【岩手県×岩手日報社×岩手日報会】「世界津波の日」に災害時物資輸送協定締結
日本各地で続発する大規模災害を教訓に/物資と情報を被災地に届ける「併送型輸送」/支援物資の「目詰まり」解消の一助に


株式会社岩手日報社(盛岡市)は、岩手県および県内93の新聞販売店で構成する岩手日報会(盛岡市、従業員約2,000人)の3者で2026年11月5日(世界津波の日)、大規模災害時における被災地支援を目的とした協定を締結しました。 2011年3月11日の東日本大震災で未曾有の地震・津波災害を経験した岩手県において、その教訓を活かし、近年全国各地で多発する大規模地震で課題となっている支援物資の「目詰まり」の解消の一助になることを目指し、スムーズな被災地支援を実現するため、岩手県内最大級の新聞輸送・配達の民間インフラを防災ネットワークへ転用する取り組みに乗りだします。

■「災害時における物資の輸送・荷役等に関する協定」締結式
▽日時 2026年11月5日(木)
※11月5日は「津波対策の推進に関する法律(2011年6月)」により津波防災の日として制定され、併せて「世界津波の日」にも位置づけられています。
▽場所 岩手県庁
▽内容
・3者出席者挨拶
・協定書に調印
■ 協定締結の背景と課題解決の意義
岩手県は面積15,275.04平方キロメートルを有し、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の4都県合計(13,570.72平方キロメートル)を上回る広さです。 この広大な地域においては、災害時に「物流の寸断」と「情報の断絶・錯綜」が同時に発生するリスクがあり、広域での確実な物資輸送と情報伝達の確保が急務となっています。本協定は、岩手日報の新聞輸送網と販売店網という既存のネットワークを防災インフラとして活用することで、避難所や孤立集落への迅速かつ確実な支援を実現するものです。
■ 本協定の3つの特徴
1. 「情報併送型ロジスティクス」による心のライフライン構築
食料、衛生用品などの緊急物資とともに、新聞や号外等の情報をセットで被災地へ配送できます。これにより、被災者の物資不足による「物理的不安」やデマや不正確な情報による「心理的不安」の軽減に貢献してまいります。
2. 全県を網羅する民間インフラによる「ラストワンマイル」を活用
新聞休刊日を除き毎日稼働し、岩手県内19コースを運行する新聞輸送トラック19台と、全県を網羅する93の販売店、約2,000人の従業員という機動力を活用します。地域の道路事情を熟知した販売店スタッフが、避難所や孤立集落へのきめ細かな配送を行うことができます。
3. 固定費ゼロ・持続可能モデル
既存の定期便の空きスペースや、新聞を各販売店に輸送した後の「帰り便」を活用する余力活用型モデルのため、新たな物流インフラや拠点を構築・維持するための整備費は不要です。
■ 協定における各者の役割
1、岩手県(行政)
・岩手県内において災害の発生、又は発生のおそれがある場合に、物資輸送力の提供のほか、物資の調達や供給、さらに必要に応じて物資輸送等に関する専門家の派遣等を要請する。
2、株式会社岩手日報社(輸送・情報網)
・岩手県内19コースを新聞休刊日を除き毎日運行する新聞輸送トラック(19台)の空きスペースを活用した、各地域拠点への支援物資、新聞や号外等の混載輸送。
・メディア企業の強みを活かした、取材に基づく「正確な情報」の発信力と号外や新聞等を避難所等に提供。
・岩手日報制作センター(矢巾町)を起点とする往路、および復路(帰り便)を活用した柔軟な輸送ルート網の提供。
3、岩手日報会(拠点・ラストワンマイル配送)
・全県をカバーする93カ所の販売店を、支援物資の一時的な待機・中継場所(ハブ)として提供。
・地域の道路状況や裏道を熟知した約2,000人の販売店スタッフによる、避難所や孤立集落等へのラストワンマイル配送。
・支援物資と同時に新聞、号外等を届ける「情報の併送」の実行。
・自ら被災するリスクがある中、安全確認と本業(新聞配達等)を最優先とした「ベストエフォート(最善努力)」の範囲内での活動実施。
■ 今後の展望
本年は岩手県政150年および岩手日報創刊150年の節目でもあります。東日本大震災の痛ましい経験から得た教訓を胸に、平時のリソース(経営資源)を有事の強靭な防災力へと転換する本協定を通じ、岩手独自の防災レジリエンス(回復力)強化と持続可能な地域社会の実現を目指してまいります。
■協定締結式の出席者挨拶要旨
◎阿部博(あべ ひろし)岩手県商工労働観光部部長
東日本大震災津波の発生から15年が経過する中、本県の防災力向上につながる新たな連携体制を構築できることは大変心強く感じております。また、本日は津波防災の日ならびに世界津波の日でもあり、防災意識の向上と災害への備えの重要性を改めて認識する日に、このような協定を締結できますことは大変意義深いものと感じております。近年、激甚化する風水害や、将来発生が想定される大規模地震などへの備えが、一層重要となる中、今回の協定締結は、本県の災害対応力の強化に大きく寄与するものと考えております。株式会社岩手日報社様は、岩手県地域防災計画におきましても、災害に関する報道等を通じて、防災活動にご協力いただく、重要な機関として位置づけられています。また、岩手日報会様におかれましては、県内各地に広がる販売店ネットワークと配送体制を有していらっしゃいます。本協定により、地域に根ざした新聞配達網を活用した物資輸送が可能となり、大規模災害に加え同時多発的な事案にも柔軟かつ機動的に対応できる輸送体制の一層の強化が図られると期待しております。万が一、災害が発生した場合はもとより、平時からもご助言をいただきながら、本協定に基づく取り組みが円滑に行われるよう今後とも連携を図っていきたいと考えておりますので、引き続きお力添えを賜りますようよろしくお願い申し上げます。
