「GXの産業界への影響と対応」研究プロジェクトにレポートを掲載
「企業による再生可能エネルギー電力の調達動向と取組みのポイント」
東京海上ディーアール株式会社は、2024年10月から調査研究プロジェクト「GXの産業界への影響と対応」を実施しています。このたび研究成果として、「企業による再生可能エネルギー電力の調達動向と取組みのポイント」を発行いたしました。詳細は本プロジェクトの概要ページをご覧ください。
レポート概要
今年2月に日本経済新聞が報じた調査によれば、パリ協定における「1.5度目標」の達成を自社の目標として宣言した企業のうち、「計画達成ペースを維持する企業数は世界で61%に留まった(日本企業は76%)」とされます。すなわち、脱炭素に向けて先進的に取り組む企業であっても、必要なスピード・規模での取組みが実行できていないということです。当然、社会全体では、2050年のカーボンニュートラル実現に向けて脱炭素化の取組みや関連する投資をさらに加速していく必要があると言えます。
日本では、CO2排出量の約93%にあたる約9.2億tがエネルギー起源であり、さらにそのうちの約4億tが発電に由来しています。発電部門の脱炭素化には大きな投資が必要となりますが、自由化された環境下では、市場競争に任せて投資を促すことが容易でないのが実情です。そのため、これまでに、FIT(Feed-in Tariff)/FIP(Feed-in Premium)制度や長期脱炭素電源オークション制度等のインセンティブ措置が図られてきたほか、2026年度からの排出量取引制度の本格開始を皮切りとしたカーボンプライシングの導入も予定されており、電源投資を取り巻く環境は新たな局面を迎えつつあります。
他方で、そうした制度のみに依らず、需要家による選好や主体的な調達行動が非化石電源(特に再生可能エネルギー電源)の投資を後押しする重要な役割を果たし始めている状況もみえてきています。そこで本稿では、需要家による再生可能エネルギー電力(以下、「再エネ電力」)の調達手法を概観しつつ、特に上記のような電源投資の課題解決にも寄与するPPA1 に焦点を当てて、企業の動向や取組みのポイントを整理していきたいと思います。
「GXの産業界への影響と対応」研究プロジェクト概要
GX(Green Transformation)とは、化石燃料をできるだけ使わず、クリーンなエネルギーを活用していくための変革やその実現に向けた活動のことを指します。
現在の産業・社会構造は化石燃料の使用を前提に最適化されたものです。従って、GXは、単なるエネルギー政策の転換にとどまらず、社会の様々な分野に変化をもたらし産業界にも大きな影響を及ぼします。
本プロジェクトは、そのようなGXの与える影響をエネルギー、産業・競争、金融・資本市場、貿易・通商、技術、等の多様な観点から分析し、産業界に必要な対応を検討します。
研究の成果については当社ホームページにレポートとして発信する他、セミナー等も予定致しております。