【教職員アンケート結果】始業式の後ろ倒し実態調査 〜新年度準備期間、延びましたか?〜【2026年度ver.】

始業式の後ろ倒しにより残業・引き継ぎ不足などが改善 一方、5日間の準備期間を確保できた学校は全国でいまだ半数にとどまる

特定非営利活動法人School Voice Project

NPO法人School Voice Projectは、2023年度から「“#新年度準備期間を十分に”キャンペーン」を行い、「全国どこでも最低平日5日間の準備期間確保」を呼びかけてきました(詳細はこちら)。そうした成果もあってか、ここ数年で新年度準備期間を延長する自治体が徐々に増えてきています。

今回のアンケートでは、実際に準備期間が延長された学校で何が変わったのか、教職員がどのような効果を実感しているのかを中心に、新年度準備期間の実態を調査しました。

本記事の構成について

今回の記事では、前半部分にアンケート結果の概要、後半部分に各校種別・自治体別の詳細な分析を掲載いたしました。 後半部分 には、校種別の始業式日程の状況の詳細や、始業式日程を後ろ倒しにした自治体の一覧等をまとめています。

アンケートの概要

■対象  :全国の小〜高校年齢の児童生徒が通う一条校に勤務する教職員
■実施期間:2026年3月20日(金)〜2026年5月11日(月)
■実施方法:インターネット調査(実施時の設問はこちら
■回答数 :158件

【前半】アンケート結果

Q1. あなたの勤務校では、令和8(2026)年度の始業式は4月何日ですか

2026年度の始業式の日程について、158人(回答校数160校 ※重複あり)の中では「4月8日(水)」が最も多く35%(56校)、次いで「4月7日(火)」が29%(46校)、「4月6日(月)」が23%(37校)という結果でした。4月8日以降を合わせると46%(74件)となり、約半数の学校が、土日を除いて5日間以上の準備期間を確保できていることがわかります。

一方、地域別に見ると、関東は「4月6日(月)」が約4割と突出して多く、他地域より始業式が早い傾向が見られます。これに対して近畿は「4月8日(水)」が約6割、北海道・東北も「4月8日(水)」が半数と集中しており、始業式の日程が比較的遅め(=準備期間を長く確保できている)傾向があります。中部や九州・沖縄は4月7日を中心に日程が分散しており、地域によって準備期間の確保状況に差があることが読み取れます。

Q2. あなたの勤務校では、2023年度以降(ここ4年間で)、4月の始業式日程が後ろ倒しされ、新年度準備期間が延長されましたか?
Q3. 2022年度は始業式は4月何日でしたか?

ここ4年間で新年度準備期間が延長された学校は、全体の24%(38校)という結果になりました。このうち延長された学校に後ろ倒しされた期間を聞いたところ、「2日間」の後ろ倒しが最も多く(50%)、次いで「1日間」(34%)と1〜2日間の延長が約8割を占めました。

Q4. 以下の中から新年度準備期間が延長されたことで『改善された』と考える項目を選択してください(複数回答可 / 必須)

準備期間が延長された教職員(37人)に、どのような課題が改善したかを尋ねたところ、「教科や学級の準備が不十分になる」(84%)、「校務分掌の準備が不十分になる」​​(76%)と、教科・学級経営・校務分掌等の準備不足が改善されたという意見や、「休日出勤や残業が増える」(78%)のように労働時間の改善がなされたという意見が多く見られました。


このことからも、準備期間の延長が、教育の質の向上と教職員の働き方の改善を促す可能性が示されました。

Q5. トラブル回避などのため、“最低限必要”な新年度準備期間は、4/1から何日間だと思いますか(土日は除外)

回答を「~4日間」「5〜6日間」「7〜8日間」「9〜10日間」に整理して分析したところ、最も多かったのは「5〜6日間」で約56%(88人)、次いで「7〜8日間」が21%(34人)、「〜4日間」が11%(17人)、「9〜10日間」が10%(16人)という結果になりました。5日間以上と答えた教職員が約9割を占めており、大多数の教職員が最低でも平日5日間程度の準備期間が必要だと考えていることがわかります。

Q6. “万全の状態で新年度をスタートするため”に必要な新年度準備期間は、4/1から何日間だと思いますか(土日は除外)

