台湾無停電電源装置製造業の振り返りと2021年の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2021年5月第4週号発行>
〜台湾機械業界の動向が分かる〜
<210527号内容>
1 | 台湾無停電電源装置製造業の振り返りと2021年の展望 |
2 | 日系企業の高雄市における投資状況 |
3 | 電子装置メーカー、艾姆勒車電(Amulaire Thermal Technology) |
4 | 台湾動力手工具製造業の概況と今後の展望−2021年第1四半期 |
●今週号の記事を一部紹介します。
<台湾無停電電源装置製造業の振り返りと2021年の展望>(本文から一部抜粋)
- 産業概況
新型コロナウイルス感染症の流行が世界的に拡大した影響で、各国で在宅隔離、オンライン教育、テレワークの需要 が急増し、パソコンとサーバーの販売量が大幅成長したことから、無停電電源装 置(UPS)の関連需要は徐々に回復した。これに加えて、2020年9~11月に川 下メーカーが在庫補充のために調達規模を拡大したことが、台湾当産業メーカーの出荷成長に追い風となった。20年通年の台湾当産業主要メーカーの連結売上高合計額は前年比1.91%増の小幅成長となった。
2021年第1四半期は川下メーカーからの需要が高い水準を維持したことに加えて、比較水準の昨年数値が低かったことから、台湾当産業主要メーカーの連結売上高合計額は前年同期比29.31%増と大きく伸びた。第2四半期も一部電子部品の供給不足という悪条件があるものの、パソコンとサーバーの販売好調が続いているため、UPSの出荷量はさらに成長し、主要メーカーの連結売上高合計額は前年同期比10%以上の成長幅を維持できる予測だ。
- 輸出入概況
<輸出>
台湾当産業はサーバーとハイエンドパソコン向けUPSを米国市場に輸出している。2018年9月24日以降、米国が中国製UPSの関税率を25%に引き上げたため、一部の台湾当産業メーカーは台湾工場の生産能力を強化して米国市場に供給するようになった。対米国輸出額が成長を続けていることから、20年の台湾当産業の輸出額は前年比13.98%増となった。
米国市場は安定して回復しており、台湾当産業からの調達需要が順調に増加している。このため、2021年上半期の台湾当産業の輸出額は前年同期比10%以上の成長幅を維持できる見通しだ。
<輸入>
2020年は台湾でインフラ整備と工場・オフィス工事が増加したことから、欧州からの大型UPSの輸入額が伸びたが、上半期は中国における新型コロナウイルス感染症の流行が深刻だったため、中国からの輸入額は減少した。さらに、20年下半期から一部メーカーが台湾や中国以外の工場で生産を開始したことから、台湾当産業の中国からの輸入額は減少傾向が続き、20年通年の台湾当産業の輸入額は前年比5.12%減の7億2,500万台湾元となった。
2021年1〜2月の輸入額は比較水準の昨年数値が低かったことから、前年同期比48.53%増と大きく伸びた。また、台湾の民間投資が好調であるため、21年上半期の台湾当産業の輸入額は前年同期比10%以上の成長幅を維持できる見込みだ。
- 今後の展望
新型コロナウイルス感染症の流行拡大は収束のめどが立たず、オンライン教育やテレワ ークの関連需要は強いままだ。市場調査会社 IDCは、2021年の世界市場におけるパソ コン出荷台数は前年比18.2%増で大幅成長を維持すると予測した。また、サーバーの在庫消化が進む中、CPU(中央処理装置)大手のAMDとインテルが新たなサーバー用CPUをリリースしたことから、クラウドコン ピューティングサービス業者が再び在庫確保に動くとみられる。このため、21年のサーバー設備の調達需要は20年を上回り、これに伴ってUPSの需要も増加する見込み だ。
このほか、台湾政府が沿岸部における太陽光発電装置設置工事の審査手続きを簡略 化したため、水上用太陽光発電モジュールの需要が拡大し、台湾当産業のPVインバーター製品の販売量も増加するだろう。
総合すると、川下産業からの需要が好調を維持していることから、一部の台湾当産業メーカーは生産能力の拡大を検討している。加えて、メーカーは原材料価格の上昇を受けて、製品価格を引き上げたため、 2021年の台湾当産業の生産額と販売額は大幅成長となる見通しだ。
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