2026年度(令和8年)デミング賞各賞の受賞者について

デミング賞委員会(委員長 筒井 義信)は,10月6日(火)14時から経団連会館(東京・大手町)において委員会を開催し,2026年度デミング賞各賞の受賞者を決定しました.
2026年度のデミング賞各賞の審査は,デミング賞委員会の各委員会において本年3月から9月にかけて行われてまいりましたが,本年10月6日開催のデミング賞委員会において以下のとおり受賞組織ならびに受賞者が決定いたしました.
本年度授賞式は,11月11日(水)17時15分から東京・大手町の経団連会館において行われ,授賞式の様子をライブ配信することで広くご視聴いただく形式とします.
授賞式に引き続き,18時20分から同会館にて受賞記念祝賀会が行われます.
また,授賞式に先立って,11月11日(水)13時00分から,受賞者による受賞報告講演会が同会場で行われます.
▋受賞者
1.2026年度デミング賞本賞
山田 秀 氏
慶応義塾大学 理工学部 管理工学科 教授
[受賞理由]
山田 秀氏は,1993年東京理科大学大学院工学研究科博士課程修了(博士(工学))後,東京理科大学工学部助教授,筑波大学大学院ビジネス科学研究科教授を経て,2016年慶應義塾大学理工学部教授となり現在に至っている.研究・教育に従事するとともに,日本品質管理学会会長,Asian Network for Quality議長,ISO/TC 176国内委員会委員長,デミング賞審査委員会副委員長等の要職を通じて,国内外におけるTQMの発展・普及に貢献した.
山田氏は,TQMの理論と実践,データ解析とその応用,実験計画法を中心に幅広い研究を行い,著書25冊,査読付き論文55編を公表している.特に,過飽和実験計画に関する研究を進め,この分野の発展に貢献してきた.これらの成果により日経品質管理文献賞を6回受賞している.国際標準化活動にも尽力し,TQMおよび統計的品質管理の発展と普及に大きく貢献してきた.

2.2026年度デミング賞特別功労・実践賞
宮本 眞志 氏
トヨタ自動車株式会社
カスタマーファースト推進本部 本部長,
Chief Quality Officer
[受賞理由]
宮本 眞志氏は,現在,トヨタ自動車株式会社カスタマーファースト推進本部 本部長,Chief Quality Officerとして,グローバル品質経営の推進を担っている.1983年の入社以来,一貫して品質保証分野の第一線で活躍し,品質保証部長,お客様品質部長,パワートレーンカンパニーExecutive Vice President,常務役員等を歴任した.Chief Quality Officerとして全世界の品質活動を統括し,グローバル品質ガバナンスの強化,お客様第一を軸とした品質マネジメントシステム改革,品質最優先の企業風土醸成を推進してきた.
また,トヨタグループTQM連絡会委員長としてグループ全体のTQM活動を牽引する一方で,日本科学技術連盟 品質管理シンポジウム(QCS),企業価値向上経営懇話会,デミング賞委員会委員,QCサークル東海支部・愛知地区の活動などを通じて,日本の品質経営およびTQMの発展に顕著な貢献を果たしている.その功績はデミング賞特別功労・実践賞の理念に合致するものである.

