ベーリンガーインゲルハイム、アファチニブの乳がん臨床試験プログラムを拡大

erbB2 (HER2)過剰発現転移性/炎症性乳がん患者を対象に

<この資料は、ドイツのベーリンガーインゲルハイム社(Boehringer Ingelheim GmbH)が8月29日に発表したプレスリリースを日本語に翻訳したものです。尚、日本の法規制などの観点から一部、削除、改変または追記している部分があります。この資料の内容および解釈についてはオリジナルが優先することをご了承ください。>

2011年8月29日、ドイツ/インゲルハイム

ベーリンガーインゲルハイムはこのほど、erbB2 (HER2)タンパク質を過剰発現する転移性乳がん患者(HER2陽性患者)を対象にアファチニブ*を検討する2つの第II相臨床試験、1200.89とLUX-Breast 2を開始すると発表しました。不可逆的erbBファミリー阻害薬アファチニブ*は、erbB2(HER2)を含むすべてのerbBファミリーキナーゼと不可逆的に結合します1。

* アファチニブは開発中の新規化合物です。その安全性と有効性はまだ完全には実証されておりません

1200.89試験では、乳がんの中でも最も悪性度の高い形質の1つであるerbB2(HER-2)陽性炎症性乳がん患者を対象に、アファチニブの有効性と安全性を検討します。

LUX-Breast 2試験では、erbB2(HER-2)陽性転移性乳がん患者を対象にアファチニブの有効性と安全性を検討します。対象は、現在施行しうる各種erbB2(HER-2)標的治療薬の投与後に病気が進行した患者です。

アファチニブは現在、LUX-Breast 1という重要な第III相臨床試験でも検討されています。LUX-Breast 1は、トラスツズマブの治療歴のある転移性erbB2(HER2)転移性陽性乳がん患者を対象とした国際共同治験です。同試験では、女性乳がん患者を対象に標準的化学療法のビノレルビンにアファチニブやトラスツズマブをそれぞれ併用投与したとき、がんの進行のみられない状態で生存している期間(無増悪生存期間)について、アファチニブ併用投与群とトラスツズマブ併用投与群とを比較検討します。また、LUX-Breast 1と1200.89試験では、腫瘍組織を用いたバイオマーカーの詳細検討も実施しています。

女性乳がん患者の約20~30%は、erbB2(HER2)受容体を過剰発現しています2。erbB2(HER2)タンパク質の過剰発現(陽性)は、erbB2(HER2)タンパク質の過剰発現のない腫瘍(陰性)の患者と比べて、より悪性度の高い乳がんや疾患進行および死亡リスク増大と関連しています3。

ケルン大学病院総合乳がんセンター(ドイツ)所長のProf.ナディア・ハルベックは次のように述べています。「悪性度の高いerbB2(HER2)陽性乳がん患者には、より多くの治療選択肢が早急に必要です。これらの試験は、新たな医薬品であるアファチニブがこの治療困難な患者への治療選択肢の1つになり得るかを検討するものであり、重要だと言えます」。

この新たな2つの臨床試験の開始は、ベーリンガーインゲルハイムが抗がん剤パイプラインを拡大し、更に研究開発を進める上で、重要なマイルストーンとなっています。

詳細情報:

LUX-Breast 1(1200.75)試験:1レジメのトラスツズマブ治療歴のあるHER2陽性転移性乳がん患者を対象としたアファチニブに関する研究
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01125566?term=LUX-Breast+1&rank=1

LUX-Breast 2(1200.98)試験: HER2治療無効例におけるアファチニブに関する研究
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01271725?term=afatinib+1200.98&rank=1

1200.89試験: erbB2(HER2)過剰発現炎症性乳がん患者を対象としたアファチニブに関する研究
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01325428?term=afatinib+1200.89&rank=1

参考情報:

LUX-Breast 2(1200.98)試験: HER2治療無効例におけるアファチニブに関する研究
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01271725?term=afatinib+1200.98&rank=1

この試験の主要評価項目は客観的奏効率です。副次的評価項目は、各治療期間中の最良の奏効率、客観的奏効期間、無増悪生存期間、安全性です。

選択基準は以下のとおりです。

• erbB2(HER2)過剰発現乳がんを有することが組織学的に確定診断されている18歳以上の女性患者
• ステージ IVの転移性疾患を有する
• RECIST 1.1により測定可能な病変が1つ以上ある。(皮膚、骨、脳の病変は非標的病変とみなす)
• ネオアジュバントまたはアジュバント療法として、トラスツズマブまたはラパチニブのいずれかによる治療を受けた、もしくはトラスツズマブおよびラパチニブによる治療が無効、またこれらの治療後に病気が進行した患者

1200.89試験: erbB2(HER2)過剰発現炎症性乳がん患者を対象としたアファチニブに関する研究
http://clinicaltrials.gov/ct2/show/NCT01325428?term=afatinib+1200.89&rank=1

この試験は、非盲検非ランダム化試験です。この試験の主要評価項目は、完全奏効、部分奏効、6カ月以上の病気の安定によって評価される臨床的効果です。副次的評価項目は、客観的奏効率、奏効期間、無増悪生存期間、安全性です。

