「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」海外3都市(シドニー、リスボン、ロサンゼルス)での展示開催概要の発表

国立アートリサーチセンター(略称:NCAR、センター長:田中正之)は、日本の若手アーティストとキュレーターの国際的な活躍の促進を目的とする育成プログラム「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」(略称「JUMP」)を2024年度より実施しています。日本のアーティストとキュレーター3組計7名が、海外3都市の美術館と約1年半にわたり協働してきたプロジェクトの成果展示を、いよいよ2026年11月より順次開催します。
2026年11月7日(土)よりニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(オーストラリア・シドニー)において、アーティストの遠藤薫と荒井保洋(滋賀県立美術館 主任学芸員)による展示が開幕します。11月28日(土)からは、CAM – グルベンキアン・モダンアートセンター(ポルトガル・リスボン)にて、アーティストの青柳菜摘と見留さやか(山口情報芸術センター[YCAM]キュレーター)による展示が続き、さらに2027年2月25日(木)からは、ロサンゼルス現代美術館(アメリカ・ロサンゼルス)において、アーティストデュオのMES(新井健、谷川果菜絵)と塚本麻莉(高知県立美術館 主任学芸員)による展示を展開する予定です。
NCARでは本プログラム立ち上げ当初から彼らの活動を継続的にサポートしてきました。制作プロセスについては、JUMPウェブサイトにて公開をしています。本プログラムは、これからの日本のアートシーンを担うアーティストやキュレーターによる、約1年半にわたる海外機関との協働の成果を発表し、あわせて、人材育成を通じて国内のアーティストやキュレーターの国際的な活動を支え、展開していくことの意義についても示す機会となります。
【JUMPメンター】
片岡 真実(国立アートリサーチセンター エグゼクティブアドバイザー、森美術館 館長)

「長く続くネットワークを構築するためには、共に仕事を成し遂げ、信頼に基づいた人間関係を結ぶことがいちばん」と考え、国際協働を実感する仕組みとしてJUMPをデザインしました。この機会に国境も言語の壁も、そして未知の世界への躊躇など、さまざまな境界線を飛び越え、その先に長く続く関係性を育てていただけることを期待しています。
紆余曲折ありましたが、まずはその第一段階の成果としての展示を楽しみにしています。
ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館(オーストラリア・シドニー)での展示概要
会期:2026年11月7日(土)~2027年1月31日(日)
会場:ニュー・サウス・ウェールズ州立美術館 アジアランタンギャラリー
タイトル:Sleeping in the 22nd Century(二十二世紀の睡眠法)
Web:https://www.artgallery.nsw.gov.au/whats-on/exhibitions/kaori-endo/

アーティスト:遠藤 薫
1989年大阪府生まれ。東京都拠点。
沖縄や東北をはじめ国内外で、その土地に根ざした工芸と歴史を基盤に、主に染織技法を用い、生活と密接に結びついた政治との関係性を紐解く。雑巾や落下傘、舟やその帆、ガラス、陶芸などテーマに応じてさまざまなかたちをとり、工芸の本質を拡張することを制作の核とする。近年、無意識のかたちに触れるべく、自身の夢をもとに作品制作を行うアプローチも展開している。2019年「第13回 shiseido art egg」賞を受賞。
キュレーター:荒井 保洋(滋賀県立美術館 主任学芸員)
1986年福岡県生まれ。滋賀県拠点。
アーティストの制作に寄り添いながら、作品と空間の関係性が鑑賞体験に与える影響を軸に、キュレトリアルな実践を行っている。滋賀県立近代美術館のリニューアル工事に向けた長期休館中の試み「滋賀近美アートスポットプロジェクト」では、美術館以外を会場として、地元の人々と関係を築きながら、滋賀ゆかりの若手作家による新作を中心とした企画展を主導した。空き店舗や長屋、かつて銀行だった町家など、サイトスペシフィックな空間での展示をアーティストとともにつくり上げた。
CAM – グルベンキアン・モダンアートセンター(ポルトガル・リスボン)での展示概要
会期:2026年11月28日(土)~2027年1月4日(月) ※スタジオは2026年11月28日~30日
会場:CAM – グルベンキアン・モダンアートセンター サウンドルーム、スタジオ
タイトル:Sanitary Fables(衛生寓話)
Web:https://gulbenkian.pt/cam/

