ふるさと納税ポータルサイト各社の回答、自治体の75.5%が否定的に評価 359自治体調査
妥当と考える手数料率は「3~7%未満」が56.8%、国に「手数料率の上限設定」を求める自治体は76.3%
株式会社ふるさと納税総合研究所(FTRI)は、総務省による「ふるさと納税ポータルサイト手数料の引下げ要請」と、これに対するポータルサイト運営事業者各社の回答について、地方自治体を対象にアンケート調査を実施しました。2026年9月14日(月)から9月17日(木)までの回答364件を精査し、重複回答5件を除いた359自治体・47都道府県からの回答を集計しています。
総務省は、2026年9月11日、ふるさと納税のポータルサイト手数料の引下げ要請に対する運営事業者からの回答を公表しました。本調査は、この公表を受け、自治体が各社の対応をどのように評価しているか、今後どのような対応を検討し、国に何を求めているかを把握するために実施したものです。各社の回答内容は、総務省の公表資料「ふるさと納税のポータルサイト手数料の引下げに係る要請に対するポータルサイト運営事業者からの回答の公表」をご参照ください。
https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01zeimu04_02000164.html

総務省の要請は65.7%が肯定、各社回答は75.5%が否定的評価
総務省の手数料引下げ要請について、「非常に評価する」「ある程度評価する」の合計は236自治体(65.7%)でした。一方、運営事業者全体の回答内容は、「あまり評価しない」「全く評価しない」の合計が271自治体(75.5%)でした。回答自治体では、要請自体と各社が示した対応内容への評価が分かれています。

評価で最も重視されたのは「実際に手数料を引き下げたか」
Q3(複数回答)では、「実際に手数料を引き下げた、または引き下げる予定であるか」が274自治体(76.3%)で最多でした。次いで「引下げ対象となる寄附・プランの範囲」118自治体(32.9%)、「引下げ幅」116自治体(32.3%)、「各社の回答における説明の納得感」99自治体(27.6%)でした。
独自集客・低手数料受付は、評価と活用意向に違い
Q5では、自治体が自ら集客した寄附に低い手数料を設定する料金体系を、214自治体(59.6%)が否定的に評価しました。一方、Q6では「積極的に活用したい」「条件が整えば活用したい」の合計は224自治体(62.4%)でした。
主要4サイトへの評価を肯定・否定の両面から確認
Q4の肯定的評価は、ふるさとチョイス14.2%、楽天ふるさと納税11.7%、さとふる11.7%、ふるなび18.4%でした。いずれのサイトでも否定的評価が肯定的評価を上回りました。(利用自治体ベース)

否定的評価は46.8~57.9%、「どちらともいえない」は21.7~33.7%でした。各社の対応に肯定的な回答もある一方、否定的評価や判断を留保した回答がみられます。全サイトとも359自治体を分母としており、単純な順位付けを目的としたものではありません。
妥当と考える手数料率は「3~7%未満」が56.8%
Q7では、一般的なポータルサイトサービスで妥当と考える手数料率は「5%以上7%未満」が122自治体(34.0%)で最多でした。「3%以上5%未満」82自治体(22.8%)と合わせると、3~7%未満が204自治体(56.8%)となりました。

一方、「サービス内容によるため一律には判断できない」は91自治体(25.3%)、「わからない」は9自治体(2.5%)でした。妥当な手数料率の検討では、サービス内容との関係も考慮する必要があることがうかがえます。
独自集客時は3%未満が55.4%
Q8では、自治体が自ら寄附者を集客し、ポータルサイトが主に寄附受付・決済・データ管理等を担う場合、3%未満を妥当とする回答は199自治体(55.4%)でした。
77.7%が「費用内訳の開示が必要」
Q9では、サービスごとの費用内訳について、「非常に必要だと思う」115自治体(32.0%)、「ある程度必要だと思う」164自治体(45.7%)で、合計279自治体(77.7%)が必要と回答しました。
国に求める追加対応では「手数料率の上限設定」が76.3%
Q11(複数回答)では、「手数料率の上限を設定する」が274自治体(76.3%)で最多でした。次いで、費用内訳の開示100自治体(27.9%)、サービス内容ごとの料金の明確化90自治体(25.1%)、比較できる統一的な料金表示82自治体(22.8%)となりました。