選択基準は以下のとおりです。

• erbB2(HER2)過剰発現乳がんを有することが組織学的に確定診断されている18歳以上の女性患者
• 局所進行性または転移性疾患有する
• RECIST 1.1によって評価可能な病変を有する
• トラスツズマブ治療歴のある患者の場合、トラスツズマブ治療が無効であったこと
• 治験担当医師から炎症性乳がんの確定診断を受けている
• 生検可能な病変を有する

転移性乳がんについて

がん細胞が乳がんの原発巣から離れ、血流やリンパ系を通じて他臓器に転移した乳がんを、転移性乳がんといいます。乳がんは世界的に年間45万人以上が死亡し、世界全体で女性のがん死亡原因の1位となっています5。近年は早期発見とアジュバント療法により、乳がん死亡率は着実に減少していますが、転移性乳がんの予後は依然として悪く、5年生存率は約23%となっています6。

ベーリンガーインゲルハイムの腫瘍領域

ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器系疾患、心血管系疾患、代謝系疾患、中枢神経系疾患、ウイルス性疾患、免疫系疾患の分野での卓越した科学的専門知識を基盤に、革新的な抗がん剤を研究開発するため大規模な研究プログラムに着手しました。国際的な科学団体や世界的に権威ある多数のがん研究所と密接に連携を取りながら、ベーリンガーインゲルハイムは新規抗がん剤の研究開発に取り組んでいます。科学の進歩に支えられ、各種の固形がんや血液がんなど、医療ニーズの高い領域における幅広い標的治療薬の研究開発に取り組んでいます。

世界各国に400人以上の社員が新たな抗がん剤の創薬並びに研究開発に取り組んでいます。オーストリアのウィーンにあるベーリンガーインゲルハイムの最先端がん研究センターには意欲的で高度な専門技能を有する科学者が200人いるほか、世界各国に200人以上の科学者ががんの研究開発に携わっています。

ベーリンガーインゲルハイムは、世界各国の治験責任医師および患者が参加する広範かつ多様な国際共同試験プログラムを通じて、先駆的ながん治療の臨床開発に取り組んでいます。ベーリンガーインゲルハイムは、患者とその家族の人生により良い変化を提供する治療薬を開発するため、多額の財政支援をおこなっています。
ベーリンガーインゲルハイムの抗がん剤パイプラインは徐々に開発が進んでおり、これは抗がん剤に対するベーリンガーインゲルハイムの継続的なコミットメントを示すものです。

ベーリンガーインゲルハイムについて

ベーリンガーインゲルハイムグループは、世界でトップ20の製薬企業のひとつです。ドイツのインゲルハイムを本拠とし、世界で145の関連会社と42,500人以上の社員が、事業を展開しています。1885年の設立以来、株式公開をしない企業形態の特色を生かしながら、臨床的価値の高いヒト用医薬品および動物薬の研究開発、製造、販売に注力してきました。

2010年度は126億ユーロの売上を示しました。革新的な医薬品を世に送り出すべく、医療用医薬品事業の売上の約24%相当額を研究開発に投資しました。
日本ではベーリンガーインゲルハイム ジャパン株式会社が持ち株会社として、その傘下にある完全子会社の日本ベーリンガーインゲルハイム株式会社(医療用医薬品)、エスエス製薬株式会社(一般用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム ベトメディカ ジャパン株式会社(動物用医薬品)、ベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社(医薬品製造)の4つの事業会社を統括しています。日本のグループ全体で約3,000人の社員が、革新的な医薬品の研究、開発、製造、販売に従事しています。

日本ベーリンガーインゲルハイムは、呼吸器、循環器、中枢神経などの疾患領域で革新的な医療用医薬品を提供しています。また、グローバルな研究・開発の一翼を担う医薬研究所を神戸に擁しています。詳細は下記をご参照ください。
www.boehringer-ingelheim.co.jp

References:

1 BI data on file
2 Penault-Llorca F et al. (2005) ‘Incidence and implications of HER2 and hormonal receptor overexpression in newly diagnosed metastatic breast cancer (MBC) Journal of Clinical Oncology vol.23 S69
3 Slamon D et al. (1987) ‘Human breast cancer: correlation of relapse and survival with amplification of the HER-2/neu oncogene’, Science, vol. 235, pp. 177-87
5 Ferlay J et al. Estimates of worldwide burden of cancer in 2008: GLOBOCAN 2008. Int J Cancer 2010; EPub Ahead of print.
6 Howlader N et al. SEER Cancer Statistics Review, 1975-2008, National Cancer Institute. Bethesda, MD, http://seer.cancer.gov/csr/1975_2008/, based on November 2010 SEER data submission, posted to the SEER web site, 2011.

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会社概要

URL
http://www.boehringer-ingelheim.co.jp
業種
製造業
本社所在地
東京都品川区大崎2-1-1 ThinkParkTower(17階)
電話番号
03-6417-2200
代表者名
ヤンシュテファン・ シェルド
上場
未上場
資本金
-
設立
1961年06月