前問と同様に回答を整理して分析したところ、「9〜10日間」(54人)と「7〜8日間」(53人)が約34%とほぼ同数で最も多く、次いで「5〜6日間」が約25%(40人)でした。万全の状態を求める場合、約7割の教職員が7日間以上の準備期間を必要だと考えていることがわかりました。

Q7. 新年度準備期間が短いことで原因で引き起こされたトラブルや困ったこと、もしくは延長されたことでよかったことを教えてください。(具体的なエピソードでぜひ)

準備期間が短いことの弊害

大きく「長時間労働・心身の疲弊」「引き継ぎ・情報共有・チーム形成の不足」「事務上の準備不備」「学級開き・授業準備・児童生徒対応への影響」の4つの観点での意見が寄せられました。
特に「長時間労働・心身の疲弊」については回答を記載した方のうち約半数が言及するなど、準備期間が短いことの弊害として広く認識されていることが伺えました。

時間外勤務や休日出勤で負担が増える

期間が短いと、勤務時間内には終わらないので、残業が増える【東京・小学校・教頭/副校長】

必要な引き継ぎや方針共有が十分にできない

準備期間が短いと、教職員同士が知り合ったり、学校の方針を話し合ったりすることが十分に出来ず、そこで起こったズレがその後に響くことが多い。【大阪・小学校・教員】

名簿・書類・ICTなどの準備が間に合わない

様々なICTアカウント作業等が間に合わないままスタートしてしまう。【京都・小学校・教員】

学級開きや授業準備に十分な時間を使えない

学年の子どもの名前も分からない。年間指導計画を読む時間がない。会議ばかりで、自分の仕事が出来ない。【東京・特別支援学校・教員】

準備期間が延長された効果

全体を通して、「物理的・精神的に余裕が生まれた」「準備や引き継ぎに十分に時間を取れるようになった」という声が寄せられました。

身体的・時間的・精神的に余裕ができた

5日間あると、職員同士でもゆとりがあるため、ちょっとした会話にも時間を割ける雰囲気が広がっていた。【新潟・小学校・教員】

準備が丁寧にできるようになった

始業式に配付される予定の書類等の準備が複数人で確認しながら準備できる【山形・小学校・教員】

引き継ぎや情報共有が丁寧にできた

着任者の立場ではしっかり、その学校のことの情報を整理して臨むことができる。1日の会議を適切な数、適切な時間で開催できる。時間割の設定に多少余裕が生まれる。【神奈川・中学校・教員】

Q8. 新年度準備期間について、教育委員会や学校管理職等へ伝えたいこと、あなたの考えや改善策などを自由にお書きください。

準備期間が延長されていない学校の教職員の声

日数を増やしてほしい

夏休み開始が遅れても良いです。二学期の始まりが早まっても良いです。4/1〜の準備期間を最低5日取れるように改善を希望します。【東京・小学校・教員】

教員の仕事量を減らしてほしい

教員がやらなくてもできることは、スクールサポートスタッフを積極的に活用してほしい。カーテンの取り替え、タブレットの整備、教科書の点検。【北海道・小学校・教員】

新年度の職場づくりの方法を改善してほしい

オトナ同士もグループで信頼関係をつくったり安心して本音を言える場づくりのための遊びや対話がしたい。新しいメンバーを迎えているのだから。【和歌山・小学校・教員】

準備期間が延長された学校の教職員の声

今後も継続してほしい

追われるように新年度を始めるのではなく、心に余裕をもって始められるように、これからもしてほしい。【山梨・小学校・教員】

さらなる延長を求めたい

本年度から本市は、準備期間が5日となりよかったが、やはり、初任者のためには、7日ほしいと感じる。授業のための教材研究、準備の時間が足りない。【長崎・小学校・校長】

準備期間以外の面でも改革をしてほしい

「主体的対話的で深い学び」をこどもに求めるのに、大人はそれをしたことがない教員が多いのは矛盾していると思います。対話をして、学校の基盤をしっかり整えてから、始業式をすれば、今ある問題の半分は解決するように思います。どうか、私たちに、時間をください。【愛知・小学校・教員】

その他

延長された分のところに研修が入っていて、結局自分の学級の準備をする時間がなかった。【沖縄・小学校・教員】

【前半】まとめ

今回のアンケートからは、新年度準備期間の不足が、教職員の長時間労働だけでなく、子どもたちを安心して迎えるための準備、引き継ぎ、職員同士の対話、学級・授業づくりにまで影響していることが示唆されました。

