【ワークスHI調査レポート】大手65法人調査 7割がLGBTQに関する取り組みを実施または検討中、一方で「優先度低い」も6割

~カミングアウトしている当事者がいる法人は取り組みが進んでいる傾向に~

株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区、代表取締役社長最高経営責任者:安斎富太郎、以下 ワークスHI)は、統合人事システム「COMPANY」のユーザー65法人を対象にLGBTQに関する意識・取り組み調査を実施いたしました(調査期間:2021年5月14日~6月4日)。大手法人における取り組み状況や人事担当者の問題意識、人事システム上の扱いについて、調査結果をお知らせします。
●本調査の背景
昨今、人事の領域でも、組織のダイバーシティ推進の文脈でLGBTQ等の性的少数者に対する理解・配慮の必要性が頻繁に議論されています。
LGBTQ・性的少数者は人口の3%[1]~10%[2]と言われており、実際にLGBTQ当事者は職場においてメンタルヘルスに関係する健康上の問題等を抱えている割合が高い[3]というデータもあります。
そんな中、当事者の働きやすさ向上、職場における障害の除去に向けた取り組みを行っている法人も多く、お客様からの「他社の取り組み状況を知りたい」という声を受け、大手法人の人事部門を対象に、「LGBTQに関する意識・取り組み調査アンケート」を実施しました。

●調査結果概要
  1. 約7割は、LGBTQに関する取り組みを少なくとも1つは実施または検討中。

     

  2. LGBTQに関する取り組みについて、半数近くが「経営層の支援宣言」が後押しになったと回答。
  3. 取り組みが進んでいない理由は、必要性は理解されているものの対象者が可視化されず「優先順位が高くない」が6割。LGBTQであることをオープンにしている当事者が社内にいる法人の方が、いない法人より施策が進んでいる傾向にある。
  4. 回答した大手法人の人事担当者の4人に1人は、「トイレや更衣室の利用」について当事者から相談を受けたことがある。
  5. 35%の法人では、従業員の戸籍/法律上の性別情報を上司が閲覧できる状態となっており、本人の承諾なく性的指向や性自認が開示されてしまう「アウティング」が意図せず起きる可能性は少なからず存在する。
  6. 本名と異なる「通称名」情報は4割近くがシステム上で管理をしている。一方、戸籍/法律上の性別と異なる「就業上の性別」の管理は2割以下に留まった。
【通称名利用の必要性について】
出生時の身体の性と自認する性が異なるトランスジェンダー当事者の場合、たとえば普段は男性として生活しているが、本名は出生時の性を前提とした女性的な名前である、といったケースがあります。本名を利用して仕事をすると、本人が自分らしく働けないと感じる、外見と名前の違いに周囲から驚かれる等の障壁が発生するため、本名ではなく、自認する性別に合った通称名を利用したいというニーズがあります。


●調査結果
  •  1. 従業員の性の多様性に対する取り組み・施策を行っていますか。※複数選択可(n=65)

性の多様性に関する取り組み状況について質問したところ、全社的に行っている施策では「差別禁止の明文化」を行っている法人が40.0%と最も多く、次いで「戸籍/法律上の氏名と異なる通称名の使用」「経営層の支援宣言」が29.2%となりました。一部取り組み中や準備中、検討中を含めると、「戸籍/法律上の氏名と異なる通称名の使用」(55.4%)が最も多く、「差別禁止の明文化」(52.3%)「研修、eラーニング」(50.7%)も過半数を占めました。

すべての施策に対して「検討していない」と回答した割合は、29.2%でした。よって70.8%は、いずれかの施策を少なくとも検討中であることがわかりました。

■自由記述欄(回答抜粋)

・本人の望む性での更衣室、トイレの利用、健康診断(団体)の受診。
・更衣室や制服のジェンダーフリー化/みんなのトイレの設置。
・社内イントラネットでLGBTQに関する情報や会社の取り組みについての情報を発信。
・当事者による経営層向け研修や、すべての役員・従業員を対象にLGBTの基礎知識についてのe-ラーニングを実施。
・該当する社員がいない現状では検討の予定すらない。


 

  • 2. 取り組み推進の後押しになった要因はどれに当たりますか。※複数選択可(n=35)

取り組み推進の後押しになった要因は、「経営層の支援宣言」が最も多く48.6%、次いで「自治体のパートナーシップ制度の導入」が17.1%でした。「その他」の回答には、当事者からの相談・カミングアウトがきっかけとなったケースや、社内調査・公募により取り組みが実施されたケースも複数見られました。

