企業内ビジコンを支える「事務局」に光を。21社の実践知が集結した「ビジコンAWARDS 2026」開催レポート

JTB、本田技研工業、JR東日本、ヤマハ、ロート製薬などが登壇。制度設計から事業化まで、各社の実践と試行錯誤を共有

株式会社フィラメント

大企業向けの新規事業支援を行う株式会社フィラメント(大阪市中央区、代表取締役CEO:角 勝、以下フィラメント)は、2026年6月10日(水)に、社内新規事業提案制度(以下、社内ビジコン)の運営を担う事務局を表彰する「ビジコンAWARDS 2026」を開催しました。昨年に続き2回目となる今回は、71社から158名の社内ビジコン事務局担当者らが参加。24社のエントリーから選ばれた最終ノミネート6社による制度プレゼンテーションや、社内ビジコン運営をテーマとした4つのトークセッションを実施し、計21社が登壇しました。

当日は、自社におけるビジコンの制度設計や挑戦者への伴走、社内の巻き込み、事業化に向けた取り組みまで、各社が現場で重ねてきた工夫や苦労を共有。本レポートでは、会場の写真とともに、当日交わされた議論や表彰結果、審査員から寄せられたメッセージを紹介します。

□イベント概要
名称:ビジコンAWARDS 2026

開催日:2026年6月10日(水)

会場:港区立産業振興センター ホール大

主催:株式会社フィラメント

パートナー:ASCII STARTUP、CNET Japan、新規事業Talks、Biz/Zine、FINDERS
URL:https://bizcon-awards.com/2026

□ノミネート企業による制度プレゼンテーション

「ビジコンAWARDS 2026」では、24社のエントリーから選出された6社が、自社の制度設計、運営体制、応募者支援、事業化に向けた仕組みを、具体的な数値や試行錯誤とともに発表しました。

カシオ計算機株式会社  「IBP(Idea Booster Program)」 

各社員の裁量で使える「10%制度」を活用し、半期ごとに挑戦をスタート。事務局を専任化せず、組織開発・人財開発部門の兼任で持続可能な運営体制を構築。

株式会社JTB 「JUMP」

グループ全体のイノベーション創発プログラム「nextender」のもと、「CHALLENGE(挑戦)」と「KNOWLEDGE(学び)」を循環させる設計。挑戦者が「孤立しない」「出してみたくなる」仕組みを多層的に整備。

大東建託株式会社 「HIRAKU」  

横文字を排した制度設計で応募ハードルを下げ、本業アセットを徹底活用する「勝てるフィールド」での戦略を提示。推進者のメンタルケアの重要性にも踏み込んだ。

千代田化工建設株式会社 「F1 PROJECT」 

「挑戦が個人の意志では続かない」という課題に対し、本部長への直談判から人事評価制度への組み込みまで、3年がかりの実践で「挑戦が成立する組織」を設計。

本田技研工業株式会社 「IGNITION」 

VC(ベンチャーキャピタル:新興企業投資家)視点を取り入れた審査と、創業メンバーと同じ目線で走る伴走支援を展開。累計1,300件超の応募から6件を事業化。

ロート製薬株式会社 「明日ニハ」 

「社員が起業し、社員が投資する」社内起業家支援制度。全社員参加の社内クラウドファンディングを通じ、経営層の承認だけでは事業化が決まらない仕組みを構築。

□最終ノミネート企業クロストーク「新規事業提案制度を支える事務局の実践知」

最終ノミネート6社の事務局担当者が一堂に会し、制度設計の背景、事務局が果たす役割、独自の仕組み、再現性・仕組み化をテーマに議論しました。プレゼンテーションだけでは見えにくい、各社の思想や意思決定の背景まで共有されました。

登壇者

・高橋 英士朗 (カシオ計算機株式会社)

・谷戸 雅 (株式会社JTB)

・遠藤 勇紀 (大東建託株式会社)

・和泉 亜樹 (千代田化工建設株式会社)

・松澤 拓未 (本田技研工業株式会社)

・市橋 健 (ロート製薬株式会社)

最終ノミネート6社が、「事務局が果たす役割」「独自の仕組み」「再現性・仕組み化」の3テーマで運営の裏側を掘り下げました。事業創出、人材育成、文化醸成、自社らしさの体現など、各社が置く重点は異なり、自社の状況に合わせて制度を最適化していることが浮き彫りになりました。独自の仕組みとして、社員の行動原理に合わせた評価・報酬設計や、ビジコン単体で完結させず人事・人材開発と連携する設計が紹介されました。さらに、兼任で運営を継続する体制、AIを活用した磨き上げの効率化、外部支援と内製の機能分担など、持続可能な運営に向けた試行錯誤も共有されました。


