないものには、なれない)』」(中澤氏、要旨)

4. 取締役会——『Dear Chairwoman』と「男性用トイレ」のエピソード

中澤氏は、自著『Dear Chairwoman』(日本ではダイヤモンド社より刊行)の取材から、取締役会に関する3つの示唆を共有しました。

「1つ目、女性は助けを求めるのが苦手——特に日本文化では『人に迷惑をかけたくない』という規範が強い。2つ目、メンターではなく『スポンサー』を持つこと——助言者ではなく、自分のために動いてくれる擁護者です」(中澤氏、要旨)

「3つ目、これが最も反響の大きかった話です。ある上場企業で『初の女性取締役』に就任した人物が、就任2〜3回目までに気づいたのは、重要な決定はすでに会議室の外で出来上がっている、ということ——男性役員たちは、休憩中の男性用トイレ(便器の前)で、あるいは前夜のシガーディナーで、すでに意思決定を済ませていたのです。そこで彼女は、次の取締役会の前、男性用トイレの扉の前に立ち、男性陣が中に入る前にこう言ったといいます——『私もそこに入れてください。その話、ここでしましょう』。一見、滑稽に聞こえるかもしれませんが、意思決定が起きている場所を見極め、自ら踏み込む覚悟、という話です」(中澤氏、要旨)

関氏は、東京プライム市場における取締役会の現状をデータで補足しました。

「東京プライム市場の約1,600社のうち、女性役員ゼロの企業は17社まで減少しました。平均女性役員比率は18%、政府目標は2030年までに30%。表向きの数字は前進していますが、各社が社内で女性リーダーを育成することには依然として苦戦しています。当社の取締役会でも、スポンサーシップ制度、労働時間ではなく成果による評価、昇進候補プールにおける女性比率の義務化——こうした施策を議論しています」(関氏、要旨)

5. 政策——岸田・石破・高市の3政権を委員として渡り歩いた一次情報

平野未来氏は、岸田・石破・高市の3政権で経済政策諮問委員を歴任した立場から、政府委員会レベルでの変化を共有しました。

「岸田政権で『上位会議の女性委員比率を半分にする』という方針が決まりました。最上位会議が動いたことで他のすべての委員会も連動し、女性比率は確実に上がった。石破政権でも50%基調は維持され、高市政権では比率がやや下がったものの、それでも30〜40%は維持されています。今週、高市総理との会議がありました。総理が決めた政策のひとつが母親への支援です——日本では家事の80%を女性が担っており、高市政権はほぼ無料に近い形で家事支援者を派遣する政策を打ち出しました」(平野氏、要旨)

6. クオータ制と人材パイプライン——東京大学20%、東京理科大の「準クオータ」

関氏は、日本のエリート大学における女性比率をデータで提示しました。

「東京大学の学部生の女性比率は20%、教授に至っては10%——21世紀の今、衝撃的な数字です。一方、東京理科大学は入試で『準クオータ』に近い制度を導入しました。他のトップ大学もこの流れに続くべきです。私は政治・企業・アカデミアにおけるクオータ制に賛成です。女性の登用と『見える化』を進めるには、クオータが必要です」(関氏、要旨)

平野氏は、人材パイプラインを底上げする手段としてAI学習の重要性を強調——「AIを学べば、一人でも会社を起こせるし、資金を調達する必要もありません。これからの女性にとって、AIを学ぶことが最も強力な武器になると私は信じています」と語りました。

7. 平野氏の自省——「悔しい」と「しょうがない」

セッション後半、平野氏は、自身の無意識のバイアスについて、ステージ上で告白しました。

「最近気づいたのは、自分自身もジェンダーバイアスを持っていた、という事実です。社内の営業メンバーで男性と女性が同じ月に目標未達となったとき、湧いた感情が違いました——男性には『悔しい、なぜ届かなかった』、女性には『しょうがない、こういうこともある』。自分の社員にも、自分自身にも、バイアスを持っていたということです。両親や学校の先生から繰り返し聞かされた『女の子は男の子ほど数学・理科ができない』という、深い文化的経験から来ている——ある種の呪いのようなものです。皆さんも、自分の中の感情がどう違うか、ぜひ想像してみてください」(平野氏、要旨)

