アクアリウム発の市民科学 環境移送ベンチャーイノカ、 総勢200名以上のアクアリストが参加する『INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL』を12月2日開催
当日は現地(渋谷・100BANCH)参加とオンライン視聴で全国から計200名を超えるアクアリストが参加し、厳正な審査を通過した6組のファイナリスト達が生き物の力を活用した革新的なアイデアのプレゼンテーションを行います。特別審査員を務めるのは桝太一氏(同志社大学ハリス理化学研究所 助教)、鈴木香里武氏(幼魚水族館館長)、北谷佳万氏(海遊館 魚類環境展示チーム サブマネージャー)、イノカのCAO(チーフアクアリウムオフィサー)増田の4名です。
また同会場にて海水淡水の垣根を超えた約100種類の生き物についての展示や、水環境問題に関心のある12の企業も交えた交流会を開催します。
・イベント開催の背景
イノカは、2030年までに世界での市場規模が約500兆円に達すると見込まれる「ブルーエコノミー」の拡大を牽引すべく、日本が有する固有の海洋・河川湖沼生物多様性を重要な資源と捉えています。これらの貴重な資源の保全を目指すことはもちろんのこと、医薬品や化学品、化粧品、食料品をはじめとする研究開発での利用を促進することにより、将来的なグローバル競争力の源泉とすることを目指しています。
日本は世界第4位の海洋体積を持つ国であり、海洋資源に関して量・質ともに恵まれています。
国内の海域に世界のサンゴ約800種のうち約450種類が分布し、淡水域には世界の水の約0.01%、地球表面の約0.8%という狭い面積にもかかわらず、地球上に生息する動物の10%以上(14万種以上)の種が生息していると言われています。しかしその豊かな日本の水域は、人間活動に起因する様々な影響(開発による汚染、生息環境の破壊、外来種の侵入)を強く受け、その生物多様性が急速に失われています。このような深刻な劣化状況にも関わらず、淡水域の生物多様性の研究と保全への投資は、国際的にも到底十分とは言えません。
イノカのコアテクノロジーである「環境移送技術」は天然海水を使わず、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係性など、多岐にわたる要素を考慮しながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて、任意の生態系を水槽内に再現するイノカ独自の技術です。
環境移送技術は、弊社取締役CAO(Chief Aquarium Officer)増田が個人の趣味で行っていたサンゴ礁生態系のアクアリウムの技術や知見と、弊社代表の高倉が持っていたAI・IoTの技術を掛け合わせることで誕生しました。現在では、完全閉鎖系かつ産卵時期をコントロールした世界初のサンゴ産卵成功など、一歩ずつ地球環境貢献に向けた研究を進めています。
イノカは、アクアリスト達の水槽内での生き物の長期飼育や繁殖方法確立といった技術や知見は、「市民科学」としての可能性を秘めていると確信しております。そうした人々を”生態圏エンジニア”と定義し、本イベントでは、アクアリストの技術や知見の発掘を目的としております。
水環境課題解決・活用を志す企業や研究者と、世界中の生き物を愛している人々が出会うことにより、次々に新たな技術がうまれる新たな流れを生み出し、人と自然が共生できる世界の実現を目指します。
本イベントには水環境の問題に関心のあるパートナー企業にも協力いただいております。各企業の取り組みとマッチングできそうな生態圏エンジニアを発掘し、研究開発やサステナビリティ活動とのコラボレーション事業もプロデュースしてまいります。
・開催概要
日時:2023年12月2日(土) 12時半開場 13時開会18時閉会(後夜祭は19時30分まで)
場所:100BANCH
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷3-27-1
渋谷駅南口から徒歩5分
特別審査員:桝太一氏(同志社大学ハリス理化学研究所)、鈴木香里武氏(幼魚水族館館長)、北谷佳万氏(海遊館 魚類環境展示チーム サブマネージャー)
