ニッケグループは愛媛大学と共同で嗅覚障害の治療効果向上を目的とする特定臨床研究を開始しました
―ゼラチンハイドロゲル「Genocel🄬」の活用-
ニッケ(日本毛織株式会社 大阪市中央区)ならびにニッケの100%子会社である株式会社京都医療設計(以下、京都医療設計)は、2024年8月から愛媛大学医学部附属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の羽藤直人教授、青石邦秀助教と共同で、嗅覚障害の治療効果向上を目的とする特定臨床研究を開始しました。
本特定臨床研究は、ニッケグループが製造販売する薬剤徐放(※1)性能に優れた研究用ゼラチンハイドロゲル「Genocel🄬(※2)」を臨床向けの仕様に改良し、嗅覚障害患者を対象に、「Genocel🄬」と薬剤を投与することで、嗅覚改善効果があるかどうかを評価するものです。「Genocel🄬」は他のゼラチンハイドロゲルと比較し薬剤徐放性能に優れるため、治療効果の向上が期待できます。
実施機関は、愛媛大学医学部附属病院です。対象疾患などについての詳細は、臨床研究等提出・公開システムのホームページをご覧ください。
URL:https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTs061240046
<背景>
嗅覚障害は、新型コロナウイルス(COVID-19)の後遺症としても注目を集めていますが、風邪や慢性副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎などの一般的な疾患によっても引き起こされます。一旦嗅覚障害を患うと、食事やガスのニオイがわからないなどの症状により日常生活の質の低下を招くため、効果的な治療が求められています。
また 、一旦嗅神経の変性が進行すると、治療効果は50%程度に低下してしまいます。
一般的な治療として、漢方薬の内服や嗅覚トレーニング、副腎皮質ホルモンの点鼻が行われますが、改善率は60%程度にとどまっており、より効果的な新しい治療法の開発が課題となっています。
愛媛大学では、基礎実験として嗅覚障害を再現したモデルマウスにbasicfibroblast growth factor(bFGF)(商品名:フィブラストスプレー(※3) )を含浸させたゼラチンハイドロゲルを投与し、組織への薬剤移行性、ならびにその治療効果を行動学的・組織学的に評価し、有効であることを確認しました(※4) 。
<研究の目的>
そこで、嗅覚障害患者に推奨されている漢方(当帰芍薬散)による治療に、bFGFを含浸させたゼラチンハイドロゲルの局所投与を上乗せすることで、より良い治療成績が得られることを予想し、本特定臨床研究を計画しました。今回は、嗅裂へのbFGF含浸ゼラチンハイドロゲル局所投与治療が新たな治療法となりえるかを検討します。
<特定臨床研究の概要>
特定臨床研究実施計画番号:jRCTs061240046
研究名称:嗅覚障害に対する嗅覚障害に対するbFGF含浸ゼラチンハイドロゲル
局所投与治療:単群パイロットスタディ
研究代表医師:羽藤直人
研究期間:2024年8月14日~2027年3月31日
対象者:発症後4週以上、1年未満の嗅覚障害症例
T&T olfactory meter(基準嗅力検査)にて、平均認知閾値2.6以上
(中等度以上)嗅覚障害患者
公開URL: https://jrct.niph.go.jp/latest-detail/jRCTs061240046
実施機関:愛媛大学医学部付属病院
<注釈>
*1 徐放:成分を少しずつ放出し続けること。血中の有効成分濃度の急激な上昇を避け、副作用の発生頻度を下げることができる。また、薬の効果が持続する時間を延ばすことにより、治療効果の向上および、薬の投与回数を減らすことができる。
*2 Genocel🄬:https://nikkemedical.com/product/features.html
*3 フィブラストスプレー(科研製薬株式会社 ):床ずれや皮膚潰瘍に用いられる薬剤
*4 Jumpei Nota, Hirotaka Takahashi, Nobuhiro Hakuba, Naohito Hato, Kiyofumi Gyo(2013) Treatment of Neural Anosmia by Topical Application of Basic Fibroblast Growth Factor-Gelatin Hydrogel in the Nasal Cavity : An Experimental in Mice. JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery Vol 139(No.4) 396-400.2013.
【会社概要】
社名:日本毛織株式会社(通称社名:ニッケ)
本社所在地:大阪市中央区瓦町3丁目3-10
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