日本政府、レバノンの人道状況悪化の影響を受けるシリアの子どもたちを支援するため、UNICEFに100万米ドルの緊急無償資金協力を実施
45万人以上が水と衛生サービスへのアクセス改善の恩恵を受けます。
2024年10月31日 ダマスカス(シリア)発
日本政府は、シリアにおいてレバノン情勢の影響を受けるぜい弱なコミュニティを支援するため、国連児童基金(UNICEF)に100万米ドルの緊急無償資金協力を実施しました。本資金協力は、推定45万人の避難民とホストコミュニティ、特に女性や子どもたちの、安全な水と衛生サービスへのアクセスを改善することを目的としています。
「シリアにおける壊滅的な危機が始まって以来、日本は多分野にわたる包括的な支援を提供することで、シリアの人々の苦しみを緩和させるために真摯に取り組んできました。この度の緊急無償資金協力は、既存の危機に加えてさらなる困難に直面しているシリアにおいて、人道状況が悪化するレバノンからの避難民の流入への対応を支援します。この新たに発生した危機に対処するための、UNICEFや他の国連機関の取り組みと迅速な対応に感謝いたします。」と、辻昭弘 在シリア日本国大使館臨時代理大使が語りました。
2024年9月24日以降、レバノンにおける人道状況の悪化に伴って何十万もの家族がシリアに避難しており、その半数以上が子どもたちです。そして、多くの人々は、水と衛生サービスを緊急に必要としているコミュニティに身を寄せています。
13年にわたる紛争により、シリアでは必要不可欠なサービスが依然としてひっ迫しており、約1,356万人(うち44パーセントが子ども)が水と衛生に関する支援を緊急に必要としています。紛争や経済の低迷、そして2023年2月に発生した大地震のような自然災害の複合的な影響により、既にぜい弱だったシリアの社会サービスはさらに悪化しています。
レバノンにおける暴力の激化に迅速に対応するため、UNICEFは国境通過地点や受け入れセンター、ホストコミュニティにおいて、必要不可欠な水と衛生サービスの提供に重点を置いてきました。ホストコミュニティには新たに避難民が到着し続けており、水と衛生設備の復旧が極めて重要です。
日本政府の支援により、損傷した水と衛生設備を修復し、命を守る水と衛生サービスへのアクセスを改善することで、人々は復旧した水と衛生サービスの恩恵を受けることができます。また、インフラの改善に加えて、特に女性を対象にコミュニティのニーズに合った啓発キャンペーンを行い、緊急事態下における適切な衛生習慣の促進を支援します。
「安全な水と衛生サービスへのアクセスの改善が必要不可欠です。日本政府によるこの度の貴重なご支援は、子どもたちを含む避難民の緊急のニーズに対応し、水が媒介する病気や感染症のリスクを軽減させるUNICEFの活動を支えるものです。」と、UNICEFシリア事務所代表の木村泰政が語り、次のように続けました。
「この度の日本政府による緊急無償資金協力は、UNICEFが緊急の人道的ニーズに対応し、ホストコミュニティがサービスの需要増を吸収して、子どもが誰一人取り残されないようにするために必要不可欠です。心より感謝申し上げます。」
日本政府は、長年にわたってUNICEFの活動を支える重要なパートナーです。主要ドナーの一つである日本政府は、シリアのぜい弱な子どもたちや家族を支援するため、2020年から2024年にUNICEFに対し計6,300万米ドル以上の資金協力を実施しています。
■ UNICEFについて
国連児童基金(UNICEF)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190以上の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。
※UNICEF国内委員会が活動する33の国と地域を含みます
※UNICEFの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■ UNICEF東京事務所
UNICEF東京事務所は、ニューヨーク本部直轄の国連機関事務所として、日本政府からの政府開発援助(ODA)による資金協力や、国会議員、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)等との連携を促進しています。
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