東京・大阪 シンポジウム 大盛況のうちに閉幕
「国際ビジネスセンター・ハイエンド市場としての香港の価値を再評価する」
香港貿易発展局・日本香港協会主催により、東京・大阪の2会場で開催されたシンポジウム「国際ビジネスセンター・ハイエンド市場としての香港の価値を再評価する」には、両会場合計で約450名の業界関係者が参加、大盛況のうちに閉幕しました。シンポジウムには、各業界のビジネスリーダーや専門家が集結、日本企業にとってのハイエンド市場としての香港の魅力と潜在力、「広東・香港・澳門大湾区(GBA)」を含めた中国大陸全体やASEAN 等の広域中華経済圏における香港の国際ビジネスセンター機能を踏まえ、香港の有用性と将来性について活発な議論が交わされました。
業界のキーパーソンが集結 活発な議論と意見交換を通じて見えた新たな香港ビジネスの可能性
2024年11月21日(木)、インターコンチネンタルホテル大阪にて開催された同シンポジウムは、香港貿易発展局の游紹斌(ベンジャミン・ヤウ)日本首席代表の開会挨拶、近畿経済産業局の信谷和重局長の歓迎挨拶、中華人民共和国駐大阪総領事館薛剣総領事、香港経済貿易代表部レオ・ツェー首席代表代理による来賓挨拶で盛大に幕を開けました。
その後、アライアンス・フォーラム財団の原丈人会長による「最新の国際情勢~日中関係・日米関係から読み解く真の香港の利用価値とは?」と題した基調講演が行われました。続くパネルディスカッションでは、「国際ビジネスセンター/市場としての香港の役割、機能と活用法」をテーマに、日本貿易振興機構の高島大浩理事がモデレーターを務め、ロート製薬株式会社の山田邦雄代表取締役会長、EPSホールディングス株式会社鷲北健一郎執行役員、京阪ホールディングス株式会社の加藤好文代表取締役会長CEO各氏がパネリストとして意見交換を行い、香港貿易発展局の馮政淼 (リッキー・フォン)大阪事務所長による香港貿易発展局と日本香港協会の事業紹介に続き、関西日本香港協会の戒田真幸会長による閉会の挨拶で幕を閉じました。
香港の魅力を語る:専門家が集結したパネルディスカッション
香港について、京阪ホールディングス株式会社の加藤代表取締役会長CEOは、その優れた英語環境、食に対する関心の高さ、さらにオーガニックや漢方、エステや化粧品への旺盛な購買・消費力について触れました。また、香港からの訪日観光客の多さとリピーター率に言及し、日本市場における訪日香港人の訪日の重要性を語りました。さらに、同社が今年9月に開業した商業施設「枚方モール」と日本初出店となる香港の「香港飲茶 YUMCHA」について紹介しました。加えて、2025年の大阪・関西万博や京阪電車による京都旅行の促進、香港とのビジネス連携の可能性についても期待を示しました。一方、EPSホールディングス株式会社の鷲北執行役員は、香港がもつ歴史的背景に触れ、「香港は英国植民地時代および1997年の中国返還後も多様性を受け入れ、逞しく成長してきた経緯があり、今もそのモメンタム(勢い)は、中国本土から若手優秀人材を広く受けて入れる事によって更なる成長のステージに向かっている」と述べ、香港が有する強みについて強調しました。また、香港がアジアにおけるドル資金調達や各産業分野での助成金制度を導入しているため、アジアマーケット算入を視野に入れている日系・外資企業にとって、重要なビジネス拠点であると説明しました。
アライアンス・フォーラム財団の原丈人会長が登壇:香港の国際ビジネスハブとしての未来
東京と大阪の両会場で行われた基調講演では、「公益資本主義」を提唱し、安倍政権での内閣府参与として経済財政政策に対する助言を行い、続く菅政権、岸田政権、石破政権でも首相の指南役を務めているアライアンス・フォーラム財団の原丈人会長がプレゼンテーションを行いました。原会長は、一国二制度のもと、資金のフリーフローや自由貿易体制などの卓越した優位性を有する香港は、世界屈指の国際ビジネスハブとして発展し続けていることに言及し、香港が有する卓越したインフラのコネクティビティーの重要性について強調しました。また、香港における世界トップクラスの学術・R&D環境について、米国のカリフォルニア大学バークレー校やマサチューセッツ工科大学(MIT)などの著名大学が香港に研究所を設立し、AI(人工知能)やロボット工学分野における最前線の研究と応用開発が行われていることを紹介しました。また、東北大学と香港大学との間でも人工知能およびロボット工学分野での学術・研究協力パートナーの事例について述べるとともに、製薬、化学、食品、医療、デジタルヘルス、化粧品など分野において、複数の日系企業が香港と連携をとっていることを明かし、アジア地域に進出するために香港に拠点を置くメリットについて説明しました。加えて、中国本土政府の広域経済圏発展計画「広東・香港・澳門大湾区(GBA)」についても言及、その経済規模が人口8600万人、GDPが約2兆円とカナダ一国に匹敵する規模であること、その成長可能性について述べました。