■自由記述欄(回答抜粋)
・当事者からの相談をきっかけにして。
・上位役職者の自発的なカミングアウトにより、制度整備・制度導入の機運が高まった。
・2019年度にLGBTに関する社内調査を実施し、優先度の高いものから実施。
・社内公募プロジェクトが取り組みの発端。
・SDGsや経営戦略として行っているD&Iの一環として。

 

 
  • 3. 取り組みが少ない/ない場合、懸念点および理由はどれに当たりますか。※複数選択可(n=57)

取り組みを推進するうえでの懸念については、「優先順位が高くない」が63.2%と最も多い結果となりました。一方で、「経営層の理解が得られない」「必要性がない」といった回答はありませんでした。

■自由記述欄(回答抜粋)
・本来優先度は高いはずだが、必要としている潜在的な問題が顕著になりにくい。
・声なき声に対応する必要性を認識しているが検討に至っていない。
・これまで取り組んでこなかった内容であり、経営層だけでなく従業員の中にも理解度に大きな差があるため、少しずつ理解を促すとともに会社として着手できるものに関してはその方法を検討している段階。
・経営層が「従業員の理解を得られない」と根拠なく思っている。経営状況が良くないため、取り組みへ人的・金銭的・時間的資源を投下できない状況。

 

 
  • 4. 社内または取引先に、LGBTQ当事者であることをオープンにしている方はいますか。※複数選択可(n=65)

オープンにしている当事者の有無については、半数近くの43.1%が「わからない」と回答し、26.2%が「社内にいる」と回答しました。

1の設問とかけあわせたところ、「社内にいる」と回答した法人の方が「どちらにもいない」と回答した法人よりも、全体的に取り組みが進んでいることがわかりました。当事者が可視化されている方が施策の優先度を上げて実施できる、もしくは施策が進んでいる方が当事者がオープンにしやすい傾向にあることうかがえます。


 

  • 5. LGBTQ当事者の方からどのような相談を受けたことがありますか。※複数選択可(n=65)

LGBTQ当事者からの相談については、「相談を受けたことはない」が66.2%を占めた一方で、回答者の4分1である24.6%が「トイレや更衣室の利用」について相談を受けたことがあると回答しました。相談に対しては、「多目的トイレを導入した」、「本人の意見を尊重してケースバイケースで対応した」等の声がありました。

 ■自由記述欄(回答抜粋)
・同性パートナーシップを結んだ場合、妻帯者として社宅制度利用対象になるか。
・トランスジェンダーだが自認する性別の服装をして店頭に立っても良いか。


 

  • 6. 従業員の性別や家族情報、福利厚生の利用情報等、本人がLGBTQ当事者であることを推測しうる情報について、人事部以外の従業員が知ることができますか。※複数選択可(n=65)

本人がLGBTQであることを推測しうる個人情報の社内公開については、「情報公開していない」が過半数の53.8%を占めました。一方で35.4%が「性別を上司が閲覧可能」、29.2%が「家族情報を上司が閲覧可能」と回答しており、仕組み上、本人がLGBTQ当事者であることが意図せず他人に知られてしまう懸念は少なからずあると考えられます。

■「閲覧可能」と回答した場合、その理由・具体的な用途を教えてください。(回答抜粋)
・所属長による所属職員の管理監督のため、個人情報照会が可能。
・社員の基本情報は上司として知っておくべき事項だと考えているため。
・緊急時連絡の利便性を優先させたため。
・慣習的なもの家族情報については、家族手当、単身赴任手当等の給与支給に関連するということと、異動の判断として家庭状況も必要と思われているため。
・過去から公開しており、見直していない。


 

  • 7. トランスジェンダーと自認している方は人口の0.7%[1]というデータがありますが、戸籍/法律上の名前や性別を変更する人もいれば、変更せずに名刺等の名前は変えたいというニーズもあります。戸籍/法律上の性別情報とは異なる「就業上の性別」、また本名とは異なる「通称名」の情報は、現在どのように扱っていますか。※複数選択可(n=51, 44)

主にトランスジェンダー従業員の情報取り扱いについて質問したところ、戸籍/法律上の性とは異なる「就業上の性別」を人事部門で収集・管理している割合は、「人事システムで管理」が17.6%、「紙資料や個別ファイルで管理」が2.0%、「対象者はいるが把握していない」が7.8%でした。一方、本名と異なる「通称名」は、「人事システムで管理」が38.6%、「紙資料や個別ファイルで管理」が6.8%という結果でした。通称名の利用は、結婚等による改姓後に旧姓を通称名として利用したいというニーズもあるため、就業上の性別と比較して情報管理の方法が整っている傾向にあると考えられます。

