使い古された焼成機から偶然生まれた「バウムクーヘン」。その誕生秘話。

株式会社ヤタロー(所在地:静岡県浜松市)の代表取締役会長・中村伸宏による「ヤタローと治一郎」が、 5月13日より全国書店で発売された。

「ヤタローと治一郎」書影

ある日ある時、浜松のパン工場の片隅にある旧式の焼成機から、不思議な食感のバウムクーヘンが焼き上がった。大手の菓子会社の下請けとして作っていた頃に比べて水分の含有量が微妙に多く、しっとりとしてすんなりと喉を通る。偶然出てきた基準外の『失敗作』が持つ新しい食感に感動した工場長たちは、この再現を試みる。こうして製品化し、高級自社ブランド化に成功した製品が、全国に多くのファンを持つあの名菓「治一郎バウムクーヘン」だったのだ。

パン製造を中心とする地方の食品メーカーが、ブランド名菓を生み出し販路を全国へ広げた奇跡の展開。これを可能にしたのは、株式会社ヤタローに培われていた「商品を育てる心」だ。

「もったいない」の精神で商品の可能性をあきらめず、独自の発想とたゆまぬ試行錯誤で発展させたその歩みを、50年以上にわたって経営のトップに立ってきた経営者自らが語る一冊。

「商品を育てる」姿勢が試行錯誤の礎に

浜松市のヤタロー本社工場横にある「工場直営店(アウトレットストア)」は、観光バスもそのコースに入れるほどの盛況ぶりを誇る。ここの看板商品「切り落としバウムクーヘン」は、形が不揃いで贈答品には向かないが、味は治一郎バウムクーヘンと変わらない。

しかし安定して売れようになるまでには、均一価格ではなくグラム売りを採用したり、型くずれしないよう特製陳列台を作ったりするなどの試行錯誤を経なければならなかった。

いきなり飛ぶように売れるヒット商品などは例外中の例外。あったとしても旬の時期は短い。逆にロングセラーと呼ばれる商品はたいてい発売直後には思うように売れず、営業マンや店舗販売員の様々な工夫から売れるきっかけを掴む。ヤタローは「商品を育てる」姿勢でそれをなす。そしてその背後にあるのが「もったいない精神」だ。主力の治一郎バウムクーヘンや、直販とECに絞った販路展開やバラエティ化を避け贈答用に絞る商品展開などは、丁寧なブランド戦略によって育てられた商品である。

経営者が故郷・輪島で培った「粘り強さ」を土台に、「工夫」「感謝」「信義」「共栄」「継承」という5つの理念を全国の販売拠点に広げ、目指すは300年の持続だ。そんな中堅メーカーの歩みは、地方都市から全国展開への夢を描く多くの企業にとって示唆に富んでいる。次世代を見据えた経営持続のためのノウハウを紹介する一冊となっている。

【書籍情報】

『ヤタローと治一郎』

ISBN:978-4-478-08504-2

定 価:1,600円(税別)

判 型:四六判 - 並製

発 行:ダイヤモンド・ビジネス企画

発 売:ダイヤモンド社

発刊日:2025年5月13日

【Contents】

■第1部

 第1章 「もったいない」の工場直売店売上が1000倍に!

 第2章 「治一郎」誕生秘話

■第2部

   第3章  山猿、三ケ日で蝮となる

   第4章  卸売りパンから新たな業態へ 

■第3部

  第5章 私の経営術

  第6章 300年の計を画す経営

   

    終 章 100周年に向けて

【著者プロフィール】

中村伸宏(なかむら・のぶひろ)

1943(昭和18)年4月、輪島市生まれ。旧姓平松。62年金沢大学附属高校卒、67年中央大商学部卒後、東急不動産(株)入社、70年退社。(株)シンコー商事設立、(株)ヤタロー(静岡県浜松市)創業社長の二女と結婚、77(昭和52)年7月(株)ヤタロー代表取締役社長就任。2015(平成27)年株式会社ヤタロー代表取締役会長、静岡石川県人会長。浜松市在住。


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会社概要

URL
http://www.diamond-biz.co.jp/
業種
情報通信
本社所在地
東京都新宿区弁天町1番地(事業本部)
電話番号
03-6743-0665
代表者名
岡田晴彦
上場
未上場
資本金
1000万円
設立
1972年02月