パートナー企業:
プラチナパートナー ジェックス株式会社
ゴールドパートナー アオキシンテック株式会社、大成生コン株式会社、竹田設計工業株式会社、栃木精工株式会社、長谷虎紡績株式会社、100BANCH、フードテクノエンジニアリング株式会社
シルバーパートナー 神畑養魚株式会社、JFEスチール株式会社、ロート製薬株式会社
共催団体 2030生物多様性枠組実現日本会議(J-GBF)
特別協力 海遊館
タイムスケジュール:
12時30分 開場
13時00分 開会
ファイナリストによるプレゼン(6組)
15時30分 交流会
16時30分 結果発表
17時00分 交流会続き
18時00分 閉会式
後夜祭
19時30分 解散
公式サイトの申し込みフォーム(https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeZw_1tVFCw6hjj1e1uMWadza_Opk59HmI5FeSf9CiGGF3Frg/viewform)よりオンライン視聴予約を受付中。
・INNOVATE AQUARIUM FESTIVAL概要
INNOVATE AQUARIUM FESTIVALは「AWARD部門」と「EGG部門」の2つの部門によって構成されます。
AWARD部門は「発掘」をテーマに、アクアリストの独創性や革新的な飼育の取り組みを表彰する部門です。淡水海水を問わず、中学生から社会人まで幅広いアクアリストが参加し、アクアリストのロールモデルとなる人物を取り上げます。
EGG部門は「育成」をテーマに今年から新設されました。知識不足や資金等の問題から満足にアクアリウムに没頭できないジュニア世代向けに、学習プログラムの提供や資金面の補助を行い次世代のアクアリストを育成します。
そして今回開催されるINNOVATE AQUARIUM FESTIVALではこの2部門の参加者を集め、アクアリストそれぞれの飼育の価値観や工夫を共有し、展示や発表を行う「場」と「新たなコミュニティ」を提供します。
・INNOVATE AQUARIUM AWARDの特徴
『INNOVATE AQUARIUM AWARD』は、飼育者の知見や革新的な取り組みに焦点を当てたイベントです。審査基準は「福祉性」「継続性」「独自性」の3つです。
福祉性:生き物を健康的に飼育するためにどれだけ工夫をしているか
継続性:その生き物やシステムと、どれくらいの期間又は濃さで向き合い探求を続けているか
独自性:生き物の種類そのものの珍しさに限らず、独自の取り組みや研究を行っているか
以上の3つを審査基準とし、飼育者の持つ革新的な取り組みや卓越した知識を表彰するイベントです。
ファイナリストによる最終発表会では、上記3つの審査基準に加え、イノカ全面サポートのもと自身のアクアリウムと社会との接点(事業/研究開発)をどう作るかの「事業性」についても提案をしていただきます。そこでの内容は企業とのマッチングに役立てられ、イベント開催以降の社会実装へと進んでいきます。
多数のパートナー企業様のご支援により、賞金総額は110万円となり、応募総数96名の中から6組のファイナリストを選出しました。
昨年度の様子は以下からご覧頂けます。
https://www.youtube.com/watch?v=_fTQqjHFgLA
・当日プレゼンを行うファイナリスト
96組の応募の中から厳正な審査をへて選ばれたファイナリストについてご紹介いたします。
・かさ様
世界最大のクラゲ、キタユウレイクラゲの愛好家で、その有精卵を取るために北海道まで赴いて採集も行っている。自宅の水槽で様々なクラゲの幼生(ポリプ)を育て、成体になる前のストロビレーション(遊離)する過程などを撮影しSNSで発信している。
地球上で5億8000万年前のエディアカラ期から生存し続けてきたクラゲが秘める可能性や、飼育と観察を繰り返してきたからこそ知る魅力を活かした発表を行う。
・ゆすら様
水族館で出会ったウミウシに一目惚れしたことをきっかけに、自宅での長期飼育に挑戦している。ウミウシは飼育難易度が非常に高いことで知られており、その原因はほとんどの種類の餌が判明していないことにある。自身で採取してきたウミウシの食性を記録しながら飼育するとともに、欠損個体の再生にも成功。ウミウシの魅力や飼育方法の普及を目指して参加。