「就業上の性別」の収集・管理については、本人が自認する性別を正しく登録できるというメリットがある一方で、税・社会保険等の人事業務には利用されない情報であるため、そもそも人事情報として収集・管理すべきなのかという意見もありました。従業員の個人情報をどこまで収集すべきか、議論の余地があります。

■自由記述欄(回答抜粋)
・実際に該当者が出た場合は「予備項目」等にて管理するようになると思います。
・結婚して姓が変わっても旧姓の使用を希望する従業員については、通称名(旧姓氏名)と本名をそれぞれ人事システム上で管理しているため、トランスジェンダーで通称名の使用を希望する従業員が発生した場合も同じ仕組みで管理する予定。(対象者は未発生)
・そもそも、就業上の性別を人事システム上で管理するべきかどうかを含めて整理する必要があると考えている。

 


<調査概要>
調査名:LGBTQに関する意識・取り組み調査
期間:2021年5月14日~6月4日
対象 :当社ユーザーである国内大手法人65法人
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
※小数点以下の切り上げ、切り下げにより合計100%にならないことがございます。

<引用・転載時のクレジット記載のお願い>
本リリース内容の転載にあたりましては、「Works Human Intelligence調べ」という表記をお使いいただきますようお願い申し上げます。


ワークスHIでは引き続き、複雑化・多様化する社会課題の解決を目指し、大手企業・法人の意識や業務実態について調査をしてまいります。 

 
  • ワークスHI調査レポートとは ~HR領域における大手法人の実態を調査~
当社の製品・サービスは、約1,200の日本の大手法人グループにご利用いただいており、ほぼすべてのユーザー法人様にオンライン会員サイトへのご登録をいただいています。
このユーザーネットワークを通じて、当社では適宜、社会・経済情勢に合わせた諸課題について調査を実施。その結果を製品・サービスに反映するとともに、ユーザー法人様・行政機関・学術機関への還元を行っています。
 
  • Works Human Intelligenceについて
株式会社Works Human Intelligenceは大手法人向け統合人事システム「COMPANY」の開発・販売・サポートの他、HR 関連サービスの提供を行っています。「COMPANY」は、人事管理、給与計算、勤怠管理、タレントマネジメント等人事にまつわる業務領域を広くカバーしており、約1,200法人グループへの導入実績を持つ、ERP市場人事・給与業務分野シェアNo.1※の製品です。
私たちは、日々複雑化・多様化する社会課題に対してあらゆる「人の知恵」を結集し解決に取り組み、全てのビジネスパーソンが情熱と貢献意欲を持って「はたらく」を楽しむ社会を実現します。

当社でもLGBTQに関する取り組みを実施しており、福利厚生の対象拡大(結婚祝金、結婚休暇等)をはじめ、男女で区別されていた服装規程のオールジェンダー化や、自認する性に合った通称名の利用、社内研修等、すべての社員が自分らしく働ける環境の整備を推進しています。

※2019年度 ERP市場 - 人事・給与業務分野:ベンダー別売上金額シェア 出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2021」




[1] 釜野さおり・石田仁・岩本健良・小山泰代・千年よしみ・平森大規・藤井ひろみ・布施香奈・山内昌和・吉仲崇
2019. 『大阪市民の働き方と暮らしの多様性と共生にかんするアンケート報告書(単純集計結果)』JSPS 科研費 16H03709「性的指向と性自認の人口学―日本における研究基盤の構築」・「働き方と暮らしの多様性と共生」研究チーム(代表 釜野さおり)編 国立社会保障・人口問題研究所 内
https://osaka-chosa.jp/files/20191108osakachosa_report.pdf
[2] 出現率箇所:LGBT意識行動調査2019事前調査(LGBT総合研究所),インターネット調査,全国20~69歳男女347,816名,2019年4月16日~5月17日 https://lgbtri.co.jp/news/2410
[3] 認定NPO法人虹色ダイバーシティ、国際基督教大学ジェンダー研究センター「LGBTと職場環境に関するアンケート調査niji VOICE 2020」https://nijibridge.jp/wp-content/uploads/2020/12/nijiVOICE2020.pdf

 
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