【調査リリース】東京都23区旧耐震マンション比率ランキングNo.1は3棟に1棟が旧耐震の港区

マンション耐震診断の実施は約3割、耐震工事の実施は約1割に留まる

株式会社スマート修繕

 マンションやビルなど大型建物の修繕工事の見積、工事支援サービスを展開する株式会社スマート修繕(本社:東京都港区)は、東京都23区旧耐震マンション棟数比率についての調査を実施しました。あわせて、築40年以上のマンション区分所有者を対象に、お住まいのマンションの耐震・建替に関するアンケート調査を実施しました。

 マンションの高経年化は社会問題になっています。築40年超のマンションは現在81.4万戸であり、10年後には約2.4倍の197.8万戸、20年後には約4.5倍の366.8万戸となるなど、今後高経年マンションが急増する見込みです(*1)。特に、高経年マンションの中でも旧耐震基準のマンション(*2)は、老朽化以外にも耐震性の観点で課題があります。

 このたびスマート修繕では、東京都23区旧耐震マンション棟数・比率の調査と、築40年以上のマンション居住者に対して耐震・建替に関連したアンケート調査を実施しました。

*1:国土交通省「マンション政策の現状と課題」https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001313642.pdf

*2:1981年5月31日までに建築確認申請を受けた建物。以下、旧耐震マンション


◆調査サマリ

1.東京都23区旧耐震マンション比率No.1の港区は3棟に1棟が旧耐震。古くから発展している町ほど旧耐震マンションの問題は深刻に。

2.耐震診断、耐震工事、建て替えの検討有無から、マンションの耐震性や老朽化への関心の低さが明らかに。

3.自身のマンションの耐震性を把握していない人が約6割。興味関心はあるものの、工事費の負担には消極的

4.約7割の人はマンションの耐震性や強度に問題意識なし。4人に1人は災害への対策をしていない実態も明らかに。

◆調査概要

調査名   :お住いのマンションの耐震・防災に関するアンケート

調査対象  :築40年以上のマンション区分所有者

有効回答人数:189名

調査期間  :2025年1月14日(火)~2025年1月21日(火)

調査エリア :全国

調査方法  :インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」利用)

調査実施機関:株式会社スマート修繕

◆東京都23区旧耐震マンションランキング

 東京都23区の区ごとの全マンション棟数と、旧耐震マンション棟数から、旧耐震マンションの棟数と比率のランキングを作成。旧耐震マンション棟数のTop5は「世田谷区」「港区」「渋谷区」「新宿区」「杉並区」、旧耐震マンション比率のTop5は「港区」「渋谷区」「目黒区」「新宿区」「杉並区」となりました。特に港区のマンションは、3棟に1棟が旧耐震という実態が明らかになりました。

 古くから町が発展している地域では、旧耐震基準のマンションが多く、その比率も高い傾向にあります。これらの地域は地価が高く、周辺に空き土地が少ないため、高さ制限や施工の難易度が高くなることが予想されます。その結果、建て替えにかかる費用が高額になり、さまざまな問題が発生する可能性が高まります。

 また、旧耐震マンションが多い地域では、激甚災害時に建物が大きく倒壊するリスクが高まり、周辺地域にも甚大な被害を及ぼす可能性があります。倒壊によって火災の発生率も増加し、さらに被害が拡大する恐れがあります。また、倒壊した建物が原因で周辺道路が使用できなくなり、救助活動が困難になる場合や、住居が居住不可能な状態となることで、個人の復興が非常に困難になるなど、さまざまな問題が発生します。

<全ランキング>

◆耐震診断、耐震工事、建て替えの検討有無から、マンションの耐震性や老朽化への関心の低さが明らかに。

 築40年以上のマンション居住者に対するアンケート回答者の7割近くが「60歳以上」との結果となりました。この調査はインターネットを通じて実施されたため、実際には60歳以上の居住者の割合がさらに高いと考えられます。

 耐震工事や建て替えを行う場合、追加で工事費用を支払う必要があり、工事期間中は生活に制限が生じることも考えられます。しかし、居住者が高齢になるほど、高額な費用負担、工事による一時的な引っ越しに対してのハードルが高くなり現状維持を選択する傾向があります。高経年マンションの居住者は今後さらに高齢化が進むと予想されるため、万が一に備えマンションの耐震性や老朽化に積極的に対応していくことが求められます。