・諸貫 優人様
小型底生種のサメを飼育。水が汚れやすいことで知られているサメ水槽を、独自の濾過システムにより亜硝酸をほぼ0に保っている。そのノウハウをマニュアル化して多くのサメ飼育者にも影響を与え、飼育・繁殖方法の確率によりサメの研究に貢献することを目指す。1500L水槽を設置するために引っ越し、サメたちをより幸せに成長させることに熱を注ぐ。
・園原様、大塚様、ichi様
マリンボトルアクアリウムの魅力を『SONOメソッド』という独自の手法を軸に広め、自身での海藻販売やアクアリウム用品の開発も手がける。アクアリウムという切り取られた小さな世界を通じ海を愛する人を増やすために参加。これまで蓄積したノウハウや結果と改めて向き合い、磯焼け問題やブルーカーボンなど注目の集まる分野に寄与できる可能性を検討する。
・しん様
水生昆虫のゲンゴロウを複数種類飼育。熱心な愛好家がいる一方で、一般的にはなかなか眼に触れることの少ないゲンゴロウの魅力を伝える。これまでゲンゴロウ採集のために訪れた33都道府県。自宅での飼育や繁殖方法の研究とフィールドで得た経験を元に、生物多様性の大切さにも切り込む。
・ぺんちゃ〜ん様
アクアリストの中ではクリーナーフィッシュとして知られるオトシンクルスを愛し、累代飼育を行う。単なる「苔とり屋」に留まらぬオトシンクルスの魅力を発信し「オトシニスト」を増やすべく参加。オトシンクルスを取り巻く問題についても向き合う。
・イベント実施後の展望について
前回大会の受賞者のイベント後の取り組みについて、その一部をご紹介いたします。
グランプリを受賞した五十嵐様は、イノカに合流してマングローブ林を環境移送し、都市部でのマングローブ研究・保全を加速する「ブルーフォレストプロジェクト」を立ち上げました。またマングローブ生態系にスポットを当てた教育プログラム「出張マングローブラボ」が10月14日・15日にみなとみらい東急スクエア(神奈川県横浜市西区)で開催されました。
企業賞を受賞した山端葵子様は、日本固有種のアカハライモリが手足や尾、アゴ、目、心臓、脳までも、傷跡を残さず元通りに治すことができる優れた再生能力を有することに着目しました。小学生ながら、アカハライモリからの医療技術探索研究と並行して、アカハライモリが過ごせる環境の保全活動を行っています。昨年度のAWARD後には生き物好きの小中学生を対象にした交流会を開催し、他の飼育者や生き物好きとアカハライモリの価値の探求や、環境保全のために何ができるかを一緒に考える新しいコミュニティ作りの第一歩となりました。
第2回 『INNOVATE AQUARIUM AWARD』でもアクアリストのロールモデルを発掘するとともに、受賞者及び参加者とパートナー企業の取り組みをマッチングさせ、研究開発やサステナビリティ活動とのコラボレーションをプロデュースしてまいります。
・株式会社イノカについて
イノカは「人と自然が共生する世界をつくる」ことをビジョンに掲げ、国内有数のサンゴ飼育技術を持つアクアリスト(水棲生物の飼育者)と、東京大学でAI研究を行っていたエンジニアがタッグを組み2019年に創業したベンチャー企業です。
「海の見える化」をミッションに掲げ、自然を愛し、好奇心に基づいて飼育研究を行う人々の力と、IoT・AI技術を組み合わせることで、任意の生態系を水槽内に再現する『環境移送技術』の研究開発を推進しています。2022年2月には世界初となるサンゴの人工産卵実験に成功しました。
当社は、遺伝資源を含む海洋生物多様性の価値を持続可能にすることを目的として、「自然関連財務情報開示タスクフォース(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:以下「TNFD」)」の「TNFDデータカタリスト」にも参画しています。
会社名 株式会社イノカ
代表者 代表取締役CEO 高倉 葉太
設立 2019年4月
所在地 東京都文京区後楽二丁目3番21号 住友不動産飯田橋ビル1階
お問合せ innoawa_manage@innoqua.jp
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