この課題は、今回初めて明らかになったものではありません。School Voice Projectが過去に行ってきた「年度始めの超過勤務」に関する調査でも、新年度準備が勤務時間内に収まりきっていない実態が繰り返し示されてきました。実際、2023年度~2025年度調査では共通して「9割以上が平日に超過勤務を実施」「半数以上が平日1日あたり2時間以上の超過勤務を実施」「6割以上が新年度最初の土日に持ち帰りを含めて何らかの業務を実施」といった実態が明らかになっています。

そもそも、多くの自治体では人事異動や新採用の辞令交付が4月1日となるため、新年度準備は「4月1日から始業式前日まで」の限られた平日で進めざるを得ません。過去記事でも指摘されているように、その期間には、学校全体・学年・校務分掌・自分の学級の準備が重なるだけでなく、GIGAスクール構想以降はICTアカウント管理等の業務も増えています。今回の自由記述で、名簿やICT設定、引き継ぎ、学級開きの準備不足が繰り返し挙げられたことは、こうした構造と重なります。

一方で、改善の実例もあります。木更津市では、学校管理規則を変更し、4月1日から土日を除いて5日間の新年度準備期間を毎年確保できるようにしました。また熊本市でも、学校管理規則を改訂して学年始休業日の終了を1日遅らせ、夏季休業日の調整などとあわせて準備期間を確保しています。いずれも、始業式の日程は「変えられないもの」ではなく、自治体の判断と制度設計によって見直し得ることを示しています。

今回の調査でも、準備期間が延長された学校では、教科や学級の準備、校務分掌、情報共有、教職員同士のコミュニケーション、残業・休日出勤の面で改善を実感する声が寄せられました。そういった観点からも、十分な新年度準備期間を確保することは、教職員の働き方改善にとどまらず、子どもたちを落ち着いて迎えるための重要な条件であることが言えるでしょぅ。

ただし、日数を増やすだけでは十分ではありません。延長された期間に会議や研修、調査対応、ICT設定、行事準備が詰め込まれてしまえば、学級づくりや授業準備、子どもの情報共有に使える時間は確保されません。始業式・入学式の日程やプログラム、ICT環境の整備主体やスクールサポートスタッフの勤務体制、行政調査の期間なども含め、年度初めの学校業務について「いつ、誰が、どのように行うか」を全体的に見直す必要があります。

「教員なら何とかする」という前提に頼るのではなく、勤務時間内に必要な準備ができる仕組みを整えること。新年度準備期間の確保は、教職員を守るためだけでなく、子どもたちにとって安心できる学校のスタートをつくるための、有効な一手と言えるでしょう。

【後半】各校種別・自治体別の詳細な分析

記事の後半では、 前半で紹介した調査の内容を校種別・自治体別にさらに深く分析していきます。

※アンケートでは同じ自治体に所属する教職員が複数名回答している場合があったため、後半で扱う結果については、それらを「1件」として集計しています。そのため、集計の合計値がアンケート総回答数(158人)と異なる箇所がありますので、ご留意ください。

1. 回答者の属性(地域分布・校種別の内訳)

回答者の地域分布については、関東が最も多く(33.5%:53人)、次いで近畿(18.4%:29人)、中部(15.8%:29人)となっている一方で、中国(7人)・四国(2人)からの回答者は少ない割合となっています。

加えて、回答者の所属は、94.3%(149人)が公立であり、私立(4.4%:7人)と国立(0.6%:1人)は少数となっています。

回答者の校種については全体的に小学校の回答数が多く(109人)、中学校(25人)、高校(15人)、特別支援学校(6人)と回答数が少なくなりました。その他の3人のうち2人は、教育委員会籍でした。

2. 始業式の日程(校種別)

小学校は4月7日に実施する学校が最も多く、準備期間を5日間以上確保できた学校(4月8日以降に始業式を実施した学校)は、約4割という結果になりました。

中学校については、4月8日に実施する学校が最も多く、7割以上の学校が準備期間を5日間以上確保することができたという結果となりました。

高等学校については、4月8日に実施する学校が最も多かったものの、全体的にばらつきが多い傾向が見られています。特別支援学校については、4月6日が最も多く、全体的に始業式の日時が早い傾向が見られました。

