東京大学 五十嵐研究室との新型コロナウイルスに関する共同研究について
当社と東京大学 五十嵐研究室との間において実施中の新型コロナウイルスに関する共同研究について、下記のとおりお知らせいたします。
■共同研究テーマ
新型コロナウイルスによる医療費と生産性損失の検証
■研究概要
当社はアフターコロナ時代へ向けて、東京大学 五十嵐研究室と新型コロナウイルスに関する共同研究を実施しております。研究では当社が保有する利活用可能な800万人以上のメディカルビッグデータ(レセプトデータ(※1)、健康診断データ等)を利用し、コロナ禍における労働生産性の低下から労働人口の収益へ与えた影響を調査します。また、同様に新型コロナワクチンについても労働生産性の観点から調査し、ワクチン接種の効果を具体化します。
■研究の成果
新型コロナウイルス発生から現在に至るまでの入院率と重症化率、変異株による影響やLong COVID(コロナ後遺症)について分析し、今まで具体的に可視化されてこなかった新型コロナウイルス患者と労働生産性の関係を、実際の患者の容体や病状推移をもとに金額ベースで数値化しました。
分析の結果、濃厚接触者の隔離など、非コロナウイルス患者を含む労働生産性の損失が、コロナウイルス患者の医療費よりも高く出ています。損失額を考えるうえでは生産性にも注目することが重要となります(図1参照)。
図1:月ごとの医療費と生産性損失
さらに、現状の医療費および生産性損失に対して、ワクチン接種がどの程度のコスト削減に結びついているか算出しました。分析結果はワクチン接種が進むことで、さらに大きなコスト削減効果が見込めることを示しています(図2参照)。
図2:ワクチン接種による医療費・生産性損失の削減可能性
■今後の展望
本研究におけるデータは常に最新のデータを追跡し、その都度データ更新をしたうえで数値の補正を実施しております。withコロナの時代におけるワクチンの定期接種や治療薬の評価など、幅広い政策提言のもととなる分析結果を継続的に発信してまいります。
■未来共創Labについて
当社未来共創Labは医療ビッグデータ事業として、医療現場や各種保険者様が抱える課題の解決へ向けて、メディカルビッグデータ(レセプト、健康診断データ等)を利用した医療DXを推進しております。当社データの価値を高め、お客様の課題を解決するための可能性を広げるべく、今後も引き続き本研究における分析を進めてまいります。
また未来共創Labでは、SDGs(Sustainable Development Goals)目標3「すべての人に健康と福祉を」、目標9「産業と技術革新の基盤を作ろう」へ向けて、メディカルビッグデータを利活用した健康増進を目的とし、産学連携での商材開発・共同研究を実施しております。
■共同研究者紹介
東京大学 五十嵐 中
東京大学大学院 薬学系研究科 医薬政策学 客員准教授
<略歴>
2002年 東京大学薬学部薬学科卒業
2008年 東京大学大学院薬学系研究科博士後期課程修了
専門は薬剤経済学。医療経済ガイドラインの作成・個別の医療技術の費用対効果評価・QOL評価指標の構築など、 多方面から意思決定の助けとなるデータの構築を行ってきた。
※1:レセプトデータについて
レセプトとは、患者が受けた保険診療について、医療機関が保険者(市町村や健康保険組合)に請求する医療報酬の明細書のことです。医科・歯科の場合には診療報酬明細書、保険薬局における調剤の場合には調剤報酬明細書、訪問看護の場合には訪問看護診療費明細書とも言います。1患者、1か月、1医療機関あたりで1件のレセプトにまとめられており、患者が医療機関を受診した原因となる疾病情報や、医療費を支払っている情報等を保持しています。当社ではこれらの各種情報をデータベース化して保持しています。
【本件に関するお問い合わせ】
日本システム技術株式会社 未来共創Lab
お問い合わせ:https://www.jastlab.jast.jp/contact/
未来共創Labサイト:https://www.jastlab.jast.jp/
以 上
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