第38年度(2022年度)ソフトウェア品質管理研究会(SQiP研究会)において、AGEST Testing Lab.研究員 飯沼 真一が探索的テストに関する提案論文で優秀賞を受賞
■飯沼真一の論文概要
・テーマ:「探索的テストの学習基盤の構築 ―探索的テストプロセスの定義―」
探索的テストは、製品のユーザビリティを効果的かつ効率的に検証する方法として重要性が高まってい
るが、本テストを実施するには、豊富なドメイン知識と経験が必要で、熟練者の暗黙知に基づく個人技
に依存しており、新規の技術者養成が難しい状況である。
一方で、熟練者の異動、退職で、これらの技術が喪失する恐れが高まっており、早急に、技術を移転す
る方法を検討することが急務である。そこで、本論文では、技術移転が難しいのは、熟練者の探索的テ
ストのやり方が明確になっていないことが原因であると考え、これを解決するために、「探索的テスト
プロセス」を定義することにより、探索的テストのやり方を形式知化することを目指した。と同時に、
効果的な探索の道しるべとなるべく「探索的テストマトリクス」作成手順も提案した。
・論文: https://www.juse.or.jp/sqip/workshop/prize_list/attachs/2022/jissen_%E9%A3%AF%E6%B2%BC_%E8%AB%96%E6%96%87.pdf
・プレゼン資料:https://www.juse.or.jp/sqip/workshop/report/attachs/2022/jissen_%E9%A3%AF%E6%B2%BC_%E3%83%97%E3%83%AC%E3%82%BC%E3%83%B3%E8%B3%87%E6%96%99.pdf
■本研究に対する、日本における探索的テストの第一人者のひとりである高橋寿一(AGEST Testing Lab. 所長)のコメント
『探索的テストの有用性は誰もが認めるところである。しかし品質向上の定量的把握や、熟練者の育成、探索的プロセス等々と困難なハードルがあるのも事実である。
実は、私は探索的テストの考案者であるCem Karnerにフロリダ工科大学で直接師事した。彼はいくつか探索的テストで有用な言葉を授業で説明していたが一番覚えているのは「寿一、画一的なテストを実行したってほとんどバグは見つからないんだ。バグは要求仕様を見てるときに、いろいろ操作して見つかるだろ!」という言葉をなぜかよく覚えている。
これは探索的テストの有用性を説明するための誇張的な表現であるし、画一的なテストのやり方がまったく品質向上に寄与しないとは言わないが、熟練のテスト担当者がバグを見つけるための操作している時間というのはテストケースを書いている時間より何百倍も効率的にバグを見つけれられると思います。 本研究は探索的テストの資料が少ない日本で、探索的テストにチャレンジするエンジニアに有用な価値を与えると考えます。』
■発表者プロフィール:
飯沼 真一 株式会社AGEST クオリティテクノロジー事業本部 プロジェクトサポート部 リーダー
AGEST Testing Lab. 研究員
帝京大学理工学部情報科学科学士。
JSTQB Advanced Levelテストマネージャー。
長年に渡りソフトウェアテストや市場サポートの業務にチームリーダーとして従事するとともに、監査業務や品質管理業務を担当。
これまで研究発表した論文
「高リスク不具合を検出する軽量なテスト優先度付け手法の提案」
「ソフトウェアテストエンジニアにおける能動的な行動特性の明確化」
「探索的テストを効果的に行うための留意点のパターン化」
AGESTは、AGEST Testing Lab.を通じてソフトウェアテスト領域における研究テーマの拡大と深耕をはかり、論文やカンファレンス等における研究成果の発表や成果を用いたツールの開発することで、お客様のプロダクトの品質向上に貢献するとともに、高度デジタル社会の発展への貢献を目指してまいります。
以上
※ すべてのブランド、製品名、会社名、商標、サービスマークは各社に権利が帰属します。
【AGEST Testing Lab. について】
AGEST Testing Lab.は、新しいソフトウェア社会を支えるためのテスト技術の研究を通じて、先端品質テクノロジーで、すべてのDXに豊かな価値と体験の創造を目指しています。
https://agest.co.jp/lab/
【AGESTについて】
AGESTは、「先端品質テクノロジーで、すべてのDXに豊かな価値と体験を」をビジョンに掲げ、先端テクノロジーの研究や最新技術に対応したQAテックリード人材の育成を推進し、次世代QAソリューションの提供を通じて、高度デジタル社会の発展に貢献しています。
https://agest.co.jp
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