「マティス ― 色彩を奏でる」展 開催レポート
赤ちゃん鑑賞会や、高齢者を対象にした対話型鑑賞会を実施
ポーラ ミュージアム アネックス(東京・中央区銀座)は、ポーラ銀座ビル15周年を記念し、ポーラ美術館が所蔵する20世紀を代表する画家の一人、アンリ・マティスの作品を展示した「マティス ― 色彩を奏でる」展を2024年10月4日(金)から27日(日)まで開催しました。今年最多の来場者数を記録し、盛況のうちに幕を閉じました。
当社グループでは「文化・芸術・デザイン」をサステナビリティ活動の一つの軸に据え、誰もがアートに触れられる機会を創出し、感受性を刺激して彩りある生活を多くの方に提供したいと考えています。そのため、ポーラ ミュージアム アネックスでは通年で企画展を入場無料で公開していますが、本展覧会ではより幅広い方々にお越しいただくべく、赤ちゃん連れや高齢者を対象にした鑑賞プログラムやワークショップ、若年層をターゲットにした音声ガイドの初導入など、さまざまな企画を行いました。
普段ギャラリーから足が遠のきがちな方にも、これを機にご来場いただけるよう赤ちゃん鑑賞会や対話型鑑賞会を実施しました。赤ちゃん鑑賞会ではご家族そろっての来場も多く、ひとつの作品をお子さまと眺め、話しかける様子が見られました。また対話型鑑賞会※では、認知症の方を含む高齢者に向けた会も設け、対話が進むにつれて口数が増え、表現が豊かになる様子がうかがえました。いずれのプログラムも、皆さまの生き生きとした表情から、アートを介することで感性が開いた状態でのコミュニケーションが生まれ活性化する、その作用を感じられる会となりました。この他にも、地域交流の一環として近隣の保育園児を招待したワークショップなど、創作を通じてマティスの魅力を感じていただけるプログラムも実施しています。
また、今回は当ギャラリー初の音声ガイドをTimeleszの松島聡さんをナビゲータ―に迎え導入しました。ご自身の感じたことも交えながらの音声ガイドは大変好評で、若年層やこれまでアートに馴染みのなかった方、遠方からも足を運んでいただくきっかけとなりました。
ポーラ ミュージアム アネックスでは、今後も多様な表現を持つアートとの出会いを提案することで、お客さまのQOL向上や社会の課題解決につながることを目指し、お客さまに対して、ひとりも取り残すことなく「感受性」を刺激し、「もっと楽しく、もっと心豊かに。人生を変えていくこと」を提供し、持続可能な社会の実現にむけて、活動してまいります。
なお、当社グループでは若手アーティストたちに発表の場を提供するなど継続的に支援を行っています。毎年、公益財団法人ポーラ美術振興財団での若手芸術家の在外研修に対する助成において、過去に採択されたアーティストのグループ展を開催しています。次回「ポーラ ミュージアム アネックス展2025」は2025年2月7日から4月13日まで、前後期に分けて、合計6名のアーティストを紹介予定です。
※対話型鑑賞会とは、進行役とともに作品を鑑賞しながら感じたことなどを自由におしゃべりするプログラムです
展覧会概要
展覧会名:マティス ― 色彩を奏でる
会 期:2024年10月4日(金) - 27日(日)【24日間】入場無料
会 場:ポーラ ミュージアム アネックス(〒104-0061 中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル3階)
主 催:株式会社ポーラ・オルビスホールディングス
後 援:在日フランス大使館 / アンスティチュ・フランセ
協 力:ヤマト運輸株式会社 東京美術品支店 / あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
U R L:https://www.po-holdings.co.jp/m-annex/
クローズアップ:対話型鑑賞会
10月7日に行った対話型鑑賞会では、午前の部では対象問わず、午後の部では65歳以上の高齢者向けに実施しました。以下にて、午後の部を詳しくお伝えします。
日 時:10 月 7 日(月)14:00 - 15:30
対 象:65 歳以上どなたでも(認知症の方とその介護者を含む)
参加者数:8名(うち認知症の方と介護者も含む)
希望者3名様は、ポーラ銀座ビル1階のポーラギンザでメークサービスを30分ほど受けていただき、その後3階のポーラ ミュージアム アネックスで約60分の鑑賞会を実施しました。進行役のファシリテーターとともに、みんなで1つの作品について思ったこと、感じたことを対話していきます。
▼認知症の方を含むグループの対話の様子
進行役「何が描いてあると思いますか?」
参加者「顔かな」
進行役「それは男性だと思う?それとも女性でしょうか?」「笑っていると思う?怒っていますか?」
進行役「周りのぽつぽつは何だろう?」
参加者「お金!」
進行役「お金、そうかもね。丸いもんね」「しゃべっているとしたら何て言っていると思う?」
参加者「これいくら?って言ってる」
ファシリテーターの投げかけに対し、一人ひとりが感じたことや思ったことを自由に発言しながら、「みんな感じ方が違うね」と進んでいきます。ある認知症の方は、対話が進むにつれて「右の方が前にでているように見える。立体感があるね」など表現の幅がどんどん拡がっているように見受けられました。
ポーラ ミュージアム アネックスで対話型鑑賞会を行うのは2019年のポーラ銀座ビル10周年展以来、今回で2回目です。前回「鑑賞会に参加するのを楽しみにしていて、今日はおしゃれしてきたんですよ」といったお声があったため、今回は初めて、化粧品メーカーである当社グループならではのサービスとして、ポーラギンザでのメークを鑑賞会前に行いました。プロのメークアップアーティストの手で、肌に触れて、メークしてもらう。それだけで表情がほぐれ、生き生きしたお顔に変わる様子が見られました。
その他のプログラムの様子
◆赤ちゃん鑑賞会 10月15日(火)
「どんな色かな?」「綺麗だね」など、お子さまと一緒に作品を眺めて話しかける様子や、家族同士の交流なども見られました。
◆切り絵のワークショップ 10月13日(日)、14日(月・祝)
切り絵アーティストの福井利佐氏を講師に迎え、「色彩を奏でる」をテーマに、マティスの切紙絵の技法を取り入れた作品を制作しました。
◆近隣の保育園の年長さんとのワークショップ 10月21日(月)
様々な形のシールや、ハサミで自由にカットしたパーツを組み合わせ、自分だけの「JAZZ」作品を制作しました。
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