シミの深部へアプローチする独自成分を開発 幹細胞に働きかけ、真皮へのメラニンの蓄積を防ぐ「ユキツバキエキス」

シミ部位では、肌の表層(表皮)と深部(真皮)の境界にある基底膜がもろくなり、肌深部にもメラニンが蓄積します。日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市中区丸の内3-18-15、代表取締役社長:野々川 純一)は、ユキツバキから独自に抽出したエキスに、真皮幹細胞内のメラニンを分解して基底膜の修復を促し、真皮へのメラニンの蓄積を防ぐ効果を見出しました。今後この発見を、シミに対する新しいアプローチに応用していきます。

シミの主な原因はメラニンの蓄積です。メラニンは表皮に蓄積することがよく知られていますが、最近の研究から、シミ部位では紫外線などの影響によって表皮と真皮を隔てる「基底膜」がもろくなり、表皮から真皮へメラニンが移行してしまい、より肌の深部にメラニンが蓄積していることがわかってきました。真皮に蓄積したメラニンは、肌に本来備わっている機能では分解されにくいため、従来のシミ対策では十分にケアできないと考えられます。このような真皮へのメラニンの移行を防ぐためには、基底膜の修復が重要です。メナードはこれまでに、真皮幹細胞が分泌するエクソソーム※1が基底膜の修復を促すこと、シミ部位では真皮幹細胞がメラニンを取り込むことで基底膜修復機能が低下することを明らかにしています。


今回、ユキツバキから独自に抽出したエキスに、真皮幹細胞が取り込んだメラニンを分解し、エクソソームによる基底膜修復機能を回復する効果を見出しました。この効果により基底膜の修復が促され、真皮へのメラニンの蓄積を防ぐことができると期待されます。今後、シミに対する新たなアプローチとして、ユキツバキエキスを配合した化粧品の開発を進めていきます。

なお、本研究の成果は2023年9月4日から7日にかけてスペインのバルセロナで開催される第33回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)学術大会にて発表します。


※1 エクソソーム:細胞から分泌される、小さなカプセル状の物質である細胞外小胞の一種。直径約50~150 nmほどのエクソソームの内部には、タンパク質や核酸などが含まれており、細胞同士のコミュニケーションツールとして機能している。


  

<参考資料>

  1.シミ部位で真皮にメラニンが蓄積する負のスパイラル

メラニンは、表皮のメラノサイトと呼ばれる細胞でつくられます。このメラノサイトの数が増えたり、メラニン合成が活発になったりすると、メラニンが過剰に増えて表皮に蓄積し、肌表面にシミとして現れます。最近の研究から、シミ部位の肌では、表皮だけでなく真皮においてもメラニンが蓄積することがわかってきました。これは、表皮と真皮の境界を形成する基底膜がもろくなることで、表皮でつくられたメラニンが真皮へ移行するためです。

メナードはこれまでに、真皮幹細胞が分泌するエクソソームと呼ばれる物質が表皮細胞による基底膜の形成を促すことを発見しています。一方、シミ部位では、真皮幹細胞がメラニンを取り込んでしまい、これによりエクソソームに変化が生じて機能が低下し、本来の基底膜の形成を促す働きが損なわれることも明らかにしています※2。そのため、シミ部位では基底膜の修復が滞り、基底膜がもろくなってメラニンが真皮に移行し、真皮幹細胞がメラニンをさらに取り込み、ますます基底膜が修復できなくなるという負のスパイラルが生じ、真皮へのメラニン蓄積が進行していくと考えられます。この負のスパイラルから抜け出すには、真皮幹細胞内のメラニンを分解し、エクソソームによる基底膜の修復機能を正常に戻す必要があると考え研究を進めました。


※2 2022年9月6日配信ニュースリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000048666.html


図1 シミ部位で真皮にメラニンが蓄積する負のスパイラル図1 シミ部位で真皮にメラニンが蓄積する負のスパイラル



2.ユキツバキエキスの効果

図2 ユキツバキの花図2 ユキツバキの花

ユキツバキは日本海側の豪雪地帯のみに自生する低木性のツバキで、多雪地域に適応している品種です。厳しい環境でも進化を遂げてたくましく生き抜き、美しい花を咲かせる生命力に着目し、種子からのエキスの開発に取り組みました。ユキツバキの種子から抽出されるオイルは食用や化粧品などに使用されますが、通常廃棄されているオイル抽出後の残渣をユキツバキエキスの開発に有効活用しています。

今回、このユキツバキエキスに、真皮幹細胞内のメラニン分解を促進してエクソソームの機能を正常にし、基底膜の修復を促す効果があることを見出しました。


2-1.真皮幹細胞内メラニンの分解を促進する

メラニンを取り込んだ真皮幹細胞にユキツバキエキスを加えて培養した結果、真皮幹細胞内のメラニン量が減少しました(図3)。さらに、ユキツバキエキスがメラニンの分解を促進するメカニズムを明らかにするため、細胞内の様々な物質の分解を担うリソソーム※3に着目しました。リソソーム内の主要な分解酵素であるCathepsin D(CTSD)とglucosylceramidase beta 1(GBA1)の遺伝子発現を解析したところ、どちらもユキツバキエキスによって発現が促進されました(図4)。すなわち、ユキツバキエキスは、真皮幹細胞のリソソームを活性化することでメラニンの分解を促進すると考えられます。


※3 リソソーム:細胞内のタンパク質、核酸、脂質などの分解を担う細胞内小器官の1つ。Cathepsin D(CTSD)やglucosylceramidase beta 1(GBA1)などの多くの分解酵素が発現している。


図3 ユキツバキエキスによるメラニンの分解図3 ユキツバキエキスによるメラニンの分解


図4 ユキツバキエキスによるリソソームの活性化図4 ユキツバキエキスによるリソソームの活性化



2-2.真皮幹細胞由来エクソソームの機能を回復し、基底膜を修復する

メラニンを取り込んだ真皮幹細胞が分泌するエクソソームは、正常な真皮幹細胞由来のエクソソームと比べ、表皮細胞による基底膜成分(Ⅳ型コラーゲン)の産生を促進する機能が低下していることがわかっています※4。メラニンを取り込んだ真皮幹細胞にユキツバキエキスを加えて培養し、分泌されたエクソソームを表皮細胞に添加した結果、Ⅳ型コラーゲンの産生が促進されました(図5)。

また、メラニンを取り込んだ真皮幹細胞を用いて、シミ部位の状態を再現した人工皮膚を作製しました(シミモデル)。このシミモデルにユキツバキエキスを添加すると、基底膜の形成が促進されました。また、シミモデルの色が薄くなる様子も観察されました(図6)。


今回の研究をまとめると、ユキツバキエキスによって真皮幹細胞内のメラニンの分解が促進されるとエクソソームの機能が回復し、基底膜が修復されることがわかりました。つまりユキツバキエキスは、基底膜を修復することで真皮へのメラニンの移行を防ぎ、シミの予防・改善に役立つと期待できます。


※4 2022年9月6日配信ニュースリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000042.000048666.html



図5 ユキツバキエキスによる真皮幹細胞由来エクソソームの機能回復図5 ユキツバキエキスによる真皮幹細胞由来エクソソームの機能回復


図6 ユキツバキエキスによる基底膜修復効果およびシミ改善効果図6 ユキツバキエキスによる基底膜修復効果およびシミ改善効果

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会社概要

日本メナード化粧品株式会社

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URL
https://www.menard.co.jp/
業種
製造業
本社所在地
愛知県名古屋市
電話番号
052-531-6263
代表者名
野々川 純一
上場
未上場
資本金
-
設立
1959年11月