学校と連携した海洋教育プログラム「海と緑ケ丘小プロジェクト~海の学校2025~」第2回目のプログラムを実施しました!
2025年5月29日(木) 【場所】須美江海水浴場・須美江家族旅行村
(一社)海と日本プロジェクトinみやざきは、2025年5月29日(木)に緑ケ丘小学校の6年生35名を対象に、宮崎県の海洋教育のモデルを作ることを目指して、「海と緑ケ丘小プロジェクト~海の学校2025~」を開催いたしました。
このイベントは、次世代へ豊かで美しい海を引き継ぐために、海を介して人と人とがつながる“日本財団「海と日本プロジェクト」”の一環です。

イベント概要
本プログラムは、2024年度より延岡市教育委員会と連携し、推薦を受けた小学校の児童を対象に、学級単位での重点的な海洋学習に取り組んでいます。今年度は「宮崎の豊かな海を未来に残すには?」を大テーマに4~7月までの期間に計6回の学習を行います。校外学習や実体験、専門家による講話などを盛り込んだ多彩なカリキュラムを通じて、“地元の海を学び、海の恵みを知り、海を楽しみ、海との関わりを正しく認識する”。そして、学びを終えたときに、自分たちが「海のために出来ること」は何かを考え、最終的に自分ごと化が出来るような学習を目指していきます。
日 時:2025年5月29日(木)9時30分~14時50分
場 所:延岡市須美江海水浴場・須美江家族旅行村
参加者:6年生35名
講 師:宮崎大学農学部農学科海洋生命科学コース 村瀬敦宣(むらせあつのぶ)准教授
さかな芸人ハットリさん
民宿紺碧 代表 甲斐宏明さん
はじめに
近年、子どもたちが海へ出かけたり、海辺で遊んだりする機会が減少傾向にあります。かつては身近だった海も、都市化やライフスタイルの変化、さらには安全面への配慮などから、子どもたちが実際に海に触れ、五感で海を体感する経験が乏しくなってきています。今回の対象校である小学校は、徒歩5分圏内に美しい海が広がるという、非常に恵まれた立地にあります。しかしながら、そうした環境にありながらも、学校の授業や活動の中で海を直接教材とした学習は「海が身近にあるのに活かしきれていない」と話します。
こうした現状を受けて、今回は緑ケ丘小学校の6年生35名とともに、宮崎・延岡が誇る豊かな海の「今」に目を向け、海の魅力や大切さを再発見することや、海洋問題などの課題を知る学びの時間を設けることとなりました。子どもたちが実際に海に触れ、自分たちの言葉で「海とわたしたちの関係」について考える機会をつくることで、海への興味や関心を育み、次世代へとつなぐ第一歩になればと考えています。
【第2回】今回の学習テーマは「延岡の海の恵みを知ろう!」
前回の学習では、「地元の海の特徴」や「私たちの暮らしとのつながり」について考え、海と人との関わりについて理解を深めました。今回はその学びをさらに発展させ、『延岡の海の恵みを知ろう!』をテーマに、雨の中ではありましたが学校を飛び出して、延岡市須美江町の海でさまざまな体験プログラムを行いました。
➀「地引網漁体験~漁業と地元で獲れる魚」
延岡市・須美江海水浴場にて、かつてこの地域で行われていた伝統的な漁法「地引網漁」を体験する学習を実施しました。今回の体験を通じて、子どもたちは漁師の仕事の大変さや自然の恵みのありがたさ、そして働くことのやりがいを肌で感じることができました。
この日は、同町で民宿を営む甲斐宏明さんを講師に迎え、地引網漁の歴史や仕組み、注意点などをレクチャーしていただきました。甲斐さんの「今日は獲れた魚がお昼ご飯になります!一生懸命漁をして、美味しい魚を食べましょう!」という言葉に、子どもたちは目を輝かせながら漁に挑戦しました。

地引網漁は、沖に仕掛けた網を陸からロープで引き寄せて魚を捕る漁法です。
今回使用した網は約100メートル。小学生たちにとっては大変な作業でしたが、力を合わせて懸命に網を引きました。やがて魚の姿が見え始め、引き上げた網には約200匹もの魚が! 子どもたちは歓声を上げながら跳ねる魚に手を伸ばし、「この魚は何ですか?」と熱心に質問していました。
また、この日獲れた魚は、鯛やカマス、トビウオ、タコなど約25種類。神経締めや血抜きの実演も行われ、ゴンズイやエイなど危険な魚も獲れることを学びました。