◎藤原哲(ふじわら さとし)岩手日報社専務取締役
岩手県は2011年の東日本大震災において、未曾有の被害を経験しました。15年という節目を迎え今年、その経験と教訓を踏まえ、弊社の経営資源を災害発生時に生かすことは、地域に根ざす新聞社として大きな使命であると考えております。近年、全国で相次ぐ災害において、被災地での「支援物資の目詰まり」が課題となっております。広大な面積を有する本県は被災地への支援ネットワークを確立し、維持する仕組みづくりは急務であると考えております。本協定の特徴は新聞輸送トラックに支援物資を混載し、物資と情報を届ける「併走型」という点でございます。新聞輸送トラックは、休刊日を除く毎日、岩手県内を網羅するコースで運行し、販売センターは地域の隅々まで新聞を配達しております。トラック荷台の空きスペースで支援物資を運ぶことで、輸送コースと販売センター網が災害時の物流インフラとなります。支援物資輸送のコストを節減できるというメリットもございます。物資と、新聞や号外等の正確な情報をセットでお届けすることは、物資不足による不便の解消のみならず、デマや不正確な情報による被災者の不安を和らげることにもつながります。本年は岩手県政150年、弊紙創刊150周年という節目でもあります。この3者の強固な連携の下、本県の防災力の向上と県民の皆様の安全、安心な暮らしのために尽力してまいる所存です。
◎河口仁朗(かわぐち きみお)岩手日報会会長
岩手日報会は岩手県内に93の販売店、そして2,000人を超える配達員のネットワークを持っております。昨年9月には岩手県警様と地域の見守り活動に関する協定を締結いたしました。早朝の業務から日中の業務に至るまで、日々の活動の中で、ちょっとした地域の異変を察知した際には警察と連携、協力するなど微力ではありますが、地域の安心安全のために日々取り組んでいるところでございます。そして、本日は「世界津波の日」ということで、新たに岩手県様と災害時の支援に関する協定を結ぶことになりました。あってはならないことではございますが、大規模災害時には県や各市町村、行政だけでは、到底支援が行き届かない部分もあると想定しております。そんな中、私どものネットワークを生かし、地域事情に合わせて県と連携、協力し、支援の一翼を担いたいと考えております。平時には警察と連携した「地域の見守り活動」、そして有事の際は県と連携した「物資と情報の配送」と、平時と有事の両面において地域社会に貢献できる枠組みが整いましたことは岩手日報会にとりましても大きな誇りでございます。東日本大震災から15年、そして岩手県政150年、岩手日報創刊150周年という節目の年に、私ども岩手日報会が「地域になくてはならない存在」であるということを県民の皆様にお示しできるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。
(補足メモ)
①岩手日報会
岩手日報を戸別配達、営業販売している岩手県内の新聞販売店の所長らで構成する組織。1953年発足。 販売店は全県をカバーし、2026年11月1日現在93店。販売店で働く従業員数は全県で約2,000人。 事務局は岩手日報社読者局内(岩手県盛岡市内丸3-7)。
②稼働日
新聞輸送トラック、新聞販売店は新聞休刊日を除き毎日稼働。 月1回の休刊日などを除く、年間稼働は353日。
新聞輸送トラックは、岩手日報社が業務委託する複数の輸送業者が運行。新聞印刷発送拠点の岩手県矢巾町の岩手日報制作センターを出発し、各販売店に新聞を輸送している。 復路は一般貨物の輸送にも取り組む計画。 大規模災害時には往路で支援物資等を混載し、避難所等に輸送する。 2026年11月1日現在、19台で19コース運行。
新聞販売店は早朝に戸別配達を行い、日中は購読料の集集金や営業活動を実施しています。 大規模災害時は自らも避難したり、被災する可能性も高いため、できる範囲内で販売店に届いた支援物資等を避難所等に届ける計画です。 2026年11月1日現在、岩手日報の販売店は93店。
③岩手県
1872(明治5)年1月8日に「盛岡県」から「岩手県」に改称されてから2022(令和4)年1月をもって 150周年を迎え、また、1876(明治9)年5月25日の県域確定から2026(令和8)年5月で150周年を迎えることから、2022(令和4)年度から2026(令和8)年度までを「県政150周年記念期間」と位置付け、様々な記念事業に取り組んでいます。
岩手県の面積は15,275.04平方キロメートル。 東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の4都県合計:13,570.72平方キロメートルよりも広い面積を有します。 岩手県毎月人口推計速報によると、2026年10月1日現在の推計人口は1,107,310人、世帯数は535,868。
【本件に関するお問い合わせ先】
株式会社岩手日報社 読者局 販売管理部(輸送担当)
岩手県盛岡市内丸3-7 TEL:019-653-4117(平日午前9時~午後5時)
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