全国106JA・69品目・1500haの実証データを活用し、評価済200圃場の80%でバイオスティミュラント資材の費用対効果を確認

〜農林水産省ガイドライン・Eco-LAB自主規格に準拠した資材により、高温でもコメ増収、果菜類の着果不良、果樹の日焼け果の防止を実現〜

株式会社AGRI SMILE

株式会社 AGRI SMILE(本社:東京都千代田区、代表取締役社長 中道 貴也)は、全国32都道府県・106JAが参画した318圃場・69品目の実証※1を通じ、栽培中に取得した1500ha分の生育データを解析して、Eco-LAB自主規格※2に基づくバイオスティミュラント資材の最適な施用条件を明らかにしました。その後、収穫・経済性評価が完了した200圃場のデータを効果検証したところ、80%の圃場で収量・品質のいずれかに改善が確認され、費用対効果の再現率80%が得られました。具体的には、高温条件下における水稲の白未熟粒抑制や増収、根菜類・葉茎菜類の収量増加、果菜類の着果不良抑制、果樹の日焼け果抑制など、主要作物区分での改善が確認されました。

※1:AGRI SMILE「全国32都道府県・100のJAにて、農林水産省ガイドラインに準拠したバイオスティミュラント資材の試行導入と効果検証を開始」(2025年7月)https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000046.000039438.html

※2:AGRI SMILE(2025年4月)「日本初、バイオスティミュラント資材の適正利用に関する自主規格を公表」https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000039438.html

■背景

気象庁によると、2024年の年間平均気温は1991〜2020年の平年値を+1.48℃、夏季は+2.36℃上回るなど、観測史上最高を記録しました※3。これにより全国的に高温や異常気象が頻発し、農業生産に深刻な影響を及ぼしています。

水稲では白未熟粒の増加、果菜類では着果不良、根菜類・葉茎菜類・果樹では高温の影響によるサイズ低下や品質劣化に伴う出荷量減少が見られるなど、主要作物で高温障害が顕著になっています。これらの現象は地域や作物により異なるため、従来の栽培技術だけでは対応が難しく、結果として農家所得の地域格差や市場価格の変動リスクの一因となってきました。

こうした中、欧米では気候リスクに対する新たな解決策として、植物の生理機能を活性化し、環境ストレスへの耐性を高める「バイオスティミュラント」が注目されています。AGRI SMILEはこの技術を日本の気象・土壌条件に適合させるため、農林水産省ガイドラインに準拠した科学的検証体制を整備し、JAや産地試験機関と連携しながら、気候変動下でも安定した生産を実現する技術として、バイオスティミュラントの効果を定量的に検証する取り組みを進めてきました。

※3:気象庁(2025年7月)「気候変動監視レポート」https://www.data.jma.go.jp/cpdinfo/monitor/index.html

■効果検証について

AGRI SMILEは、2025年4月より、全国318圃場・69品目でバイオスティミュラント資材の実証を行い、栽培中に取得した1,500ha分の生育データをもとに、作物ごとの最適な施用条件(濃度・施用タイミング・散布方法など)を特定しました。なお、本実証は一般的に無償サンプルで行われる試験とは異なり、すべての資材を生産者・JAグループに有償で購入いただいた上で実施されています。

【検証概要】

● 対象期間:2025年4月〜12月

● 対象地域:全国32都道府県

● 参画JA数:106 JA

● 対象作物:69品目

● 対象圃場数:318(延べ面積1,500ha分の生育データ取得)

● 分析方法:Eco-LAB自主規格に基づく作用メカニズム評価と最適施用条件の解析

【主な成果】

● 再現率:80%以上

※収穫・経済性評価が完了した200圃場のうち、処理区が対象区を上回った割合

区分

品目例

費用対効果(※4)

評価された事例

穀類・豆類

水稲、大豆、枝豆等

5〜16倍

乳白米の減少、鞘数の増加等

根菜類

馬鈴薯、ビート等

6〜9倍

肥大促進、二次生長の抑制等

葉菜類

玉ねぎ、レタス、キャベツ等

22〜47倍

肥大促進、チップバーン抑制等

果菜類

トマト、なす、きゅうり、ピーマン、かぼちゃ等

13〜137倍

花落ちや成り疲れ抑制、樹勢維持等

果樹

りんご、梨等

2〜29倍

日焼け果の抑制等

※4: 費用対効果は、各実証圃場の成果を10haあたりに換算し、品目ごとに「10haあたり売上増加分÷10haあたりのバイオスティミュラント資材の費用」を算出した中央値。本表では区分ごとに統合。

【生産現場の声】

北海道・JA道央(レタス)