獲れた魚はその後フライにしてカレーに添えられ、子どもたちは「自分で獲った魚は美味しい!」と笑顔で味わっていました。
漁の体験を通して、自然への感謝や命の尊さ、食べ物の大切さを学ぶ貴重な時間となりました。
②「延岡の海ってどんな海?県北の海の特徴」
続いて行われたのは、宮崎県の魚類の多様性について学ぶプログラムです。
講師を務めてくださったのは、宮崎大学農学部農学科・海洋生命科学コースの村瀬准教授。県北の海の特徴や、そこに生息する多様な魚たちについて、わかりやすく教えていただきました。
授業では、村瀬准教授と宮崎大学の学生の皆さんが制作した「お魚カルタ」を使用。県北地域で見られる魚を題材にしたこのカルタを使って、日向灘に暮らす魚を「暖かい海に住む魚」「冷たい海に住む魚」「中間の海に住む魚」の3つに分類するゲームに挑戦しました。
ゲームの終盤には、黒潮と親潮という異なる海流が混ざり合うことで、日向灘には様々な種類の魚がすむことができる、という海のしくみについてもしっかりと理解を深めていました。

③「未利用ってなんだろう?海と魚のこれからと」
続いては、食べた魚は526種類、釣った魚は392種類、日本さかな検定1級を持つ、魚を愛するさかな芸人ハットリさんによる授業です。本日のテーマ、未利用魚についてのお話です。未利用魚とは、市場に出回ることが少ない魚、破棄される魚のこと。ハットリさんはこれまで食べた深海魚の話や、おいしいけど知名度の低さや文化の違いで活用されない魚があることを子どもたちに伝え、この未利用魚の利用法を考えることが、今後の魚を守ることに繋がるということを話しました。さかな芸人ハットリさんは「魚を食べるでもいい、水族館に見に行くのでもいい、釣りをするでもいいから魚を好きになってくれると、その気持ちがこれから海や魚を守っていくことに繋がるので、魚を好きになってほしいです」と話しました。

④「すみえファミリー水族館~地元に棲む魚を観察しよう」
最後のプログラムは、延岡市須美江町にある「すみえファミリー水族館」での学習です。
この水族館では、延岡近海をはじめ、河川や湖沼に生息するさまざまな魚が展示されており、全国的にも珍しい「アカメ」を間近で観察することができます。児童たちは、宮崎大学の村瀬先生チームと、さかな芸人ハットリさんチームの2班に分かれて、展示されている魚たちの特徴や生態について説明を受けました。子どもたちは、「アカメって目が赤いからアカメっていうの?」「アカメってすごく大きい魚だね!」と貴重なアカメに興味津々。そして、ニセクロナマコに触れた児童は「ぷよぷよしてるけど、中に水が入ってるの?」と興味津々に講師陣へ質問を投げかけるなど、魚の不思議に対する関心を深めていました。
子どもたちは実際に生き物を見て・触れて・学ぶことで、自然や地域の海に対する理解をさらに深める貴重な時間となりました。

参加した子どもからの声
〈子どもたちのコメント〉
・タイとかタコとかがいて、はじめて見る魚もいたので楽しかった。命の大切さを感じた
・(地引き網を)引っ張るところが楽しかった。魚の持ち方が勉強になった
・みんなと一緒に魚を観察することが楽しかった

次回3回目の学習は・・・
次回の学習テーマは「干潟の役割」です。
干潟は、海の豊かさを支える重要な場所でありながら、その役割はあまり知られていません。子どもたちは実際に干潟を訪れ、生き物の観察や潮干狩りを通して、干潟の生態系に触れます。自然のしくみや命のつながりを体感しながら、海や環境を守ることの大切さを学びます。

講師
宮崎大学農学部農学科海洋生命科学コース
村瀬敦宣(むらせあつのぶ)准教授

講師
さかな芸人ハットリ氏

講師
民宿紺碧
代表 甲斐宏明氏

メッセンジャー
MRT宮崎放送アナウンサー
古田 とわ
<団体概要>
団体名称 :一般社団法人海と日本プロジェクトinみやざき
URL :https://miyazaki.uminohi.jp/
活動内容 :日本財団「海と日本プロジェクト」の理念のもと、宮崎の豊かな海を未来へ引き継ぐ活動を行っている。

日本財団「海と日本プロジェクト」
さまざまなかたちで日本人の暮らしを支え、時に心の安らぎやワクワク、ひらめきを与えてくれる海。そんな海で進行している環境の悪化などの現状を、子どもたちをはじめ全国の人が「自分ごと」としてとらえ、海を未来へ引き継ぐアクションの輪を広げていくため、オールジャパンで推進するプロジェクトです。
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