 「お住まいのマンションで耐震診断や工事を検討や実施したことはありますか。」との質問に対して、32.3%の方が「把握していない」、29.6%の方は「どちらも検討していない」と回答。これにより、全体の6割以上が自身のマンションの耐震性について関心を持っていない様子が伺えます。また、実際に耐震診断を実施しているのは全体の約3割であり、そのうち実際に耐震工事を実施したのは全体の1割にとどまりました。

 「お住まいのマンションで建て替えを検討したことはありますか。」との質問に対して、「(検討したことは)ない」と回答した方が66.1%でした。「把握していない」と回答した方も23.3%であり、多くの方はマンションの耐震性や老朽化について日常生活の中で気にすることがほとんどなく、何か問題が発生しない限り、対策の必要性を感じることがないと考えられます。

 「耐震診断、耐震工事、建て替えの検討や実施のきっかけを教えてください。」との質問に対して、「管理組合からの提起」と回答した方が55.8%でした。耐震診断や工事、建て替えの検討に関するアンケート結果から、マンションの耐震性や老朽化について関心を持つ方は少ないことがわかります。しかし、管理組合が主体的に検討・推進しなければ、将来的に大きな問題につながる可能性があります。

◆マンションの耐震性を把握していない人が約6割。興味関心はあるものの、工事費の負担には消極的。

 「お住まいのマンションの耐震性は把握していますか。」との質問に対して、約6割が「把握していない」と回答。「把握していないが、耐震性に興味関心がある」と回答した人は48.1%にのぼり、意識はしているものの、個人の中でその重要度が高くない様子が伺えます。また、「把握している」と回答した約4割のうち、「耐震性に問題がある」と回答した人は9%であり、耐震性を把握しているマンションの約4棟に1棟が耐震性に問題がある実態が明らかになりました。

 「お住まいのマンションを購入される際、耐震性は気にされましたか。」との質問に対して、「気にしなかった・論点に上がらなかった」、「あまり気にしなかった」と回答した人が過半数となりました。立地やコストを重視すると、耐震性には意識が向きにくく、結果として旧耐震マンションを選択してしまう方も多いと考えられます。

 一方で、5人に1人が「購入判断に関わる程度で気にした」「他の各種条件面と横並びの程度で気にした」と回答しており、旧耐震であることが売買の際のネックとなることが推測できます。

 「建て替え・耐震工事を実施する場合の費用の考え方について、一番ご自身に近い考え方を教えてください。」との質問に対して、46%の人が「修繕積立金の範囲で検討したい」と回答。しかし、修繕積立金の範囲で賄うとなると、実際は月々の修繕積立金が大幅に増額されることになりますが、それを許容しているわけではなく、現状の支出の範囲で対応してほしいという願望があることが伺えます。さらに、約25%の人は「極力費用はかけず現状維持したい」と回答しているため、合わせて約7割の方はマンションの耐震性を改善するための工事費の負担に消極的と考えられます。

 過去にスマート修繕にて、マンションの建て替えにかかるコストを試算した結果、戸あたり2,000万円の負担で建て替えが可能なマンションは、関東や関西などの国内人気エリアでも1%にも満たないことがわかっています(*3)。そのため、追加費用の負担なく既存の修繕積立金の範囲内で建て替えに対応することは現実的ではないと言えます。


*3:「【マンション建て替え】1戸2,000万円負担での実現性は、関東0.7%・関西0.3%/地方はより困難に」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000033.000097827.html


 「住んでいる中で主に耐震や強度に関連して困りごとや気になることはありますか。」との質問に対して、7割以上の人が「ない」「あまりない」と回答し、マンションの耐震性や強度について関心がない様子が伺えました。

 困り事や気になることが「ある」「たまにある」と回答した人に対して、「具体的に困っていること、気になっていることを教えてください。」と質問したところ、「建物自体の経年劣化」(63.5%)、「南海トラフなど巨大地震が来るのが怖い」(61.5%)と回答した方がともに6割以上となりました。

 「耐震・防災観点で、組合/個人として行っていることがあれば教えてください。」との質問に対しての回答TOP3は、「備蓄や防災用品の準備」(46.6%)、「家具や家電の転倒・落下の防止対策」(45.0%)、「避難場所や避難ルートの確保・把握」(33.9%)でした。25.4%は「特に行っていない」と回答しており、4人に1人は災害に対して何の対策もしていない実態も明らかになりました。

