令和5年度二級建築士設計製図試験合格発表　試験分析を公開！！【総合資格学院】

株式会社総合資格

2023年12月8日 17時00分

建設・不動産関連の資格取得スクール「総合資格学院」を運営する株式会社総合資格（本社：東京都新宿区、代表取締役：岸和子）は、12月7日（木）に公益財団法人建築技術教育普及センターより発表された「令和5年度二級建築士設計製図試験」の結果について分析しましたので、ご報告いたします。

▼令和5年度 2級建築士設計製図試験合格発表

https://www.shikaku.co.jp/course/2k/info/seizu-eligibility/?utm_campaign=press

令和5年度 2級建築士設計製図試験　合格発表

●受験者数 9,988人（前年 10,797人）

●合格者数 4,985人（前年 5,670人）

●合格率 49.9% （前年52.5%）

採点結果の区分等

〇採点結果については、ランクI、II、III、IVの4段階区分とする。

〇採点結果における「ランクI」を合格とする。

ランクI （49.9%）：「知識及び技能」（※）を有するもの

ランクII （5.7%）：「知識及び技能」が不足しているもの

ランクIII（37.9%）：「知識及び技能」が著しく不足しているもの

ランクIV（6.5%）：設計条件・要求図書に対する重大な不適合に該当するもの

※「知識及び技能」とは、二級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

総評

令和5年12月7日（木）に、令和5年度2級建築士設計製図の試験の合格発表がありました。受験者数は9,988人、合格者数は4,985人となり、令和4年度と比較すると、受験者数は809人、合格者数は685人減少しました。また、合格率に関しては、「ランクⅠ（合格）」が49.9％で、令和4年度（52.5％）より2.6％の低下となりました。

「ランクⅣ」の要因としては、主に図面が未完成、あるいは、設計条件に対する重大な違反（具体的な条件違反等）が考えられます。

専用住宅というシンプルな課題でしたが、専用住宅の的確な計画や合理的な計画ができ、適切な建物配置・外構計画、内部動線ができ、条件違反が無く、課題要求に則った計画（プラン）ができ、完成度の高い図面が描けてはじめて合格が可能な試験となったと考えられます。

【試験結果を踏まえて想定される評価ポイント】

① 多目的室の計画及び外部からの動線、屋外テラスの計画、多目的室に関連した内部動線

・多目的室を中心とした建物内部の動線計画及び外部計画が条件通りか？

② 専用住宅の一般的な計画

・居間・食事室・台所、吹抜けの計画、和室、ワークスペースの配置や広さは適切か？

③ 敷地条件を踏まえた専用住宅としての配置計画

・北西面の2 方向道路の敷地に対して適切な建物配置計画ができたか？

・玄関のほかに多目的室へのアプローチを適切に計画できたか？

④ 立体構成を正しくイメージした建物構成

・吹抜けの適切な配置計画ができたか？

・多目的室の上部に2 階部分を計画できたか？（矩計図での切断位置指定あり）

⑤ 課題で要求されている条件に基づいた計画

・「10 ㎡以上の吹抜け」、「25 ㎡以上の多目的室」、指定された延べ面積(140 ㎡以上190 ㎡以下)の範囲で計画されているか？

令和5年度はアウトドアを趣味とする家族が同じ趣味のサークル仲間や近隣住民を招いて、集いや会食ができる「多目的室」を備えた「専用住宅」の課題でした。特に、多目的室を中心とした外部動線、内部動線の条件、さらには専用住宅に即した「吹抜け」や「和室」及び「ワークスペース」の計画、また2 方向道路に対して、具体的な条件のない中でも適切な動線計画、建物配置計画ができているかが合否を分けるポイントとなっていることが想定されます。

今後は、今回の試験のように条件指定が非常に少なく、受験生自らが考え、判断して適切な計画ができるかを問う自由度の高いハイレベルな試験が想定されます。

令和6年度は3年に一度の木造以外の課題が予測されます。作図に必要なRC造の部位・部材を早期に習得し、RC造図面が描けることを前提にして、時間内にプランをまとめあげる力、RC造課題に対応できるエスキス力を磨く必要があります。

▼令和5年度2級建築士設計製図の試験分析はこちら

https://www.shikaku.co.jp/service/2s_kensyo/?utm_campaign=press

合格者の属性について

・「受験資格別」- 「学歴のみ」が過去最高の85.2%

・「年齢別」　　- 「24才以下」が過去最高の61.8%

・「職域別」　　- 「学生・研究生」が過去最高の25.3%

「受験資格別」における「学歴のみ」の割合は過去最高となった令和4年度からさらに上昇し85.2%となりました。「年齢別」でも「24才以下」が過去最高だった昨年から、さらに上昇し61.8%となりました。また「職域別」における「学生（大学院生を含む）・研究生」の割合も過去最高となる25.3%となりました。

令和2年度の建築士法の改正によって受験資格が緩和され、指定科目を修めた工業高校や専門学校等の卒業生にも受験資格が与えられたことで、10代の方も受験できるようになりました。新しい制度を利用して、卒業後、すぐに2級建築士合格をめざす方は今後も増加していくと考えられます。

今後の2級建築士試験について

上記の通り、20代の合格者が6割以上を占め、在学中の合格者が年々増加していることからも、法改正を境に合格者の属性も大きく変化し、若年層がより多く合格する試験となっています。

要因として、法改正による受験資格の緩和に伴い、企業でも入社後早期の資格取得が従来にも増して推奨されていることや、新卒採用において2級建築士試験合格者を優遇する企業が増加していることなどが考えられます。また、工業高校や専門学校、大学の授業内で資格取得を積極的にサポートしている事例も多く、業界全体で変化が起きていると言えます。

令和5年度の結果や、企業の資格取得推進、学校内でのサポートなど業界全体の傾向を踏まえても今後も、合格者の若年化は続くと考えられます。

令和6年度合格に向けて

令和6年度 2級建築士設計製図試験に合格するためには、基本的な読み取りエスキス手順を確実に身に付け、時間内に完成図面を描けるようになった上で、RC造課題で出題される法規や様々な課題に対応できるようなエスキス練習が必要不可欠です。

そのためにも、下記をしっかりと理解し、令和6年度試験に向けて、しっかりとした準備をはじめましょう。

①RC造課題においては、「作図に必要なRC造部材断面」を修得し、その知識を前提に平面図と断面図、部分詳細図を早期に描くことができなければハイレベルな試験に対応できません。

②２級建築士製図試験で出題されるRC造課題は、近年の１級建築士試験と同様、防火に関する法規が出題され、難化傾向にあります。法規を考慮しながら建築計画ができないと対応ができない試験になっています。

③２級建築士設計製図試験合格のためには、課題条件を満たし、設計実務で常識的な計画を行い、法令に適合する図面を限られた時間内で完成度高く、且つ、図面相互の整合がとれている状態で仕上げる必要があります。

④２級建築士製図試験のRC造課題は、１級建築士試験に近づいている傾向にあり、難度が高い試験であることを理解したうえで、早期に学習を始める必要があります。

当学院では、令和6年度設計製図試験の合格に向けた「2級建築士設計製図中期必勝コース」の受講申込を受け付けています。

学科試験後から製図対策をスタートする受験生に対し、大きなアドバンテージを得られるよう、受験前年の12月中旬から対策を開始し、毎回の講義で、ポイントを解説するだけでなく、知識をもとに正しく作図できるレベルまで徹底指導。講師は演習中の受講生一人ひとりの手元を確認しながら、描き方がわからず手が止まった時や、誤った手順を踏んでいる時にはその場でアドバイスを行います。

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