ispaceと中央大学、将来の月面溶岩チューブ探査ミッションで用いる小型AIロボット群の月面への輸送実現のための協力に合意
株式会社ispace(東京都中央区、代表取締役:袴田武史、以下ispace)(証券コード9348)と学校法人中央大学(東京都八王子市、理事長:大村雅彦、以下中央大学)は、中央大学理工学部 國井康晴教授がプロジェクトマネージャーを務める内閣府ムーンショット型研究開発制度プロジェクト「未知未踏領域における拠点建築のための集団共有知能をもつ進化型ロボット群」(以下中央大学國井ムーンショット)の実施において、小型AIロボット群を月へ輸送するための技術検討に関する覚書を締結したことを本日、共同で発表いたしましたのでお知らせいたします。

本覚書により、ispaceと中央大学は2028年以降の複数回のミッションにおいて、中央大学國井ムーンショットが開発した小型AIロボットを月面に輸送し、月溶岩チューブ探査ミッションを実現するための協力体制に合意しました。
内閣府ムーンショット型研究開発制度とは、内閣府の政策である日本発の破壊的イノベーションの創出を目指して、従来技術の延長にない大胆な発想に基づく研究開発を推進するプロジェクトです。中央大学國井ムーンショットでは、この制度の目標3「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」において、単純機能の小型ロボットが群を形成して集団生成型のネットワーク知能を発揮し、群全体で共通した機能の更新・拡張、機体の新規追加が群を進化させる仕組みの研究開発を行っています。
月溶岩チューブとは、日本の月周回衛星「かぐや」によって発見された、月の地下にある溶岩流により形成されたとみられる洞窟(溶岩洞)です。溶岩チューブ内は温度変化が少なく、放射線や隕石のリスクも低減できることから、将来の有人探査基地建設候補地としての期待が寄せられています。
中央大学國井ムーンショットの研究開発により、低機能な小型ロボットの群が、各ロボットに分散搭載される高度な戦略知能(ネットワーク知能)によって自動的に組織化され制御されることで、月面溶岩チューブ内部の探査、居住適地の調査、球形ロボットコンテナの搬送等を行えるようになります。また月面溶岩チューブ横穴内部のミッションを実施し、以降の研究開発に必要となる情報を得ることができます。その結果、本格的な月面都市開拓フェーズが始まります。
ispaceは、日・米・欧の3法人でそれぞれの地域の文化や多様性を活かしながら、1つの統合的なグローバル企業として宇宙開発を進めてまいりました。2025 年 1 月15日に日本法人が主導するミッション2の打ち上げを完了し、今後、最速2025年6月6日に月面着陸に再挑戦の予定。続いて2026年には米国法人が主導するミッション3を順次実行していく計画です。また、2027年には、現在日本で開発中のシリーズ3ランダー(仮称)を用いたミッション4(旧ミッション6)を予定しています。世界中の政府、企業、教育機関からの高まる需要に応えるため、ispaceはミッション3およびそれ以降のミッションのペイロードサービス契約とデータサービスを提供してまいります。
■ 株式会社ispace 代表取締役CEO & Founder 袴田武史のコメント
「本覚書の締結は、ispaceが内閣府ムーンショット型研究開発制度のプロジェクトに月面での技術実証の機会を提供していることを示す新たな事例です。当社のビジネスモデルの一環として、ispaceは顧客のニーズに合った着陸地点への輸送サービスを提供することで、先駆的なプロジェクトを支援してまいります。」
■ 中央大学 学長 河合久のコメント
「月溶岩チューブ探査を目指す中央大学の研究プロジェクトにおいて、本学とispace社が覚書を締結し協働をスタートすることで、宇宙時代が近づいてきたのを実感します。中央大学の研究開発が宇宙時代をリードし、未来を拓いていく原動力となるのを嬉しく思います。
私たちは、本プロジェクトが所属する中央大学研究開発機構を軸として、産学官連携による挑戦的な研究をさらに進めてまいります。」
■ 中央大学理工学部 教授 國井康晴のコメント
