京都府立医科大学、摂南大学、株式会社プリメディカ、「2023年度グッドデザイン賞」を受賞
~腸内環境評価システムの開発「Flora Scan®」~
本デザインのポイント
1. 産学それぞれの強みを最大限に生かすことで、研究成果の早期社会実装を実現
2. 独自性の高い日本人の腸内フローラを正しく評価するための腸内環境評価システムの開発に着手
3. 腸内環境評価システムを応用することで、腸内フローラ検査サービス「Flora Scan®」の開発を実現
デザインが生まれた背景
従来、日本人の腸内環境は、食生活が異なる海外の研究や、測定手技が異なるそれぞれの国内研究に基づき評価されており、解釈が分かれることが課題となっておりました。そのため、三者共同研究として、日本人の腸内細菌叢を正しく評価するための腸内環境評価システムの開発に着手いたしました。
受賞者コメント
京都府立医科大学 生体免疫栄養学講座 教授 内藤 裕二
「腸内細菌叢に関する研究はますます盛り上がっており、トップジャーナルにも画期的な成果が数多く発表されています。人生100年時代とも言われ、健康長寿の延伸に向けて腸内環境の役割はますます重要となっています。健康な腸内環境の評価において腸内細菌叢を評価することは極めて重要であり、今回のエンテロタイプ分類の有用性が注目されています。私たちは京丹後長寿研究を進めていますが、このエンテロタイプ分類の有用性も確認し、今後とも新たな知見を報告していきます」
京都府立医科大学大学院医学研究科 医療フロンティア展開学 准教授 髙木 智久
「京都府立医科大学、摂南大学と株式会社プリメディカの産学連携をもとに、日本人の腸内細菌叢をパターン分類(エンテロタイプ分類)することができました。このエンテロタイプ分類は疾病や食習慣との関連があることが明らかになりつつあり、健康診断などの検査サービスのひとつとして社会実装を実現しました。今後、多くの方に健康管理・健康長寿を実践するツールのひとつとしてお役立て頂けましたらと思います」
摂南大学 農学部 応用生物科学科 教授 井上 亮
「『5つの腸内フローラのタイプ』というわかりやすい形で研究成果を社会実装できたことを嬉しく思います。また、継続的なシステムアップデートが可能な体制での運用が実現できたことは研究の発展という意味でも大きな成果です。研究成果の社会還元と研究の継続的な成長を同時に達成できる一つのモデルケースを示すことができたと考えています」
グッドデザイン賞審査委員による評価コメント
腸内細菌の研究を進める中で、欧米人を参考にするデータベースではなく、日本人固有の環境因子での評価にターゲットを絞った事で、独自性と評価機軸の信頼性が高く、医療機関での採用実績が多い点を評価した。産学連携で研究を社会実装へつなげた循環型のビジネスモデルは、利用者が増える事でその評価精度が上がり、社会還元の価値も高まる。また研究成果は、企業の商品開発にもデータを利用されるなど、オープンイノベーションのロールモデルとなっている。
今後の展望
本デザインによる産学連携体制は一時的なものではなく、継続的な共同研究を前提としており、腸内環境評価システムの継続的なアップデートを目指しています。京都府立医科大学、摂南大学による継続的な研究により新たなエビデンスを構築し、プリメディカによって研究成果の社会実装(≒事業化)を推進します。
腸内環境評価システムがアップデートされることで、日本独自の食文化に最適化した機能性食品の開発など、国民の健康寿命延伸に資する研究における標準的な評価指標として、幅広く⽤いられることを目指します。
腸内フローラ検査サービス「Flora Scan®」について
Flora Scan®(フローラスキャン)は京都府立医科大学、摂南大学、プリメディカの三者共同研究による研究成果を社会実装した腸内フローラ検査サービスです。
腸内環境評価システムを実装しており、日本人特有の腸内フローラタイプを5つに分類し、疾患との関連性や菌の多様性などを評価しています※1。
2022年7月には腸内フローラ検査サービスとしては全国初のふるさと納税返礼品として、大阪府枚方市に採用されております※2。
※1 特許第7193810号「疾患リスク評価のための腸内細菌叢のタイプ分類方法」
※2 https://www.satofull.jp/products/detail.php?product_id=1302436
受賞概要
受賞名
2023年度グッドデザイン賞
受賞内容
腸内環境評価システムの開発 「Flora Scan®」
プロデューサー
京都府立医科大学 生体免疫栄養学講座 内藤裕二
京都府立医科大学大学院医学研究科 医療フロンティア展開学 髙木智久
摂南大学 農学部 応用生物科学科 動物機能科学研究室 井上亮
ディレクター
株式会社プリメディカ 事業開発部 小川健太
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