社内ビジコンによる新規事業創出の実態調査|提案制度の設計と運営課題を40社のアンケートデータから分析
ビジコンAWARDS参加企業にみる、ビジネスコンテストを成果につなげる設計とは。制度の成熟度や目的、社員属性、対象範囲によって異なる課題と、参考にすべき他社事例の見極め方を考察
大企業向けの新規事業支援を行う株式会社フィラメント(大阪市中央区、代表取締役CEO:角 勝、以下フィラメント)は、2026年6月10日に開催した「ビジコンAWARDS 2026」の来場者を対象に実施したアンケートをもとに、社内ビジネスコンテスト(以下、社内ビジコン)の運営実態をまとめた調査レポートを公開しました。本イベントの来場者は一般参加者ではなく、全員が社内ビジコンの事務局担当者、または導入を準備・検討中の担当者です。当日は71社158名が参加し、うち66名(45社)から回答を得ました。制度設計・運営体制の分析は、開催実績のある40社を対象としています。
レポート全文:https://thefilament.jp/publications/report2026.pdf
▹調査結果の要点
・制度の成熟とともに、課題は「入口(応募集め)」から「出口(事業化)」へ移る
・同じ課題でも社内ビジコンの主目的によって詰まる場所が変わる
・課題は業種だけでは捉えきれず、社員属性や制度の対象範囲によっても異なる
□ 制度の成熟とともに、課題は「入口」から「出口」へ移る
開催実績のある40社を実施回数で3区分して比較すると、課題の重心が「入口」から「出口」へ移る傾向が見られました。黎明期(1〜2回/10社)は、エントリー数の確保・応募者の熱量維持・アイデアの質という「人を集め、続ける」課題が中心です。定着期(3〜4回/12社)でエントリー確保と事業化が並び、成熟期(5回以上/18社)では、事業化・事業規模の拡大・既存事業部門との連携という「事業として育て、広げる」課題が中心となりました。

立ち上げ期の事務局にとっては、まず応募者を集め、挑戦を継続してもらうことが目の前の課題になっています。制度が回り始めると、今度は生まれたアイデアをどう事業として育て、既存の事業部門と連携させるかが問われるようになります。運営体制にも同様の傾向がありました。実施回数が多い企業では、出口側の課題が中心となる一方、事務局人数も多い傾向が見られました。黎明期・定着期は2〜3名が中心ですが、成熟期では4〜5名・6〜10名の比率が上がります。
※本調査の黎明期・定着期・成熟期は、実施回数による分析上の区分(黎明期1〜2回/定着期3〜4回/成熟期5回以上)であり、各社の制度成熟度を判定するものではありません。
※本調査の「事業化」は、アンケートの課題項目として回答されたものです。PoCへの移行、予算確保、事業部門への移管、売上創出など、具体的な到達基準は企業によって異なる場合があります。
□同じ課題でも社内ビジコンの主目的によって詰まる場所が変わる
同じ「課題」でも、制度が何を目指すかによって所在が変わりました。新規事業創出を主目的に置く企業(29社)では、事業化が最大の課題で62%(29社中18社)。一方、人材育成を主目的に置く企業(8社)では、エントリー数の確保(75%・8社中6社)とアイデアの質(62%・8社中5社)が前面に出て、事業化は38%(8社中3社)まで下がります。

人材育成を重視する事務局では、まず多くの社員に手を挙げてもらい、挑戦の裾野を広げることが課題になりやすいと考えられます。目的が違えば、支援すべきポイントも評価の重心も変わってきます。
□課題は業種だけでは捉えきれず、社員属性や制度の対象範囲によっても異なる社員の多い
職種で企業を区分すると、課題の重心が分かれました。営業・販売中心の企業(19社)は事業化(63%・19社中12社)、エンジニア・技術職中心の企業(15社)はエントリー数の確保(67%・15社中10社)、製造・生産中心の企業(9社)はアイデアの質向上が主要な課題として挙がりました。
技術職中心の企業では、新規事業提案の担い手が一部の技術者に偏りやすく、応募の確保が課題になりやすい傾向があります。製造・生産中心の企業では、「アイデアの質」が主要な課題として挙がりました。その背景にある要因については、今後さらに検証が必要です。
制度の対象範囲によっても課題は異なりました。グループ会社を含めて運営する企業では、「事業部との連携」を課題に挙げた企業が47%(17社中8社)となり、自社単体で運営する企業の23%(13社中3社)を上回りました。対象範囲を広げるほど、部門やグループ会社を横断した連携が新たな課題として表れる傾向があります。

