運行管理システム「Dispatcher」に、自動運転バスの定常運行を行う現場の要望を反映した新機能を搭載
ソフトバンク株式会社の子会社であるBOLDLY株式会社(ボードリー、代表取締役社長 兼 CEO:佐治 友基、以下「BOLDLY」)は、自動運転車両の運行管理を行う交通事業者や全国各地の自治体からの要望を受け、BOLDLYが開発・提供する自動運転車両運行管理プラットフォーム「Dispatcher(ディスパッチャー)」に新機能を搭載しました。
「Dispatcher」は、自動運転車両を遠隔地から運行管理するためのシステムで、自動運転バスをはじめ、ドローンや車椅子、物流ロボットなどの多様な自動運転モビリティ30種類と接続できます。車両情報の表示やアラート通知などの基本的な運行管理機能を備え、国内4カ所で定常運行している自動運転バス(計6台)の遠隔監視に利用されており、安全安心な運行を支えています。2017年に提供を開始して以降、開発者が自ら現場に足を運び、「Dispatcher」を利用する交通事業者からの要望などを踏まえ、本当に必要とされている機能が何なのかを追求して開発を重ねてきました。このたび、こうして把握した現場からの声を基に、日々の運行管理や乗客の利便性向上に役立つ各種機能を追加実装しました。
BOLDLYは、今後も「Dispatcher」のアップデートを続けて「Dispatcher」の普及を推進し、地域や企業の持続可能な移動サービスの実現に貢献することを目指します。
◼︎2022年6月以降に搭載した「Dispatcher」の主な新機能
1.車内移動検知AI(2023年3月提供開始)
車内に設置したカメラの映像を基に、車両走行中の乗客の立ち歩きをAI(人工知能)で検知して遠隔監視者にアラートで通知します。本機能は乗客の頭の動きをAIで認識して立ち歩きを検知する仕組みで、アラートが通知された際に、遠隔監視者は「Dispatcher」で車内の状況を確認したり、注意喚起の車内アナウンスを流すなどの対応を行えます。本機能は車高の高い大型バスにおいて真上から捉えた映像にはすでに対応していましたが、開発・検証を重ねることで、今回新たに車高が低く斜め上からの映像しか取得できない場合にも対応し、「車内移動検知AI」として正式に提供を開始しました。
2.Dispatcherコネクト(API提供)(2022年6月提供開始)
「Dispatcher」で取得した車両の位置情報やアラート情報をAPIで提供し、他のシステムと連携できます。例えば、茨城県境町の遠隔監視センターで自動運転バスの運行管理を行う株式会社セネックでは、APIで提供される「Dispatcher」のアラート情報を基に遠隔監視センター内のパトランプを点灯してサイレン音を鳴らす仕組みを構築し、アラートの見逃しを未然に防ぐのに役立てています。
3.LINEバス予約(2022年10月以降提供開始)
「LINE」で自動運転バスの予約をすることができます。
①配車予約(2022年10月提供開始)
乗りたいバス停と降りたいバス停、乗車時刻を決めて予約すると、指定したバス停・時刻にバスが自動で配車されます。これにより、乗客は時刻表にとらわれず好きなタイミングでバスを利用することができます。
②定期便乗車予約(2023年2月提供開始)
定常運行しているバスの乗車予約ができます。乗りたいバス停と降りたいバス停、乗車したい便を選んで予約すると席が確保されます。これにより、バスが満員で乗車できないというトラブルを避けることができます。
4.地図カスタマイズ機能(2023年2月提供開始)
「Dispatcher」で表示する地図をカスタマイズできます。GeoJSON※形式で地図上に任意の図形を描画し、そこに階数・色・名称などを指定して表示可能です。公道ではなく敷地内のコースを走行する自動運転バスや、建物の中を移動する車椅子を「Dispatcher」と接続する場合、通常の地図ではモビリティの走行状況を把握しづらいという課題がありました。本機能により、敷地内のコースや建物の階層(地下や地上階)を表現することが可能になりました。
※GeoJSON:地図上に図形を自由に表現できるフォーマット
5.ライセンス期限通知機能(2022年7月提供開始)
「Dispatcher」上で管理している車両や営業所、従業員それぞれに対して、各種許可証を登録して指定日に通知を出すことができます。これにより、例えば運行管理を行う交通事業者などは、道路使用許可や車検の期限を登録し、証書をファイルでアップロードして管理するとともに、期限切れの状況を防ぐのに役立てて安全な運行体制の構築に活用できます。
◼︎今後実装予定の機能
Dispatcherダッシュボード(2023年6月中に提供開始予定)
車内に設置したモニターやタブレットに乗客向けの案内を表示したり、乗務員向けのオペレーション機能を表示したりできます。バスの走行ルート、停車するバス停、到着予定時刻などを乗客向けに表示したり、乗務員がタッチパネル操作により遠隔監視室に発信して通話するなど、車内で必要とされる機能を備えています。これにより乗務員はキーボード操作をすることなく、運転操作と車内案内業務をシームレスに行うことができます。
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