「我々、中央大学國井ムーンショットPJのチームのAI・ロボットによる探査ミッション技術とispace社の輸送技術の相乗効果により、わが国の宇宙探査技術から次の日本・世界初が生まれ、さらに月面の地下空間をはじめ難環境領域の将来的な利用可能性を明らかにできる事で、人類の未来を掴み、知識と生存圏の拡大に寄与できるものと確信しています。」
■ 内閣府ムーンショット型研究開発制度および中央大学國井ムーンショット( https://moonshot.r.chuo-u.ac.jp/kunii/ )について
大胆な発想に基づく挑戦的な研究開発(ムーンショット)を推進する国の大型研究プログラムである内閣府ムーンショット型研究開発制度は10の研究開発目標で構成されており、そのうち目標3では、AIとロボット、その融合領域を課題とし、現在8名のプロジェクトマネージャー(PM)が各プロジェクト(PJ)を遂行しています。そのうち、中央大学國井ムーンショット(本PJ)を含む2つが、“人間が活動できない難環境”として、宇宙、特に月面で暮らす未来都市構想実現に必要となる探査についての研究開発を進めています。
本PJの前身PJでは、2024年1月に月に着陸した日本の着陸実証機SLIMに搭載されたローバー「LEV-1」を研究開発し、月面での自律的な探査活動および地上との直接通信に成功しました。この成果を引き継ぐ本PJでは、現在、人間の居住可能性が指摘されている月面の洞窟(溶岩チューブ)の探査実現に向けて、多数の小型ロボットを群で稼働させて機体損失等のリスクを分散し、集団生成型AIで自律的に活動するシステムを研究開発しています。現在はプロトタイプ機でミッション検証実験を地上で実施するとともに、宇宙機型ロボットの設計・試作を進めています。
■ 中央大学( https://www.chuo-u.ac.jp/ )について
中央大学は、1885年の創立から「實地應用ノ素ヲ養フ(じっちおうようのそをやしなう)」という建学の精神のもと、いつの時代にも社会を支え、未来を拓くことを使命とし、実社会の課題に対応する教育・研究に取り組んでいます。「Chuo Vision 2025」に基づき、中央大学は持続可能な社会を築き、国際的に貢献できる実践力を持つ次世代の人材育成を目指して、2026年から2027年にかけて新しい5つの学部を設置する計画を進めています。
■ 株式会社ispace ( https://ispace-inc.com/jpn/ )について
「Expand our planet. Expand our future. ~人類の生活圏を宇宙に広げ、持続性のある世界へ~」をビジョンに掲げ、月面資源開発に取り組んでいる宇宙スタートアップ企業。日本、ルクセンブルク、アメリカの3拠点で活動し、現在約300名のスタッフが在籍。2010年に設立し、Google Lunar XPRIZEレースの最終選考に残った5チームのうちの1チームである「HAKUTO」を運営した。月への高頻度かつ低コストの輸送サービスを提供することを目的とした小型のランダー(月着陸船)と、月探査用のローバー(月面探査車)を開発。民間企業が月でビジネスを行うためのゲートウェイとなることを目指し、月市場への参入をサポートするための月データビジネスコンセプトの立ち上げも行う。2022年12月11日には SpaceXのFalcon 9を使用し、同社初となるミッション1のランダーの打ち上げを完了。続くミッション2は2025年1月15日に打上げを完了し、今後、最速2025年6月6日に月面着陸に再挑戦の予定。ミッション3は2026年[i]、ミッション4(旧ミッション6)は2027年に[ii]打ち上げを行う予定。
ミッション1の目的は、ランダーの設計および技術の検証と、月面輸送サービスと月面データサービスの提供という事業モデルの検証および強化であり、ミッション1マイルストーンの10段階の内Success8まで成功を収めることができ、Success9中においても、着陸シーケンス中のデータも含め月面着陸ミッションを実現する上での貴重なデータやノウハウなどを獲得することに成功。ミッション1で得られたデータやノウハウは、後続するミッション2へフィードバックされる予定。更にミッション3では、より精度を高めた月面輸送サービスの提供によってNASAが行う「アルテミス計画」にも貢献する計画。
[i] 2025年3月時点の想定
[ii] 2025年3月時点の想定
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