こうした結果から、フィラメントでは、社内ビジコンの課題を業種だけで捉えるのではなく、制度の成熟度・主目的・社員属性・対象範囲に加え、事業構造が近い企業を参考にすることも有効だと考えています。参考にすべき企業は、同業他社だけとは限りません。
たとえば、業種が異なっていても、「技術者が多い」「顧客接点を持つ職種が一部に限られる」「プロジェクト型の収益構造である」といった共通点を持つ企業同士では、類似した課題が表れる可能性があります。受託SI企業とエンジニアリング企業などは、その一例です。同業他社だけでなく、社員属性や事業構造が近い企業の取り組みが参考になる場合があります。
□制度設計そのものにも、大きな違いが見られた
参加企業40社を見ると、制度設計そのものも企業ごとに大きく異なっていました。主目的こそ新規事業創出が中心(40社中29社が1位)で比較的一貫している一方、対象範囲・求める提案・運営体制は各社で分かれています。社内ビジコンに「唯一の正解」はなく、各社が自社に合った制度を模索する段階に入っています。

このように、社内ビジコンの多くは少人数かつ経験年数の短い事務局によって運営されています。制度設計が企業ごとに異なり、課題も成熟段階によって変化するなか、他社の実践を知り、自社に近い事例から学ぶ必要性は高いと考えられます。
□今後の展望
フィラメントでは、各社が単独で最適解を探すよりも、互いの実践を持ち寄って学び合う場に価値があると考えています。今回の調査でも、研究会など継続的な学びの場があれば回答者66名中59名(約9割)が前向きでした。他社事務局との接点についても、回答者66名中60名が「相談したい」「情報交換したい」「今後必要になればつながりたい」のいずれかを選択しました。本調査は、同じ設問を継続することで来年以降の定点比較が可能になります。今回を初年度版とし、社内ビジコンの実態を継続的に可視化する「BIZCON AWARDS 実態レポート」として積み上げていきます。
レポート内容に関するご質問や、自社の制度設計・運営についての情報交換、初期段階でのご相談も受け付けています。
▹調査概要
調査名:BIZCON AWARDS 2026 参加企業アンケート
調査日:2026年6月10日
調査方法:イベント会場での任意回答
回答者:社内ビジコンの事務局担当者・導入検討者 66名(45社)
制度実態の分析対象:開催実績のある制度保有企業 40社
集計上の注意:同一企業からの複数回答は企業単位に集約。第3章のクロス集計は各区分が少数サンプルのため、統計的な一般化ではなく傾向として掲載。
□ビジコンAWARDSとは
ビジコンAWARDSは、企業が実施する社内ビジネスコンテスト(ビジコン)の運営を担う事務局の取り組みに焦点を当て、その挑戦と成果を評価・表彰する国内唯一のアワードです。近年、社内ビジネスコンテストは、新規事業創出に加え、人材育成や組織変革を促す取り組みとしても活用が進んでいます。その成功の背景には、制度設計や運営、応募者支援、事業化支援などを担う事務局の存在があります。
ビジコンAWARDSでは、事務局の努力や工夫を可視化し、その知見を広く共有することで、より多くの企業がビジコンを通じて企業変革に挑戦しやすい環境づくりを目指しています。事務局の優れた取り組みを社会に発信することにより、新規事業創出の仕組みの進化と持続的な企業変革の加速に貢献してまいります。
□会社概要
会社名:株式会社フィラメント/Filament Inc.
設立:2015年4月9日
代表者:代表取締役 CEO 角 勝
所在地:大阪府大阪市中央区南本町2-1-1 2F
事業内容:新規事業創出支援および人材組織開発
URL:https://thefilament.jp
本レポートに関するお問い合わせ
担当:柿木原 明良
E-mail:kakihara@thefilament.jp
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