公益財団法人 角川文化振興財団 主催 第60回「蛇笏賞」「迢空賞」決定のお知らせ
公益財団法人 角川文化振興財団(所在地:埼玉県所沢市、理事長:船津康次、以下 角川文化振興財団)は、このたび、2026年4月14日(火)に第60回「蛇笏賞」の、また2026年4月16日(木)に第60回「迢空賞」の選考会を東京・神楽坂の志満金において開催し、受賞作が決定いたしましたので以下の通りお知らせいたします。(選考対象:2025年1月1日から12月31日の間に刊行された句集・歌集)。
■第60回 蛇笏賞
大木 あまり(おおき あまり)氏 句集『 山猫座(やまねこざ) 』(2024年12月 ふらんす堂 刊)
【最終候補作】 下記5作について厳正な審査の結果、受賞作を決定いたしました。
大木あまり『山猫座』(ふらんす堂)/片山由美子『水柿』(ふらんす堂)/
高山れおな『百題稽古』(現代短歌社)/対馬康子『百人』(ふらんす堂) /
西村和子『素秋』(朔出版) (敬称略・著者50音順)
【選考委員】 高野ムツオ 高橋睦郎 中村和弘 正木ゆう子 (敬称略/50音順)
■第60回 迢空賞
桑原正紀(くわはら まさき)氏 歌集『 麦熟(むぎう)るるころ 』(2025年11月 本阿弥書店 刊)
日高堯子(ひたか たかこ)氏 歌集『日在浜(ひありはま)』(2025年11月 角川文化振興財団 刊)
【最終候補作】 下記6作について厳正な審査の結果、受賞作を決定いたしました。
阿木津英『草一葉』(砂子屋書房)/奥村晃作『天啓』(短歌研究社)/
春日真木子『宇宙卵』(角川文化振興財団)/桑原正紀『麦熟るるころ』(本阿弥書
店)/平井弘『羊をいつぴき』(短歌研究社)/ 日高尭子『日在浜』(角川文化振
興財団) (敬称略・著者50音順)
【選考委員】 島田修三 高野公彦 永田和宏 馬場あき子 (敬称略/50音順)
贈呈式 2026年6月28日(日)16時より
於:ホテルメトロポリタンエドモント(東京・ 飯田橋)
表 彰 賞状・記念品・副賞100万円
選考の経過、受賞者のコメントは、以下、および2026年5⽉25⽇発売の「俳句」「短歌」をご参照下さい。
■第60回 蛇笏賞
大木 あまり(おおき あまり)氏 句集『 山猫座(やまねこざ) 』(2024年12月 ふらんす堂 刊)
*第7句集 2015年から2021年までの作品、362句。

【受賞者プロフィール】
大木あまり(おおき あまり)
【略歴】 1941年6月1日生(84歳)
1965年 武蔵野美術大学洋画科卒業
1971年 「河」入会。角川源義の指導を受ける。
2008年 「星の木」創刊。
横浜市在住。
【句集】 『山の夢』 『火のいろに』 『雲の塔』 『火球』 『星涼』 『遊星』
【著書】 詩画集『風を聴く木』他
【受賞歴】 2011年 句集『星涼』にて第62回読売文学賞
【選考委員コメント】(敬称略/50音順)

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高野ムツオ 大木あまりさんは長い療養生活とコロナウィルスによる閉塞感の中で自らの生死に向き合うことを日常としてきた。しかし、精神は実に溌剌とし、向日的、健康そのものである。その両者のギャップが俳句に溶け込み、独自の世界を作り上げている。俗を詠いながら俗を超越した詩精神が一句一句に躍動している。 |
高橋睦郎 今回の蛇笏賞は第60回。人間に当て嵌めれば還暦に当たる。その記念すべき年の最終選考対象の中では、『山猫座』が一馬身抜きん出た印象を持った。 あまりのありようにふさわしい形容詞があるとしたら天然ではないか。病身との付き合いかたも深刻になりすぎず天然そのもの。選者のひとりとして私は作者の「天然」に「美しき」という形容詞を献じたい。 |
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中村和弘 大木あまりの句には、作者ならではの研ぎ澄まされた感覚が働く。 この度の句集、あたらしい素材をもとりこみ明暗こもごも豊かな象徴詩としての記念碑的一冊となった。 |
正木ゆう子 一冊の中に実にさまざまなものが登場する。季語の付け方や取合せに独自性と飛躍が感じられる。 良い意味での通俗性が俳句にしっかり取り込まれていて、その通俗性が華やかさに通じている。 |
【受賞者コメント】
『山猫座』を蛇笏賞にお選びいただきました先生方に、心より御礼申し上げます。
二十代の頃に始めた俳句を、今日まで続けてこられましたのは、支えてくださった先輩方や句友たちのおかげです。そして何より俳句を読んでくださる読者の皆様の存在に支えられてまいりました。「あなたの句に出会い、生きてこられました」と伝えてくださる読者の方々からのお手紙には、これまで何度も力をいただきました。
記念すべき第60回という節目の年に、このような栄えある賞を賜りましたことは、驚きとともに大きな喜びでございます。俳句を一から教えてくださり、私を育ててくださった角川源義先生に、わずかでも恩返しができましたのなら、これほど嬉しいことはございません。
選考委員・受賞者のコメントは、2026年5月25日発売の角川「俳句」に掲載致します。
■第60回 迢空賞
桑原正紀(くわはら まさき)氏 歌集『 麦熟(むぎう)るるころ 』(2025年11月 本阿弥書店 刊)
*第10歌集、2019年後半期〜2025年前半期までの464 首。

