【レポート】第119回品質管理シンポジウム開催報告

経営環境の変化に適応するためのTQMの進化 ~基本の最先端な実践とさらなる飛躍~

日科技連

-産・学からオンラインを含め、500名を超える参加者が集結-

一般財団法人日本科学技術連盟(本部:東京都新宿区、理事長:佐々木 眞一、以下「日科技連」)は、半世紀を超える歴史を誇る「品質管理シンポジウム」(以下 QCS)の第119回を大磯プリンスホテルにて2025年6月5日~7日の日程で開催した。「経営環境の変化に適応するためのTQMの進化~基本の最先端な実践とさらなる飛躍~」をテーマに開催され、参加者はオンラインを含め500名を超える盛況となった。その模様を以下に報告する。

1.第119回QCSの趣旨

今回は、経営環境の急速な変化に適応し、「TQMをいかに進化させるか」を大きな命題とした。顧客価値の定義や共有の難しさ、SDGsに代表される多面的価値の重視、個人の多様な働き方への対応といった変化を捉え、TQMの理念や方法を再構築する必要があり、また、自社のみならずバリューチェーン全体との連携による品質保証や、生成AI・データ連携の活用など、技術や枠組みの革新、標準化や改善などの基本を踏まえつつ、新たな視点からTQMのあるべき姿を探っていった。「参加者が知見を持ち寄り、"変えてよいもの/変えてはならないもの"を見極め、実践的な理念と指針へと落とし込む場としたい」と主担当組織委員の山田秀氏は基調講演で強調した。

2.第119回QCSのプログラム

QCSは、①講演②グループ討論・発表③総合討論の3本柱で構成されている。

今回の講演者は以下の通りであった。

【6月5日(木)】

■特別講演

「進化を続けるAIの行く先 ~人とAIが共生する社会とは?~」

  慶應義塾大学 理工学部 教授/人工知能学会 会長 栗原 聡 氏 

主担当組織委員          山田 秀 氏(慶應義塾大学)

【6月6日(金)】

■基調講演

「経営環境の変化に適応するためのTQMの進化」

  慶應義塾大学 理工学部 教授 山田 秀 氏

■講演1

「残すに値する未来を考える」

  慶應義塾大学 環境情報学部 教授

  LINEヤフー株式会社 シニアストラテジスト 安宅 和人 氏

慶應義塾大学 環境情報学部        教授 安宅 和人 氏

■講演2

「時流に迎合せず、時代に適応する 

        ~東レの経営方針と実践事例~」

   東レ株式会社 代表取締役会長 日覺 昭廣 氏

■講演3

「三菱地所の目指すまちづくりにおける『エリマネDX』とは」

   三菱地所株式会社 執行役常務 井上 俊幸 氏

東レ株式会社           代表取締役会長 日覺 昭廣 氏

■講演4

「経営改革につながる働き方改革

~DXと働き方改革により旅館をCS(顧客満足度)

   ES(従業員満足度)Profit(利益)の高い『憧れの職業』に~」

   株式会社陣屋 代表取締役 女将 宮﨑 知子 氏

株式会社陣屋                                代表取締役 女将 宮﨑 知子 氏

様々な分野の第一人者から、AIの活用と未来の中で人間にしかできないこと、イノベーション、経営者として忘れてはならないもの、働き方改革、経営基盤としてのDXのあり方…など、示唆に富む講演ばかりであった。この講演内容をグループ討論で大いに参考にしながら真摯な議論が展開された。

3.グループ討論、総合討論

グループ討論は、「TQMの進化」について8つの切り口からテーマが設定され、各グループでは産業界と学術界の専門家が混在したメンバー構成により、実践的かつ理論的な視点から活発な議論が展開された。最終日には、8グループからの討論結果の発表が行われ、各グループが導き出した知見や提言が共有された後、参加者全体による総合討論が山田秀氏の司会のもと行われ、QCS全体としての方向性と成果の確認が図られた。

グループ討論の様子

4.参加者間の交流の場

QCSの醍醐味は、参加者である会員企業の経営幹部同士が胸襟を開いて、情報交流、人脈形成ができる点にある。連夜開催された「談話室(別称:QCバー)」や「夕食会」では各所で相互交流が深められた。

5.山田主担当組織委員のまとめ

プログラムの最後では、主担当組織委員の山田氏から「第119回QCSのまとめ」が説明された。冒頭に、「品質に関する見識を持つ参加者が、膝を突き合わせて議論すれば方向が見えてくる」と話した通り、グループ討論での議論の中で見出された「変えてはならないもの、変えるべきもの」を紹介し、QCSを締めくくった。


次回QCSは、早稲田大学 永田靖教授が主担当組織委員を務め、テーマ「顧客価値創造に対応する組織能力獲得に向けて『改善活動』を見直す~環境変化、バリューチェーンの拡大、複雑化に伴う対応~」として2025年12月4日(木)~6日(土)に開催される。経営変化の激しい時代の「改善活動」の本質を見つめ直し、トップの役割、人材育成、AI活用、品質不正との関係等多面的に課題と可能性を探る。多くの会社役員、部門長ならびに学術関係者の参加を期待したい。

日本科学技術連盟

日本科学技術連盟

商号:一般財団法人日本科学技術連盟
所在地:〒163-0704 東京都新宿区西新宿2-7-1 新宿第一生命ビルディング4階
代表者:理事長(代表理事) 佐々木 眞一(ささき しんいち)
創立:1946年5月1日
事業内容:経営管理技術、特に品質管理(QC)を中心にした普及事業
基本財産:23億1,720万円
URL:https://www.juse.or.jp

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会社概要

URL
https://www.juse.or.jp/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都新宿区西新宿2-7-1 小田急第一生命ビル4階
電話番号
03-5990-5842
代表者名
佐々木 眞一
上場
未上場
資本金
-
設立
1946年05月