アーティスト:青柳 菜摘
1990年東京都生まれ。 東京都拠点。
映像メディアを用いた同時代芸術のアーティストとして、フィールドワークやリサーチをもとに、プロジェクトベースに主題を立て作品を発表している。作者自身の経験を表現する方法論として、観察、記録、物語、詩文を手がかりにタイムベースト・メディアの可能性を探究している。詩集『そだつのをやめる』(thoasa、2022年)が第28回中原中也賞を受賞。「コ本や honkbooks」主宰。2022年、National Museum of Women in the Arts(NMWA日本委員会)による第7回「Women to Watch」候補に選出された。
キュレーター:見留 さやか(山口情報芸術センター[YCAM]キュレーター)
1986年生まれ。山口県拠点。
男性中心主義や近代的な価値観のもとで捉えられてきたセクシュアリティやジェンダーに関する分類や分断の関係性を調査・研究している。方法論としては、キュレーションとエデュケーションを横断する仕組みに関心があり、地方の美術館やアート施設を軸に、特権的でない美術館のあり方を模索している。また、十和田市現代美術館在籍時には、ワークショップやギャラリートーク、アーティストインタビュー(ハンス・オプ・デ・ベーク、塩田千春ほか)、トークイベント(鈴木康広、森北伸、栗林隆、髙橋匡太ほか)を企画・担当した。
ロサンゼルス現代美術館(アメリカ・ロサンゼルス)での展示概要
会期:2027年2月25日(木)~3月7日(日)
会場:ロサンゼルス現代美術館 ゲフェン・コンテンポラリー
タイトル:セイ/SE-I/SAY
Web:https://www.moca.org/events/mes-se-i-say

アーティスト:MES
新井 健 1991年千葉県生まれ。 東京都拠点。
谷川 果菜絵 1991年北海道生まれ。 東京都拠点。
新井健と谷川果菜絵によるアーティストデュオ。2015年東京藝術大学在学中に結成。政治、災害、ジェンダーなど、さまざまな社会問題を主題とする芸術行為によって、既存の思想やシステムを新たな視点から問い直す。クラブカルチャーと現代美術を行き来しながら、光や熱を通して、世界の暗さを静かに、あるいは激しく照らすインスタレーションとパフォーマンスを行う。パーティー「MES presents REVOLIC -revolution holic/革命中毒-」をはじめ、演出・出演・オーガナイズと常にコラボレーティブで交差的な試みを探求している。
キュレーター:塚本 麻莉(高知県立美術館 主任学芸員)
1989年大阪府生まれ。高知県拠点。
保存修復の知識を背景に、「残すべきものは何か」を問いつつ、会場ごとの地域性や特性をいかしたキュレーションを行う。高知県立美術館では、2020年に高知ゆかりの作家を紹介する個展シリーズ「ARTIST FOCUS」を立ち上げたほか、2022年に同県出身の美術家・合田佐和子の回顧展を企画。美術館外の企画にも積極的に取り組み、若手・中堅作家の自主企画展を多数手がけてきた。開催地の歴史や文化を踏まえた「この場所でしかできない表現」を重視し、作家の実践を土地の文脈に接続しながら世に問う活動を続けている。
JUMP(アーティスト+キュレーター国際協働プログラム)について

日本の新進アーティストと若手キュレーターの国際的な活躍を支援する育成プログラムで、2024年度にスタートしました。海外3都市(リスボン、ロサンゼルス、シドニー)の美術館の協力のもと、3組のアーティストとキュレーターが、複数回にわたる海外滞在を通じてリサーチを行い、
それに基づく作品を制作し、現地の美術館で展示を行います。
育成対象となるキュレーターを公募で選出し、公募にあたり、国際経験や語学力などは不問としながらも、選出後は海外美術館との協働を通じて国際的な経験やネットワークを広げながら、各地でのリサーチに基づく企画・作品制作に取り組んできました。また、メンターによる助言を受けながら、国際的な実践の場で経験を積み重ねてきました。
本プログラムは、文化庁の補助金により独立行政法人日本芸術文化振興会に設置された「文化芸術活動基盤強化基金」における「クリエイター等育成プログラム(現代アート分野)」として、独立行政法人国立美術館国立アートリサーチセンター(NCAR)が受託し、実施しています。

<報道関係のお問合せ先>
国立アートリサーチセンター広報事務局 (株式会社プラップジャパン内)
担当:名取・岸・星川
TEL:03-4570-2273(平日10:00~18:00)
FAX:03-4580-9127 E-mail:ncar@prap.co.jp
<「JUMP アーティスト+キュレーター国際協働プログラム」事業についてのお問合せ先>
JUMP事務局(国立アートリサーチセンター 企画課(国際発信・連携室))
E-mail:jump_ncar@artmuseums.go.jp
<JUMPウェブサイト>
https://jump-ncar.artmuseums.go.jp/
<NCARウェブサイト>
すべての画像