登壇者プロフィール

Lisa Du(リサ・ドゥ)氏 — モデレーター

Bloomberg News ファイナンス記者。ブルームバーグ・ニュース東京支局にて、日本を中心にアジアの金融・投資ニュースを取材。プライベートエクイティ、ヘッジファンド、アクティビスト投資家、M&A、ESG投資、日本の取締役会におけるジェンダー多様性、日本への資本フローを担当。日本企業の取材歴は10年近い。

関 美和(せき・みわ)氏

MPower Partners Fund L.P. ゼネラル・パートナー/翻訳家。2021年5月、キャシー松井氏、村上由美子氏とともに日本初のESG重視型グローバル・ベンチャー・キャピタル・ファンド「エムパワー・パートナーズ・ファンド」を共同創業。ORIX株式会社、大和ハウス工業株式会社、ヘラルボニー社外取締役。アジア女子大学(バングラデシュ)支援財団 理事、柳井正財団 理事、ファーストリテイリング財団 理事、LEDGE 理事ほか。ハーバード大学経営大学院MBA取得。モルガン・スタンレー投資銀行部門、クレイ・フィンレイ投資顧問 元東京支店長を経て、2009年より翻訳家としても活動、大ベストセラー『FACTFULNESS(ファクトフルネス)』他多数を手がける。

中澤 里華(なかざわ・りか)氏

NTT チーフ・コマーシャル・イノベーション。世界中に34万人以上の従業員を擁するNTTで、フォトニックネットワークや宇宙・衛星イノベーションの商業的・サステナビリティ応用を推進し、万博を通じて公共・民間セクターのインパクトイニシアティブを統合。Forbes「50 Over 50 – Innovation」選出、CRN「Women of the Channel Power 70/80」を2年連続受賞、Women of the Future「Top 100 in Emerging Tech」選出。日本語・ドイツ語・英語のトリリンガル。プリンストン大学卒、英国リーズ大学MSc/MBA、現在Quantum and Organic Intelligence™ 博士課程在籍。著書『Dear Chairwoman』(取締役会ガバナンスの進化を探求するベストセラー)、『Beyond the Black Swan』(Taylor & Francis刊)。NVIDIA、Accenture、Capgemini、Sony等フォーチュン500企業およびシリコンバレースタートアップにてシニアエグゼクティブとして活躍。

平野 未来(ひらの・みく)氏

Cinnamon AI CEO。東京大学大学院修了。在学中にAIスタートアップを創業し、売却。世界経済フォーラムのヤング・グローバル・リーダーズに選出、ダボス会議で登壇。岸田政権・石破政権における新しい資本主義実現会議の有識者構成員。高市政権における日本成長戦略会議の有識者構成員。日揮ホールディングス社外取締役。三児の母。

関連リンク

・Tech for Impact Summit 公式サイト:https://tech4impactsummit.com/ja

・ソーシャス株式会社 コーポレートサイト:https://socious.io/ja

・MPower Partners Fund L.P.:https://www.mpower-partners.com/

ハイライト映像

パネル『Women Building the Future』全編(約36分)は、Tech for Impact Summit 公式 YouTube チャンネルにて公開しています。

・YouTube:https://www.youtube.com/watch?v=Yqdu52LnTqs

・検索:YouTube にて「Tech for Impact Summit Women Building the Future」

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本パネルの引用・写真・取材、および登壇者への取材取次ぎは、Tech for Impact Summit 運営事務局(summit@socious.io)まで。MPower/W-Power Fundのデータソース、英語原文トランスクリプト、高解像度写真の提供についても、対応可能な範囲でご相談に応じます。

※本パネルは英語で実施されたため、本リリース中の引用はすべて事務局による登壇者発言の要旨日本語訳です。原文(英語)での引用をご希望のメディア各社は事務局までお問い合わせください。

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・本社所在地:東京都中央区日本橋3丁目2番14号1階

・代表者名:尹世羅

・設立:2021年07月

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東京都中央区日本橋3丁目2番14号1階
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代表者名
尹世羅
上場
未上場
資本金
300万円
設立
2021年07月