【受賞者プロフィール】
桑原 正紀(くわはら まさき)
【略歴】 1948年8月12日、広島県生(77 歳)。
國學院大學大学院文学研究科修了。1973年、「コスモス」入会。
1985 年には「コスモス」の結社内同人誌「棧橋」創刊に参加。
東京都板橋区在住。
【歌集】 『火の陰翳』『白露光』『月下の譜』『時のほとり』『妻へ。千年待たむ』『一天紺』
『天意』『花西行』『秋夜吟』
【著書】 『宮英子の歌』『歌の光芒』『ようこそ、歌の世界へ』
【受賞歴】 2009年「棄老病棟」にて第45回短歌研究賞
2026年『麦熟るるころ』にて第18回小野市詩歌文学賞
【選考委員コメント】(敬称略/50 音順)

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島田修三 平明な歌い方の中に、自分の中にある屈託や辛さのようなものを自然に歌っている。どれも穏やかで、団塊の世代の知的で良質な部分もある。題材も満遍なく広く、読みやすい歌集だと思う。 |
高野公彦 宮柊二からの「コスモス」流の歌い方を体現している。社会詠なども広い素材を多岐にわたって詠いながらも、意味のある詠い方をしている。字余りが極めて少ない作者であり、定型を守る表現となっている。 |
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永田和宏 コロナ禍の中、最愛の妻と引き離される歌が心に残った。長い介護の末、その妻が亡くなった後の歌が却って少ないようにも感じるが、十分に看取り、亡くなった後にはもう歌えないのだということもあると思われ、逆に切実なものを感じた。 |
馬場あき子 膨らみのある、優しい言葉遣いに「コスモス」の歌を感じる。その叙情が歌集一冊の初めから終わりまで貫いている。パンデミックの時期で題材が乏しい中でも、歌に浸っていようという気分が感じられた。妻のコロナ罹患の歌も印象に残る。 |
【受賞者コメント】
迢空賞は歌を作り始めたころから、ぼんやりとした憧れを懐いておりましたが、まさか現実に自分がいただけるものとは思ってもいませんでした。このたび第60回の受賞者としてお選びいただいたことが夢のようで、いまだ受け止めきれていないというのが実感です。今はただこの賞に恥じないよう、これまで以上に短歌と向き合おうと決意を新たにするばかりです。
最後になりましたが、受賞を推してくださいました皆様に、心より感謝申し上げます。
■第60回 迢空賞
日高堯子(ひたか たかこ)氏 歌集『日在浜(ひありはま)』(2025年11月 角川文化振興財団 刊)
*第11歌集、2021年から2024年の間の388首。

【受賞者プロフィール】
日高 堯子(ひたか たかこ)
【略歴】 1945年6月29日、千葉県生(80歳)。
早稲田大学国語国文学科卒業後、1979 年「かりん」入会。 1992 年から「かりん」編集
委員。同人誌「鱧と水仙」同人。千葉県市川市在住。
【歌集】 『野の扉』『牡鹿の角の』『袰月もゆら』『玉虫草子』『樹雨』『睡蓮記』
『雲の塔』『振りむく人』『空目の秋』『水衣集』
【著書】 『山上のコスモロジ―前登志夫論』『黒髪考、そして女歌のために』
『小さい葛籠―歌・ことば・風景』
【受賞歴】 2004年『樹雨』により第31回日本歌人クラブ賞/第14回河野愛子賞
2007年「芙蓉と葛と」により第41回短歌研究賞
2008年『睡蓮記』により第13回若山牧水賞
2022年『水衣集』により第14回小野市詩歌文学賞
【選考委員コメント】(敬称略/50 音順)

