甘くて重い。陶がさらけ出す自身の姿——新しい陶芸表現で国内外から注目を集める川井雄仁が、KOTARO NUKAGA(天王洲)で個展「神様、もう少しだけ」を開催

感情の揺らぎを捉えた独自の陶作品で知られる川井雄仁。2025年5月17日(土)から6月28日(土)まで開催する本展は、思春期に刷り込まれた「理想的な家族像」と自身の現在との対比をひとつのテーマとする。新作の陶作品、写真、インスタレーションを通じて理想と現実をめぐる空間が立ち現れる。

KOTARO NUKAGA(天王洲)では、2025年5月17日(土)から6月28日(土)まで、川井雄仁による個展「神様、もう少しだけ」を開催します。川井は艶やかで感情の揺らぎを湛えたセラミックを素材とする作品で知られ、近年では「GO FOR KOGEI 2023」での出展や、ヴィクトリア&アルバート博物館(ロンドン)による作品収蔵など、国内外で評価を集めている作家です。素材への探究や形式の完成を重んじる陶芸の伝統的価値観から意識的に距離を取り、陶土を虚構や矛盾、切実な願望を投影するための媒体としてとらえることで、個人的な記憶と文化的残滓を抱えた、脆く過剰なかたちを築き上げています。


本展のタイトルは、1998年に放送された、金城武と深田恭子主演のテレビドラマ『神様、もう少しだけ』に由来しています。川井は、90年代後半から2000年代初頭のポップカルチャーによって刷り込まれた自身がもつ「理想的な家族像」をあらためて見つめ直し、それを40代を迎えた自身の現在と対比させます。虚構の家族写真や記憶の断片のように複雑に構築された作品を通して、いまだ満たされない願望、そして年齢を重ねたことの感情的な重みをかたちにしようとする試みが展開されます。

自重に耐えながら、もろく立ち上がる川井の作品は、理想の家族像を肯定することも否定することもなく、羨望と拒絶のあいだで揺れる個人の感情や、社会的役割を演じきれなかったことへの戸惑い、そして、それでもなお残る思いの存在を静かに示唆します。川井にとって陶土は、崇高な素材ではなく、喪失や羞恥、ユーモア、願望といった不安定な感情を記録する、柔らかく壊れやすい媒体です。「神様、もう少しだけ」は、そうした不安定さを解消すべき課題としてではなく、私たちの現実の一部として見つめ直す機会となるでしょう。
ぜひ、この機会にご高覧ください。
【開催概要】
川井雄仁
「神様、もう少しだけ」
会期: 2025年5月17日(土)– 6月28日(土)
開廊時間: 11:00 – 18:00(火 – 土)
※日月祝休廊
会場: KOTARO NUKAGA(天王洲)
〒140-0002 東京都品川区東品川1-32-8 TERRADA Art Complex II 1F





川井 雄仁 | Kazuhito Kawai
1984年 茨城県生まれ。
2007年 チェルシー・カレッジ・オブ・アート(UAL)BA(Hons)ファインアート科 卒業、2018年 茨城県立笠間陶芸大学校研究科 卒業。現在は茨城県にて制作を行っている。ロンドンで現代アートを学んだのちに、陶芸というメディアと出会ったことで、創造性が解放され突破口を見出す体験をした。ダイナミックな色と形が特徴の陶芸作品は不規則さや醜さ、グロテスクさ、脆さなど様々な表情を見せ、素材によって引き出された自己の 内面を重層的に表出している。また積み上げられた土の塊は粘土と自分との対話という時間軸を反映している。
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