2会場において、パネルディスカッションのモデレーターを務めた日本貿易振興機構の高島大浩理事は、パネルディスカッションの冒頭において、香港が有する国際金融、国際貿易、国際紛争解決拠点としての役割に加え、国際航空ハブとしての重要性や、イノベーションと知財取引センターとしての新たな魅力についても紹介しました。また、在香港日系企業を対象としたアンケート調査の結果から、香港のビジネス環境が1年前と比べて大きな変化はないと回答している企業が多数を占めていることについても報告しました。さらに、香港の経済状況に関しては、主に中国華南地区と世界各地の間の中継貿易地点として、海運から付加価値の高い航空貨物拠点への転換が進み、長年世界の航空貨物取扱量ランキング1位の座を維持していること、香港証券取引所における中国企業による時価総額比率が79.7%に達するなど、世界と中国本土を繋ぐ役割を果たしていることについても言及しました。加えて、今年10月末時点における香港からの訪日者数が累計217万人に達したことにも触れ、香港の消費経済の強靭さと、日本にとって香港が重要なビジネスパートナーであることを強調しました。
香港の成長可能性:財界のトップリーダーが語る
11月22日(金)に東京・如水会館で開催された同シンポジウムは、香港貿易発展局の游紹斌(ベンジャミン・ヤウ)日本首席代表の開会挨拶、香港経済貿易代表部レオ・ツェー首席代表代理の歓迎挨拶、中華人民共和国駐日本国大使館の羅暁梅公使と経団連日本・香港経済委員会の國部毅委員長(三井住友フィナンシャルグループ会長)の来賓挨拶に続き、アライアンス・フォーラム財団の原丈人会長による基調講演、続くパネルディスカッションでは、再びモデレーターを務めた日本貿易振興機構の高島大浩理事、株式会社商船三井の池田潤一郎取締役会長、住友商事株式会社の南部智一取締役副会長、ロート製薬株式会社の山田邦雄代表取締役会長の3名のパネリストがそれぞれ独自の見識を共有しました。1971年に香港に現地法人を設立した商船三井の池田潤一郎の取締役会長は、香港をアジアにおける重要なコンテナ船事業の拠点としての位置づけに触れ、同社の香港におけるFSRU事業を紹介しました。また、クルーズサービス事業における潜在市場としても、香港が国際的要所であると述べました。コンテナ取扱港湾ランキングでは、世界10位まで後退した香港ですが、特に中国本土からの貨物の多くが香港を経由している点、同地の通関手続きがユーザーフレンドリーである点、さらに物流拠点としてインフラ設備が非常に先進的である点が共有されました。
住友商事株式会社の南部智一取締役副会長は、香港が有する3つの強みとして、ビジネスプロフェッショナル、ビジネスインフラストラクチャー、そしてGBA(広東・香港・澳門大湾区)の巨大なエコシステムを挙げました。人材面では、法務、会計、科学技術などの分野において高い専門性をもつプロフェッショナル人材が揃っており、コモンローや簡素な税制など、世界でも類を見ないインフラを誇ると香港の優位性と魅力について力強く語りました。ロート製薬の山田邦雄代表取締役会長は、コンシューマービジネスにおけるプロモーション、香港の迅速な反応と柔軟な市場対応が企業にとって大きなアドバンテージであることを強調し、特に研究開発分野における目覚ましい発展について語りました。その後、香港貿易発展局の伊東正裕東京事務所長(日本香港協会理事)から香港貿易発展局と日本香港協会の事業紹介があり、日本香港協会佐藤征洋会長の閉会挨拶でシンポジウムは幕を閉じました。続くレセプションでは、アライアンス・フォーラム財団の原丈人会長による乾杯挨拶で華やかに幕を開け、登壇者と参加者間の歓談・交流が行われました。
【香港貿易発展局について】
香港貿易発展局 (HKTDC) は1966年に設立された公的機関であり、香港の貿易の促進、支援、発展を担っています。香港貿易発展局は中国本土の13カ所を含めて世界50カ所に事務所を設置し、香港が双方向でのグローバルな投資とビジネスの拠点となるよう尽力しています。香港貿易発展局は中小企業を主な対象に、中国本土および国際市場におけるビジネスチャンスを創出するため、展示会、国際会議、ビジネス使節などを運営・実施しています。また、最新の市場分析や製品情報を、貿易関連のデジタルニュースなどのチャネルを通じて提供しています。
詳しい情報は公式サイト:www.hktdc.com/aboutus(英語)、www.hktdc.com/Japan (日本語)をご覧ください。
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