◆執行役員/組合営業責任者 兼 技術責任者 別所によるコメント

 調査全体を通して、築40年以上のマンション区分所有者の「耐震や防災に対する意識が低い」ということが分かる結果であったと考えられます。最も「所在時間の多い建物」が「耐震性・強度が低い」というのは、防災の観点からすると良い状態とは言えません。防災用品の準備や家具等の落下防止などの対策はもちろん必要ではありますが、災害対策で最も重視するべきことは「利用する建物の耐震性・強度」です。

 阪神・淡路大震災の経験から(*4)、旧耐震の建物が被災すると、大きなダメージを受けることが想定されます。建物は倒壊すると「潰れきる」という特性があります。隙間なく潰れますので、中にいる方が助かることはまずありません。建物がつぶれると、死亡してしまう可能性が非常に高くなりますし、前述の通り復興に大きな影響を与えてしまいます。

 防災対策の最重要項目の一つに「利用する建物が新耐震である事」という原則がありますので、しっかりと耐震診断、耐震工事を行うことをお勧めいたします。

*4:「阪神・淡路から20年。耐震基準が明暗をわけた」https://www.taishin-jsda.jp/column30.html

別所 毅謙

株式会社スマート修繕 執行役員/組合営業責任者 兼 技術責任者

マンションの修繕/管理コンサルタント歴≒20年、大規模修繕など多くの修繕工事に精通。管理運営方面にも精通しており、アドバイス実績豊富。 過去に関わった管理組合数は2千、世帯数は8万を超える。 スマート修繕では管理組合向けコンサルティングの責任者を務める。

◆「スマート建替」の概要

 スマート修繕では、老朽化マンションの適正な維持、再生という社会課題の解決に向け、マンションの建替経済性を可視化するサービス「スマート建替」を、現在、東京・赤坂限定でリリースしています。サービスサイト内の地図上にある各マンションアイコンをクリックすることで、そのマンションを建て替えた場合の負担度が分かる無料のサービスです。特定のマンションを調べたい場合は、検索窓からピンポイントでお調べいただくことも可能です。

 高経年マンションにおいては、修繕、耐震補強、建て替えなどが選択肢となりますが、その重要な判断材料の一つは、建て替えに伴う経済性、つまり各戸の負担額です。「スマート建替」を通じて建て替えに関するバリューなどの情報を得ることで、「建て替えも選択肢として検討しよう」、「修繕を続け、長く快適に暮らし続けることを目指そう」といった方針について考える機会としていただければと思います。

 現在、他エリアも準備中のため事前登録を受け付けています。以下サービスサイトよりご登録ください。

●サービスサイトはこちら → https://tatekae.smart-shuzen.jp/

◆株式会社スマート修繕について

 マンションやビルなど大型建物の大規模修繕など共用部工事の見積、工事支援サービス「スマート修繕」のほか、マンションの建替バリューを見える化する「スマート建替(ベータ版)」、大型建物の修繕工事の見積金額の査定を行う「スマート修繕顧問」、管理組合向けの金融商品の共同開発等、建物再生領域における事業を展開しています。専門知識のないマンション管理組合や不動産オーナーなどが、業界の事情に左右されることなく、フェアに取引できることを目指しています。

◆会社概要

  • 商号:株式会社スマート修繕

  • 代表:豊田 賢治郎

  • 入会団体:一般社団法人日本経済団体連合会(経団連) 企業会員

  • 事務所登録:一級建築士事務所(東京都知事登録 第66294号)

  • 事業内容:

    • 大型建物の共用部工事の見積もり、選定支援、工事支援サービス

    • 大型建物の修繕工事の見積金額の査定サービス

    • マンション建替の経済性、負担度可視化サービス(β版)

  • 所在地:東京都港区赤坂5-2-33 IsaI AkasakA 510

  • 企業URL:https://smart-shuzen.jp/company

◆お問い合わせ

 取材のお申込み、サービスのご利用お申込み、工事会社登録のご相談、各種提携のご相談などは、以下よりお問い合わせください。

問い合わせフォーム:https://smart-shuzen.jp/#contact

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

株式会社スマート修繕

9フォロワー

RSS
URL
-
業種
情報通信
本社所在地
東京都港区赤坂5-2-33 IsaI AkasakA 510号室
電話番号
03-4566-3013
代表者名
豊田 賢治郎
上場
未上場
資本金
-
設立
2022年01月