腫瘍浸潤リンパ球(TIL)輸注療法のためのTILの新規培養方法に関する慶應義塾大学医学部産婦人科学教室との共同研究契約に関するお知らせ
2023年6月28日にお知らせしましたように、当社は、慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と「先進医療B(進行子宮頸がんに対する骨髄非破壊的前処置および低用量IL-2を用いた短期培養抗腫瘍リンパ球輸注療法の第II層臨床試験)における、腫瘍浸潤リンパ球(TIL, Tumor Infiltrating Lymphocyte)の製造法の技術移転」に関する共同研究契約を締結し、現在、共同研究を進めております。
(https://ssl4.eir-parts.net/doc/4978/tdnet/2304556/00.pdf)
また、2024年2月6日にお知らせしましたように、当社は、細胞加工だけでなく、移転されたTILの培養技術を用いて、当社の新規パイプラインとしてTILの事業化を進める方針を決定し、現在、事業化の準備を並行して進めております。
(https://ssl4.eir-parts.net/doc/4978/tdnet/2389843/00.pdf)
この度、事業化に向けて、腫瘍浸潤リンパ球輸注療法のためのTILの新規培養方法に関する共同研究契約を慶應義塾大学医学部産婦人科学教室と新たに締結しましたのでお知らせいたします。
現在、当社では、①脊髄小脳変性症を対象とした幹細胞製品ステムカイマル、②ALSを対象としたiPS神経グリア細胞、③子宮頸がんを対象とした腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)の3つの再生医療製品の研究開発を推進しております。本共同研究により、③のTIL療法の事業化を加速してまいります。
なお、本件による2025年3月期連結業績予想への影響はありませんが、中長期的な業績向上に資するものと考えております。
TIL療法
腫瘍浸潤リンパ球輸注療法(TIL療法)は、患者本人のがん組織に含まれる腫瘍浸潤リンパ球(TIL)と呼ばれる免疫細胞を採取して体外で大量に培養し、患者にTILを戻す養子免疫療法の一種です。TIL療法は米国を中心に、1980年代より主に進行悪性黒色腫に対して実施され、治療効果が報告されてきました。悪性黒色腫に対するTIL療法の成績は、腫瘍が縮小した患者(奏効率)が約7割で、病変が完全に消失する割合(完全奏効)は約2割とされ、さらに、完全奏効の患者では少数の例外を除き再発しないことが知られています。再発子宮頸がんでも9例の報告があり2例の完全奏効が報告され、5年以上再発していません(J Clin Oncol, 2015. 33: 1543-5)。
米国では、2024年2月に、転移性メラノーマを対象としたTIL療法が、固形がんを対象とした初の免疫細胞療法として米国FDAで承認されています(薬価515,000米ドル)。
以上
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