最終ノミネート6社によるクロストークに加え、事務局が直面する課題をフェーズ別に扱う4つのセッションを実施しました。立ち上げ、継続、人材育成、事務局体制という異なるテーマから、自社の状況に近い実践知を持ち帰れる構成としました。

□セッション①「はじめての社内ビジコン運営で見えた成功と苦労のリアル」

立ち上げ1〜2年目の事務局担当者が、制度をゼロからつくる過程と、社内を巻き込む現場のリアルを共有しました。

 

登壇者

・木田 萌未 (日立グローバルライフソリューションズ株式会社)

・黒田 智孝 (株式会社RYODEN)

・吉田 圭佑 (積水化学工業株式会社) : モデレーター

中心となったキーワードは「キラキラよりガシガシ」。華やかに見える新規事業の裏側には、関係者への地道な働きかけと巻き込みがあり、その積み重ねが挑戦者を支えていることが共有されました。キーパーソンについては、「会社の本気度を示す社長メッセージ」と、草の根で効く「顔の広い普通の人」の言葉の両方が重要との意見が挙がりました。「軸は課題、解決策は変わる」という考え方や、制度の成熟に合わせて予算配分を変える工夫など、立ち上げ期の担当者が実践しやすい知見が提示されました。

□セッション②「10年続けたからこそ見えてきた社内ビジコンの変化と進化」

6〜11年にわたり新規事業創出制度を継続してきた3社が、目的の変化や「続けること」の難しさ、制度を進化させる転機を語りました。


登壇者

・枝川 和貴 (住友生命保険相互会社)

・菊池 康孝 (東日本旅客鉄道株式会社)

・山本 雄登 (ヤマハ株式会社)

・川口 紗弥香 (富士通株式会社) : モデレーター

中心となったキーワードは「3-5年目の危機」。「既存事業が好調なのになぜ新規事業を行うのか」という逆風や、最初の事業が立ち上がった後に制度の存在意義を問い直される局面を、各社がどのように乗り越えてきたかが共有されました。議論は、「良いアイデアだけでは事業にならない」という気づきや、制度の目的が「アイデアの量」から「事業を担える人材の発掘・事業開発」へ移る変化にも及びました。かつての挑戦者が管理職となり、次の挑戦者を後押しする好循環も紹介され、継続すること自体の価値が示されました。

□セッション③「社内ビジコンは人を育てるのか?新規事業×人材育成の最前線」

人材育成を重視する3社が、挑戦を通じた行動変容の捉え方と、事業創出との両立について議論しました。

登壇者

・明石太陽 (パナソニック システムデザイン株式会社)

・立花 達史 (株式会社NHKエンタープライズ)

・長瀧 知士 (株式会社マイナビ)

・渡邊 理沙 (川崎重工業株式会社) : モデレーター

中心となったキーワードは「埋もれ人材を変革の当事者に」。既存事業では目立ちにくかった人材が、本業とは異なるテーマで先輩や管理職と対等に議論し、挑戦を通じて成長する姿が紹介されました。経営への成果説明では、数値化しにくいからこそ、「想定外の層を役員プレゼンの場に送り出す」など、行動変容そのものを可視化する工夫が共有されました。一方で、「育成が前に出すぎると研修と変わらない」というジレンマも語られ、「表は事業創出、裏は人材育成」というバランスが焦点となりました。

□セッション④「ビジコン事務局はどう作られるのか?事務局の役割を問い直す」

体制設計、伴走支援、運営の内製化を切り口に、事務局が果たす役割と、担当者に求められる人材像を議論しました。

登壇者

・児島 輝 (サッポロホールディングス株式会社)

・関本 良平 (東急建設株式会社)

・溝口 貴士 (タツタ電線株式会社)

・岡本 奈央美 (TIS株式会社)  : モデレーター

中心となったのは「主役は提案者、事務局は裏方」というスタンスです。発案者と二人三脚でアイデアを磨く姿勢、挑戦を迷う社員の背中を押す働きかけ、評論家ではなく「一緒の起案者」として入り込む姿勢など、各社の事務局像が共有されました。向いている人材像として、「社内ルールをハックできる人」「起案者に合わせて変化できるカメレオン」「経営層への翻訳役」が挙がりました。内製化についても、単なるコスト削減ではなく、検証費用へ再投資するための選択や、外部支援の客観性・推進力を残す戦略など、目的に応じた考え方が示されました。


