【岐阜県高山市】寒さと雪の反射がもたらす美しい色彩~飛騨染の寒ざらし~
「飛騨染」とは、春と秋の高山祭をはじめとする岐阜県飛驒地方の祭りを彩る、獅子舞や闘鶏楽(とうけいらく)と呼ばれる伝統芸能などの衣装に使われるもので、豊穣を願って竜や鳳凰(ほうおう)などが鮮やかに描かれてます。
飛騨染の作業は、色を入れない部分は着色しないよう糊付けをし、色を入れる部分には9色の染料を使い刺すように色をつけます。
染める際には、タンパク質で色を固定するため大豆の汁を使い、樹脂と顔料で染めています。また、使用する顔料は、赤や茶は土から、グレーは墨から、緑は金属からなど、自然由来のものを使用しています。
寒ざらしの作業は、色染めした生地を天日干しで寒風にさらし、鮮やかな発色と色の定着を促すもので、布に描かれた柄の色鮮やかさを引き出すための大切な作業です。
高山市で唯一、祭衣装を手掛ける染物店「ゆはら染工」では、年明けから飛騨染の作業を開始し、1月30日(火)より寒ざらしの作業に取り掛かりました。太陽の日差しが降り注ぐ中、従業員5人で雪の積もった干し場で竹ひごを使い、 竜や鳳凰などが描かれた生地(反物)をピンと張ってしわを伸ばします。
この日の最低気温は氷点下6.5度。雪の上で冬の日差しと冷たい風にさらすと、太陽光が雪に反射しオゾンが発生することで白い部分が漂白され、より色が際立ちきれいに仕上がるということです。また、寒い中に干すことで大豆の成分が凍り、透明感も出るそうです。
5代目となる柚原雅樹社長は「今年は比較的暖かいため、例年に比べて寒ざらしには適していませんが、なるべく寒い日に実施して良い色が出ることを祈っています。」と話されました。この寒ざらし作業は2月末ごろまで行われます。
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