「バイオスティミュラントを使用して年間約30%の収量が改善しました。10haあたり資材費2,660円・収入増125,680円(10haあたり、費用対効果47倍)でした。チップバーンの発生が低減され、高温期に1つの作型も潰すことなく年間を通じた安定生産ができました。」

岩手県・JA全農いわて(ピーマン)

「規格内比率が49%増、収量は40%向上しました。施用のタイミングと濃度を正しく守ることで再現率が高く、令和8年度は技術体系を確立したピーマン・キャベツ・レタス類の生産体系にバイオスティミュラント資材を組み込み、収量増・品質向上を実現し、生産者手取りの拡大を実現したいです。」

新潟県・JAみなみ魚沼(水稲)

「日々の栽培管理や登熟期間の気象条件に加えてバイオスティミュラントの施用により、未熟粒の発生が減少し整粒率が向上したことで、収量が約20%増加しました。今後もバイオスティミュラントの効果検証を行います。」

■今後について

AGRI SMILEは、今回の検証で得られた成果をもとに、収量安定・品質向上・費用対効果の高い作物から順次バイオスティミュラント資材の普及を進めます。特に気候変動や市場の需給バランスの影響を受けやすい水稲については、最小限の投入で最大の効果を発揮できる施用体系を構築し、各産地の条件に合わせた技術モデルとして展開します。

さらに、Eco-LAB自主規格のもとで蓄積された約1,500ha分の実証データを活用し、AI・データサイエンスによる栽培最適化やGX(グリーントランスフォーメーション)領域への応用を推進します。これにより、資材の機能評価や施用条件の最適化プロセスを高度化・自動化し、科学的根拠に基づく気候変動対応型農業への転換を加速させます。

AGRI SMILEは今後も、テクノロジーと現場の知見を融合し、持続可能かつ再現性の高い生産技術の社会実装を通じて、産地とともに新しい農業の未来を築いてまいります。

【バイオスティミュラントとは】

バイオスティミュラントは、植物への接触により植物に刺激を与えて、植物自らの作用を促す資材の総称です。バイオスティミュラントを植物に散布すると、植物の「生理機能」に刺激を与えます。植物の組織はその刺激を受けて、自ら生理機能を活性化して、環境ストレスを乗り越えるための体づくりを行います。その結果、栄養成分の取り込みや利用効率を改善したり、高温などの環境ストレス(非生物的ストレス)に対する耐性を改善します。

バイオスティミュラントは、地球温暖化による栽培課題の対策として期待されており、特に欧米では、気候変動対策による普及が拡大しており、2012年に、世界で初めて政府関連文書として、欧州委員会(European Commission)が、バイオスティミュラントの基礎となる定義を発表して以降、バイオスティミュラントに関わる定義やルール化が進められてきました。日本では農林水産省が2025年5月30日、農業者にとって効果のあるバイオスティミュラントを安心して選択・使用できる環境を整えるため、事業者がバイオスティミュラントを取り扱うに当たって留意すべき事項を取りまとめた「バイオスティミュラントの表示等に係るガイドライン」を策定しました。

バイオスティミュラントの定義はこちら

【株式会社AGRI SMILEについて】

AGRI SMILEは、「テクノロジーによって、産地とともに農業の未来をつくる」を経営理念に据え、豊かな経験を持つ産地と、進化を続けるサイエンステクノロジーを融合することで、環境に優しい魅力あふれる農業の実現に取り組んでいます。

国内最大規模の産地ネットワークを活かし、データサイエンス技術による農業DXソリューション、最先端バイオテクノロジーによる生産技術、産地のブランディング支援などを展開しています。また、技術創出の源泉であるアカデミアの交流を活発化するプラットフォームを提供し、社内外で技術を連携させています。今後も、産地と調和した革新的なサービスを通じて、笑顔(SMILE)のある未来を創造し続けてまいります。

【会社概要】

代表者:代表取締役 中道 貴也

事業内容:農産業DXサービス、脱炭素に資するバイオテクノロジーの開発及び提供

設立:2018年8月31日

所在地:〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3丁目28-5 axle御茶ノ水

会社URL:https://agri-smile.com/

【本プレスリリースに関するお問い合わせ】

株式会社AGRI SMILE publicity@agri-smile.com

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会社概要

株式会社AGRI SMILE

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URL
https://agri-smile.com/
業種
情報通信
本社所在地
東京都千代田区神田小川町3丁目28番5号 Axle御茶ノ⽔102
電話番号
03-4520-8625
代表者名
中道貴也
上場
未上場
資本金
1億円
設立
2018年08月