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島田修三 感覚的に優れた歌が多くあり、また歌の世界が広い。嘱目詠などもシャープな感覚の歌が多い。全体的に穏やかな詠いぶりで、歌のある種の完成形を見せている。女歌のもつ相聞的な雰囲気にも惹かれた。 |
高野公彦 1字空けがある歌が多すぎるという難点があるものの本格派の歌として一つ完成している。 歌の底に、人恋しさや恋の歌の気配が感じられる。 |
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永田和宏 平明な歌い方だが、時折はっとさせらるような歌の詠み方をしている。「死と死のあひだを草にむせびつつ八十年をわが生きてきし」など、生は死と死の間にあるのだというような、父の戦後や現代の社会に対する厳しい認識を詠っているなど、なるほどと納得させるものがあった。 |
馬場あき子 日高の詠いぶりは、女性の歌の形として古典的なものを踏まえている。文学が生活の中に息づいている人の作品と感じる。優しく強い存在への思慕感なども感じられる歌だが、時に大胆な歌い方をする。 |
【受賞者コメント】
第60回迢空賞受賞のお知らせをいただき、とても嬉しく思います。
年齢を重ねたことで、歌の重みから軽さのほうに向かって自由になり、様々なことを詠った歌集だと感じています。自然との繋がりが薄れている現代において、どのように自然を詠うことができるかということを模索していた時期の作品でもあります。
選考委員の先生方、また読者の皆様に感謝いたします。
第60回 蛇笏賞/迢空賞について
【概要】
今年2026年に第60回を迎える蛇笏賞・迢空賞は、それぞれ俳人・飯田蛇笏、歌人・釈迢空両氏の遺徳を敬慕して設立されました。俳句・短歌界において、その年の最高の業績を示した句集・歌集に贈られます。
(両賞は第10回(1976年)から角川文化振興財団の主催により運営されています)。
【設立の趣旨】
角川書店は伝統的日本詩歌の興隆に力をいたすべく、綜合雑誌「短歌」「俳句」を発刊し、ひろく歌壇・俳壇の公器として、作品活動・評論・研究に多くの場を提供し、つねに清新の風をおこすべく努力してきた。近代短歌・俳句のいとなみは誠に驚くべきで、日本文学史上、かつてなきほどの高まりを見せており、綜合二誌を発刊する小社としても、深く喜びとするところである。
しかるに、歌人俳人の生涯にわたる創作・研究の多くは、その彫心鏤骨の努力に比して、報わるるところ、はなはだ少ないのもまた衆知のとおりである。角川書店はさきに角川短歌賞・俳句賞を設定し、毎年新人の発掘顕彰に努力して来たが、このたび短歌・俳句界の最高の業績をたたえる大賞の設立にあたつて、短歌部門を「迢空賞」・俳句部門を「蛇笏賞」と名づけ、日本詩歌の興隆に力をつくされた釈迢空(折口信夫)先生・飯田蛇笏先生の遺徳を敬慕し、世世に語り継ぎ、日本詩歌の振興に一層の努力を期すものである。 1967(昭和42)年の「短歌」「俳句」(各4月号)に掲載
【飯田蛇笏・釈迢空 紹介】

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飯田蛇笏(いいだ だこつ) 1885(明治18)年4月〜1962(昭和37)年10月 山梨県境川村生まれ。早稲田大学中退。本名・武治(たけはる)。別号・山廬(さんろ)。山梨の大地主・名家の長男という桎梏のなかで早くから文芸を志し、上京。早大英文科に入学し早稲田吟社の句会に参加、「ホトトギス」にも投句した。 その後、知遇を得ていた虚子の俳壇からの「引退」とほぼ同期間、蛇笏もまた句から遠ざかり、帰郷。だが、故郷での田園生活のなかで虚子の「俳壇復帰」を知り、俳句に還る。1917年、「キラゝ」主宰(後に「雲母」と改題)。1932年、47歳で第一句集『山廬集』を出版。山本健吉はその『現代俳句』で蛇笏を、「簡勁蒼古重厚とも言うべき句風」をうちたてたと評し、「これは大正・昭和の俳諧史において、一つの偉業として顧みられるであろう。甲斐の山中にあって孜々として磨かれた彼の句風は、現代では文字どおり孤高である。(中略)その気魄にみちた格調の荘重さ、個性の異常な濃厚さは、蛇笏調として俳諧史上に独歩している」と記した。 |
釈 迢空(しゃく ちょうくう) 1887(明治20)年2月〜1953(昭和28)年 9月 大阪生まれ。國學院大學卒業。歌人、詩人、古代学・民俗学者。國學院大學教授、慶應義塾大学教授。文学博士。本名・折口信夫(おりくち しのぶ)。 國學院の学生時代から、子規庵の根岸短歌会に加わり、さらに「アララギ」に拠って歌を詠んだが、1925年には超結社誌「日光」に参加。翌26年、第一歌集『海やまのあひだ』を刊行。 大学卒業後、柳田国男に出会い、以後民俗学においては柳田を師とした。國學院、慶應義塾で教鞭をとり、その間に、『国文学史の発生』『古代研究・民俗学編』『古代研究・国文学編』『万葉集研究』などを発表。 歌集に、『春のことぶれ』『水の上』『遠やまひこ』『倭をぐな』があり、詩集に『古代感愛集』、小説『死者の書』がある。 |
【角川文化振興財団について】
角川文化振興財団は「わが国の文化の振興に寄与する」という財団の設立目的実現のために、文芸の成果に対する顕彰、文芸に関する出版、文芸の研究や著述の刊行への助成、映画芸術振興に関する助成、また文芸・映画資料の収集・保存・展示等、様々な事業を行っております。
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