事業所・従事者レジストリ調査研究報告
行政データの構造化と利活用の高度化に向けて
一般財団法人GovTech東京(理事長:宮坂学、以下「GovTech東京」)は、行政手続の効率化とデータ利活用の高度化に向け、「事業所レジストリ・従事者レジストリ間のデータ連携手法と必要機能設計」について調査研究を実施し、現状分析および機能要件を整理した報告書を取りまとめました。
本調査研究は、行政分野におけるDX推進の基盤整備の一環として実施したものであり、事業者・行政双方の負担軽減を目指し、行政データの構造的課題とその解決方向について整理したものになります。制度ごとに分断されている行政データの構造的な課題を明らかにし、事業者・行政双方の負担軽減に資するデータ連携の方向性を整理したものです。行政DXを支える基盤整備の一環として、今後の具体的な実装検討につなげていきます。
調査研究の背景
保育園、医療機関、飲食店、建設業など、事業を営む際には多くの行政手続が必要です。しかし現状では、制度ごとに異なる窓口や様式に対して、施設名、所在地、代表者名、従事者情報といった同様の内容を何度も入力・提出する必要があります。また、代表者変更などの際にも、国・都・区それぞれへの個別の届出が必要であり、事業者と行政の双方に大きな負担が生じています。
こうした背景には、行政が扱う「事業所」や「従事者」に関するデータが、制度ごとに異なる台帳・様式・識別子で分断されて管理されているという構造的な課題があります。同一の事業所であっても制度ごとに異なるIDが付与されており、それらを横断的につなぐ仕組みが存在していません。この結果、既存データを十分に活用できず、手続の重複や行政事務の非効率が生じています。
このような課題を踏まえ、GovTech東京では、行政手続における事業所および従事者データの実態を把握し、課題および改善の方向性を整理することを目的として、本調査研究を実施しました。
調査研究の結果
本調査では、子育て分野および建築分野を中心に、行政手続で使われている事業所や従事者のデータの実態を分析しました。
その結果、行政が保有するデータは制度ごとに個別に管理されており、それぞれが連携されていないことが明らかになりました。また、従事者に関するデータについても、資格情報と所属情報がそれぞれ別の仕組みで管理されており、制度を越えた把握が難しい状況にあります。さらに、制度ごとに用語や定義が異なることや、どの情報を誰が更新するのかが明確でないこと、変更履歴が分散していることなども課題として確認されました。
これらの課題の本質は、データそのものが存在しないことではなく、データ同士の関係を整理し、つなげて活用する仕組みが不足している点にあります。
本調査では、こうした課題を解決する方向性として、既存の仕組みを維持したままデータを横断的に活用する「仮想レジストリ」の考え方を整理しました。
これは、
-
制度ごとに分かれているデータの意味や更新ルールを整理する「メタ・カタログ」
-
異なる制度間でのIDや項目の対応関係を整理する「クロスウォーク」
を組み合わせることで、データを一つに集めることなく横断的に活用できる仕組みです。
本調査研究の詳細については、以下の報告書をご参照ください。
事業所レジストリ・従事者レジストリ間のデータ連携手法と必要機能設計に関わる調査研究
今後の展望
本調査研究は、行政が保有するデータの構造化と利活用に向けた第一歩と位置付けています。
今後は、本調査で提言した「仮想レジストリ」の考え方や「こどもDX」をはじめとする先行プロジェクトで得られた知見や関係機関との連携を活かし、実証を通じた検証を重ねながら、行政サービス全体の高度化と事業者・行政双方の負担軽減を目指していきます。
GovTech東京は、今後もデータの構造化と横断的な活用を推進し、「ワンスオンリー(一度提出した情報を複数の手続で再利用できる仕組み)」の実現に向けて取り組んでまいります。
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