3. 準備期間の延長状況(校種別)

小学校は27.5%、中学校は24.0%が「延長された」と回答した一方で、高等学校・特別支援学校では回答者全員が「延長されていない」と回答しました。

小・中学校に比べて、高等学校と特別支援学校では準備期間の延長の動きが行われていない可能性があります。

4. 最低限必要だと思う準備期間(校種別)

全ての校種において、最低限「5日間」は準備期間が必要であると考えていることがわかりました。これまで、School Voice Projectでは「全国どこでも最低平日5日間の準備期間確保」を呼びかけてきましたが、これは一部の校種だけでなく、全ての校種で必要とされていることがわかります。

5. 自治体別の傾向

続いて、自治体別の傾向を見ていきます。以下に、2026年度の始業式の日程を自治体毎に整理した一覧と、2026年度に最低限必要な準備期間(5日間)を確保できた学校の割合を示しました。集計に際しては、始業式の日時が「延長された」と回答していた教職員の自治体の2022年度・2026年度の始業式日程について、各教育委員会のHPなどを確認し、延長が確認できた自治体のみ赤字で示しました。

アンケートに回答した教職員が所属する自治体のうち、2022年度と比較して始業式の後ろ倒しを行った自治体は24.2%という結果となりました。特に注目したいのが、後ろ倒しになった自治体が特定の地域に集中しているわけではなく、北海道から沖縄まで全国各地に点在していることです。自治体の規模は、政令指定都市から小規模な町村まで様々ありますが、各自治体がそれぞれで判断し、始業式の後ろ倒しを決定したことがわかります。また、多くの教員が最低限必要だと考える5日間の準備期間を確保できている自治体については、50.0%という結果になりました。

また、始業式の後ろ倒しが行われた自治体のみに着目すると、約73%(22/30件)の自治体で、5日間の準備期間を確保することができたことがわかりました。

6. 考察・まとめ【後半】

今回のアンケートでは、土日を除く5日間以上の準備期間を確保できている自治体は、小・中学校で48%(市区町村)、高等学校(都道府県)で50%という結果になりました。2023年度にSchool Voice Projectが行った2022, 2023年度の新年度準備期間のスクリーニング調査では、「平日5日間」の準備期間を確保できている自治体は、小学校(市区町村)で26%、都道府県(高等学校)で68%という結果でした(n=616)。

今回は、前回よりもサンプル数が少なく、単純比較することはできませんが、小・中学校(市区町村)においては改善の兆しが伺えます。実際に準備期間の延長を経験した教職員からは、負担の軽減や、準備時間の充実、時間外勤務の減少といった声を聞くことができ、準備期間の延長が教育の質の向上と働き方の改善の両面にポジティブな影響をもたらすことが示されました。

一方で、2022年度と比較して始業式の後ろ倒しを行った自治体は24.2%にとどまっており、4割以上の学校は最低限必要な準備期間(5日間)を確保できてないことがわかりました。また約7割の教員が「万全の状態」に必要だと考えている7日間以上の準備期間を確保できている学校・自治体はほとんどなく(5件:3.8%)、より一層の改善が求められます。

始業式の後ろ倒しは全国各地で少しずつ広がってきており、全国各地で確実な変化の兆しが見え始めています。一方で、準備期間として確保できる平日の日数は、日付だけでなくその年のカレンダー(祝日・土日の配置)にも左右されるため、年によってばらつきがあります。準備期間の延長が一時のムーブメントで終わらず、継続的な取り組みとして根付くように、今後も働きかけを行っていく必要があります。

School Voice Projectではすべての教職員が余裕を持って新年度を迎え、児童生徒にとって安心で質の高い教育環境が確保できる状況を作るために、引き続き情報発信・啓発や各自治体への働きかけを続けていきます。

※WEBメディア「メガホン」の記事(前半:https://megaphone.school-voice-pj.org/2026/07/post-7257/、後半:https://megaphone.school-voice-pj.org/2026/07/post-7257/2/)より、自由記述での意見の内容がご覧いただけます。また全回答のデータをDLしていただけます。

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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都港区浜松町2丁目2番15号 浜松町ダイヤビル2F
電話番号
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代表者名
大野睦仁
上場
未上場
資本金
-
設立
2022年08月