□最優秀賞はJTB「JUMP」。6社の実践を称える表彰式

審査では、最終ノミネート6社それぞれの独自性と完成度が高く評価されました。最優秀賞に加え、特に優れた取り組みとして2社に審査員特別賞を授与しました。

最優秀賞

株式会社JTB 「JUMP (nextender)」

9年間にわたり担当者や提案者からバトンを受け継ぎ、制度自体を一つの新規事業のように磨き続けてきた点も高く評価されました。コロナ禍で大きな打撃を受ける中、人材を起点に再生と挑戦を進めてきた歩みにも称賛が寄せられました。

審査員特別賞

入山章栄賞:大東建託株式会社 「HIRAKU」

自社の文化や社員のコンピテンシーを深く理解したインセンティブ設計と、本業アセットを徹底活用する戦略が、独自の進化の形として評価されました。

紺野登賞:ロート製薬株式会社 「明日ニハ」

イノベーションカンパニーとしての文化を制度の中核に据え、一貫性を持って設計し、着実に結果を出している点が評価されました。

審査員

入山 章栄 (早稲田大学ビジネススクール 教授)
紺野 登 (一般社団法人Japan Innovation Network Chairperson 理事)

角 勝 (株式会社フィラメント 代表取締役 CEO)


審査員の紺野 登氏は、事務局の活動を経営課題やイノベーションマネジメント全体の中に位置づけ、経営層に説明していく重要性を指摘しました。さらに、「それは裏ミッションではなく、表のミッションです。本当に企業がやりたいことのために、事務局の皆さんが選ばれている。もっと自らの活動を主張してほしい」と、事務局担当者にエールを送りました。

審査員の入山 章栄氏からは、「今回の発表を通じて、ビジコンは一つではないと改めて感じました。それぞれの企業が『こうなりたい』という姿を明確に持ち、その実現手段としてビジコンを位置づけている。事務局の皆さんの努力によって、ビジコンが成熟してきていることは大変素晴らしい」とのメッセージが寄せられました。

イベントの最後に、フィラメント代表の角 勝は、「社内ビジコンに、一つの正解があるわけではありません。会社によって文化も、事業も、抱えている課題も違います。だからこそ、他社のさまざまな実践からヒントを持ち帰り、自社に合った形へ変えていくことが大切です。ビジコンAWARDSを、表彰だけで終わらず、次の挑戦につながる場にしていきたいと思います」と語りました。


□企業の枠を越え、事務局同士がつながる場へ

 イベント終了後の懇親会でも、業種や企業の枠を越えて、事務局担当者同士の情報交換・交流が続きました。社内ビジコンの事務局は、多くの企業で数名程度の少人数で担われています。同じ会社のなかに、悩みを共有できる相手が何人もいるとは限りません。だからこそ、他社で同じ役割を担う人と出会い、成功だけでなく失敗も含めて率直に話せる場には、大きな意味があります。ビジコンAWARDSは今後も、事務局担当者が出会い、学び合い、それぞれの会社へ実践知を持ち帰ることのできる場をつくり続けてまいります。

□ビジコンAWARDSとは

ビジコンAWARDSは、企業が実施する社内ビジネスコンテスト(ビジコン)の運営を担う事務局の取り組みに焦点を当て、その挑戦と成果を評価・表彰する国内唯一のアワードです。近年、社内ビジネスコンテストは、新規事業創出に加え、人材育成や組織変革を促す取り組みとしても活用が進んでいます。その成功の背景には、制度設計や運営、応募者支援、事業化支援などを担う事務局の存在があります。

ビジコンAWARDSでは、事務局の努力や工夫を可視化し、その知見を広く共有することで、より多くの企業がビジコンを通じて企業変革に挑戦しやすい環境づくりを目指しています。事務局の優れた取り組みを社会に発信することにより、新規事業創出の仕組みの進化と持続的な企業変革の加速に貢献してまいります。

□会社概要

会社名:株式会社フィラメント/Filament Inc.

設立:2015年4月9日

代表者:代表取締役 CEO 角 勝

所在地:大阪府大阪市中央区南本町2-1-1 2F

事業内容:新規事業創出支援および人材組織開発
URL:https://thefilament.jp

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会社概要

株式会社フィラメント

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URL
http://thefilament.jp
業種
サービス業
本社所在地
大阪府大阪市中央区南本町2-1-1 2F
電話番号
-
代表者名
角勝
上場
未上場
資本金
-
設立
2015年04月