アンリツとBluetest社が無線LAN規格IEEE 802.11be(Wi-Fi 7)機器のOTA測定を実現
本ソリューションは、Wi-Fi 7対応デバイスの総合放射電力(TRP)および総合等方向受信感度(TIS)の測定が可能です。ハイエンドスマートフォン、AR/VRデバイス、クラウドゲーム機などの高速データ通信が要求される機器のデバイスベンダは、実動作に近く再現性の高いOTA環境下で測定することができます。
開発の背景
Wi-Fi 7は、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6/6E)の後継規格として、最大実効速度30 Gbps実現を目標として標準化提案され、4Kを超える超高解像度ビデオストリーミングやAR/VRなど、最新のアプリケーションやサービスを支える技術として期待されています。Wi-Fi 7の規格策定は2024年に完了予定ですが、Wi-Fi 7のドラフト版規格に準拠した対応製品の開発が進んでおり、すでに市場に流通が始まっています。Wi-Fi 7は、4096 QAM変調・320 MHzチャネル帯域幅、マルチRUなどの従来技術の拡張に加え、マルチリンク伝送[※2]の技術が採用されており、RF性能の総合的な評価が求められています。
製品概要
ワイヤレスコネクティビティテストセット MT8862Aは、無線LANデバイスのRF評価用測定器であり、送受信電力が大きく変動するBluetest社製のリバブレーションチャンバ内の環境でも、広いダイナミックレンジによる安定した無線試験を提供します。今回の製品アップデートにより、2.4GHz/5 GHz/6 GHzの周波数帯の対応に加えて、320 MHz帯域幅に対応しました。また、2台のMT8862Aを使用することで2x2 MIMOの測定環境を簡易に構築可能です。アンリツのMT8862Aをはじめ、Bluetest社のリバブレーションチャンバをすでに購入されているお客さま向けに、製品アップグレード用パッケージも用意しています。
MT8862Aについてもっと詳しく
https://www.anritsu.com/ja-jp/test-measurement/products/mt8862a
Bluetest社のプロダクトマネージャであるKlas Arvidsson氏は次のように述べています。
「Bluetest社のリバブレーションチャンバは、アンリツのMT8862Aとの組み合わせにより、WLANデバイスの性能評価可能なコンパクトかつ高速ソリューションを提供します。オフィスのドアを通り抜けられるような非常にコンパクトなRTS25から、ウォークイン型のRTS95まで、さまざまなサイズのチャンバがあり、テレビやその他の家電製品のような小型から超大型なWLAN搭載デバイスの測定に対応しています。人がウェアラブルデバイスを装着した状態で測定することも可能です。」
当社IoTテストソリューション事業部第1ソリューションマーケティング部プロダクトマネージャ増原恵太は、次のように述べています。
「Wi-Fi 7は物理層の拡張にとどまらず、マルチリンク伝送といった革新的な技術が採用されており、3つの周波数帯を同時に効率良く利用することで、従来以上の快適な高速通信が実現できます。しかし、未然に問題を防ぎ、その能力を十分に引き出すためには、具体的な性能評価が必要です。アンリツはBluetest社と協業して、これまでOTA無線性能評価のための価値あるソリューションを提供してきました。この新しい測定システムは、効率的な無線性能評価に貢献すると確信しています。」
Bluetest社(Bluetest AB)について
Bluetest社(Bluetest AB)は、ワイヤレス機器や小型アンテナのOTA試験用リバブレーションチャンバ技術のパイオニアであり、マーケットリーダーでもあります。Bluetest社の革新的な技術は、世界大手の携帯電話メーカー、通信事業者、アンテナメーカー、その他のワイヤレスソリューションメーカーに採用されてきました。詳しくはhttps://bluetest.se/をご覧ください。
用語解説
[※1] OTA(Over-The-Air)
測定空間を介して電波の送受信を行い、無線機の信頼性、効率性および性能を正確に評価する試験。アンテナを含んだ完成品の無線通信性能を総合的に評価する場合に特に有効とされている。
[※2] マルチリンク伝送
MLO(Multi Link Operation)のこと。1つのデバイスが、異なる周波数にまたがる複数のチャンネルで同時接続することで、効率的にデータを送受信すること。
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