今後の契約・運用では、低手数料プランの検討や費用対効果の検証
Q10(複数回答)では、「低手数料のポータルサイト・プランを検討したい」が125自治体(34.8%)、「現在利用しているポータルサイトに手数料引下げを求めたい」が121自治体(33.7%)、「ポータルサイトごとの費用対効果を改めて検証したい」が109自治体(30.4%)でした。
自由記述には、引下げの実効性や制度設計など幅広い意見
自由記述では、手数料引下げの実効性、上限設定、独自集客の難しさ、制度設計の見直しなどの意見がみられました。一方で、民間サービスの役割を評価する意見もありました。
Q12の自由記述を内容別に分類し、各カテゴリーの主な意見をFTRIが要約しました。「特になし」等と自治体名・個人名を含む回答は除外しています。以下は回答原文の引用ではありません。
01 実質的な手数料引下げへの要望
通常の寄附に適用される基本手数料が十分に下がらず、各社の対応による負担軽減は限定的との意見がありました。独自集客分への割引だけでなく、通常プランを含む手数料全体の実質的・段階的な引下げを求めています。
02 手数料の上限設定とルール化
事業者への任意の要請や自主的な対応だけでは限界があるとして、国による手数料率の上限設定や基準の明確化を求める意見がありました。具体的な引下げ目標、段階的な引下げの義務付け、事業者の参入要件など、実効性のあるルールを求める声もみられました。
03 自治体独自集客と低料率プランの実効性
独自集客には人員・ノウハウ・広告予算が必要で、対象となる寄附も限られるため、経費削減効果を疑問視する意見がありました。適用条件や広報上の制約も課題として挙げられ、割引率だけでなく、集客費用を含む総経費で効果を検証する必要性が指摘されています。
04 費用内訳の開示と料金比較のしやすさ
決済・システム・広告などの費用内訳や算定根拠を開示し、手数料の妥当性を判断できるようにしてほしいとの要望がありました。各社で含まれるサービスや費用が異なるため、引下げの有無や表面上の料率だけで比較せず、条件をそろえた一覧表示を求めています。
05 小規模自治体の交渉力と自治体間格差
小規模自治体が個別に交渉することには限界があり、寄附額の大きい自治体だけが有利な条件を得ることへの懸念がありました。国・都道府県による一体的な働きかけや共通基準を求めるとともに、独自集客プランによる自治体間の格差拡大を心配する声がみられました。
06 募集経費率と制度設計の見直し
手数料が下がらないまま募集経費率の上限が引き下げられると、寄附額の引上げや返礼品割合の縮小につながるとの懸念がありました。送料の扱いや返礼品基準、規制の整合性を含め、地域産業と寄附者への影響を踏まえた見直しを求めています。制度本来の目的や存続自体を問い直す意見もありました。
07 民間サービスの役割とサービス低下への懸念
ポータルサイトの集客力、利便性、制度普及への貢献を評価し、提供サービスに照らして現行手数料を妥当とする意見もありました。過度な引下げや規制が、サービス・セキュリティの低下、小規模自治体への支援縮小、自治体の負担増を招くことを懸念しています。
08 国による寄附受付基盤の整備
民間ポータルサイトへの依存や個別交渉の限界を踏まえ、国が主体となって寄附受付ポータルサイトを構築・運営する案がありました。全国で統一的に利用できる基盤を整え、手数料や取扱条件を共通化することを求める意見です。
09 総務省の要請への評価と今後への期待
要請が各社に手数料を検討する機会を与え、国や自治体の意向を示した点を評価する意見がありました。一方、要請だけでは不十分として、国の受け止めや今後の具体策の公表、継続的な働きかけ、関係者の対話を通じた改善を求める声もありました。
10 自治体の事務負担と運用体制への配慮
独自集客、料金体系の複雑化、毎年の制度変更への対応により、少人数・兼務体制の自治体では業務負担が増すとの指摘がありました。国の調査や個別要請の簡素化に加え、複数サイトの一元管理、掲載・更新作業の簡素化、契約切替えに伴う実務支援を求めています。
11 中間事業者を含む関連経費の見直し
ポータルサイト手数料だけでなく、中間事業者への委託料や広告費など、募集経費全体を見直してほしいとの意見がありました。関連経費の調査や内訳の明確化、契約のあり方の検討を求め、自治体や返礼品・配送事業者に負担が偏らない対応を望んでいます。
12 自治体の経費削減と利用サイトの見直し
事業者への引下げ要請だけに頼らず、自治体自身も経費削減に取り組むべきとの意見がありました。低手数料サイトや自治体公式サイトの活用、継続的な交渉を進める考えに加え、料率競争や寄附者への情報提供によってサイト選択を促す提案もみられました。
※要約は回答者の意見を整理したものです。回答自治体全体の総意やFTRIの見解・提言を示すものではありません。
調査概要
調査名称
「ふるさと納税ポータルサイト手数料の引下げ要請」に対する各社対応についての自治体アンケート
調査主体
株式会社ふるさと納税総合研究所(FTRI)
調査対象
ふるさと納税業務に関わる全国の地方自治体(1741自治体)
調査方法
Googleフォームによるアンケート調査
集計対象期間
2026年9月14日(月)~9月17日(木)
回答数
受領364件/重複回答5件を除外/有効回答359自治体(47都道府県)
重複の処理
同一都道府県・同一自治体の回答は、後の回答を採用。
割合の算出
全設問で359自治体を分母に算出。小数第2位を四捨五入。
複数回答
Q3・Q10・Q11は複数回答。割合の合計は100%を超える場合がある。
自由記述の整理
「特になし」等と自治体名・個人名を含む回答を除き、主な意見を12カテゴリーに分類・要約。複数の論点は各カテゴリーに反映。
※本調査は、回答が得られた自治体の意見を集計したものです。回答自治体の構成や回答意向等による偏りが含まれる可能性があり、全国すべての自治体の意見を代表するものではありません。
※端数処理により、割合の合計が100%とならない場合があります。
株式会社ふるさと納税総合研究所(FTRI)について
FTRIは、ふるさと納税制度・市場・自治体運営に関する調査・分析、自治体や事業者へのコンサルティング、制度・市場動向の情報発信等を行っています。
本件に関するお問い合わせ
株式会社ふるさと納税総合研究所(FTRI)
代表取締役社長 西田 匡志(中小企業診断士)
〒532-0003 大阪府大阪市淀川区宮原1-1-1 新大阪阪急ビル3階
電話:06-7668-8324
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