3.2026年度デミング賞
PT. Cataler Indonesia(インドネシア)
ピーティー・キャタラー・インドネシア
代表者名:取締役社長 村林 克則 氏
Mr. Katsunori MURABAYASHI, President Director
所在地:Greenland International Industrial Center (GIIC), Kota Deltamas, Jl. Tol
Jakarta –Cikampek Km. 37, Cikarang Pusat, Bekasi –Jawa Barat 17530,
Indonesia(インドネシア)
TEL:+62-21-5055-5601
事業内容:自動車・二輪車用触媒の製造
売上高:7,800万USドル(約122億円/2024年4月 - 2025年3月)
従業員数:121名
[受賞理由]
同組織は,インドネシアにおいて自動車・二輪車用触媒の製造・販売を行うCataler Groupの海外拠点であり,従業員約120名の小規模な組織である.同組織は,CIC VISION 2045を策定し,日本の「Sanpo Yoshi」とインドネシアの相互扶助の精神である「Gotong Royong」を結び付け,自社の文化・組織特性に適したTQMを推進している.その間,全社的な多能工化と相互補完型人材育成,QCサークルFrameworkを活用した問題解決人材の計画的育成,部門横断的な知識・経験の活用など,特徴ある活動を展開している.これらの活動により,顧客クレームや大型スクラップの抑制,設備故障率・MTTRの改善,業務効率化,低い離職率の維持,顧客満足度の回復などの成果を上げている.また,従業員が自ら問題を発見・解決し,部門を越えて改善する力も向上するなど,人・組織能力の面でも成果が現れている.
独立行政法人国立病院機構 仙台医療センター
代表者名:院長 江面 正幸 氏
所在地:宮城県仙台市宮城野区宮城野二丁目11番12号
TEL:022-293-1111
事業内容:医業
売上高:約269億7000万円(2025年3月期)
従業員数:公開不可
[受賞理由]
同組織は,宮城県仙台市に位置し,656床,34診療科を備え,地域住民に主として急性期医療を提供する高度急性期病院であり,売上高は269億7000万円(2025年3月期)である.1937年に創設され,2004年より独立行政法人国立病院機構の一員として,北海道東北グループに属している.
独立行政法人化以降,職員の異動が多い組織環境の中でも,ISO 9001を基盤とした日常管理を中心にTQMを推進してきた.さらに,医療の高度化・複雑化などの環境変化に対応するため,2023年に「ビジョン2028」を策定し,地域に選ばれる高度急性期病院,かつ職員が誇りを持って働ける組織の実現に向け,TQMを経営の中核に据えた取り組みを展開している.
その特徴は,地域連携体制の構築,内部監査を活用した継続的改善,それらを支える強固なTQM推進体制にある.これらにより,紹介患者数の増加,経営状況の改善,高度専門医療の質保証などの成果を上げ,経営の安定化と医療の質向上を両立させている.
SONA BLW Precision Forgings Limited, Driveline Division(インド)
ソナ・ビーエルダブリュー・プレシジョン・フォージングス株式会社
ドライブライン・ディビジョン
代表者名:取締役 最高経営責任者 ヴィクラム ヴェルマ ヴァダパッリー 氏
Mr. Vikram Verma Vadapalli, Director and Chief Executive Officer
所在地:Sona Enclave, Village Begumpur Khatola, Sector 35, Post Box
No.90, Gurugram –122004, Haryana, India(インド)
TEL:+91-98-1889-8350
事業内容:自動車部品製造,販売
売上高:211億1,800万ルピー(約380億円/2024年4月 - 2025年3月)
従業員数:3,288名
[受賞理由]
同組織は,インドに拠点を置く自動車部品メーカーで,FY2025の事業売上高は,INR 21,118 million (USD 232 million)である.Driveline Divisionは,国内外の車両メーカーおよびTier1に対し,デフAssyおよびデフ用精密鍛造ギヤなどを開発・製造・販売しており,インド国内に6工場,メキシコに1工場の生産拠点がある.従業員数は3,288名である.同組織は,急速な事業拡大,事業の複雑化,顧客要求の厳格化に対応するため,2017年にTQMを導入した.
同組織は,年次会議Udayを通じて将来の市場や製品について継続的に検討し,市場・顧客の変化を踏まえながら,毎年開発する製品を選定・投入している.また, 製品ロードマップを基に,必要となるBusiness Core CompetenciesとSkill Setsを明確にし,製品・技術ごとに求められるスキルに対して育成計画を策定することで,新製品・新技術の開発に必要となる人材を事前に育成する仕組みを構築している.
その結果,事業売上,顧客数,納入拠点数など,中長期経営目標で設定した各指標は着実に向上しており,TQMを活用した効果が現れている.
Tata Toyo Radiator Limited(インド)
タタ・トーヨー・ラジエーター株式会社
代表者名:Mr. Narendra Chavan, Chief Executive Officer
最高経営責任者 ナレンドラ チャヴァン 氏
所在地:Plot No. D 236/7, MIDC Chakan Industrial, Area Phase II,
Village Varale, Taluka - Khed, Pune - 410501, Maharashtra,
India(インド)
TEL:+91-91-4500-3814
事業内容:自動車用熱交換システムの製造
売上高:公開不可
従業員数:2,727名
[受賞理由]
同組織はインドのタタオートコンプシステム社と東洋ラジエター社(現ティラド社)により1997年に設立され,自動車用熱交換システムおよび付属品の設計,開発,製造を行っている.従業員数は2,727名である.
同組織は成⻑著しくかつ競争の激しいインド国内⾃動⾞市場において,2019年から全社をあげてTQM活動を推進し,顧客指向に基づく挑戦的な経営⽬標と戦略を策定し,生産性向上や新製品開発などの活動を展開し,経営戦略の実現につなげている.契約社員を含む全員参加の体制を構築し,顧客指向に基づく積極的な新製品開発・新事業開発を行っている.市場要求の探索から技術開発,量産化までを一貫して実行する組織能力が形成され,保証期間の延長やEVなどの新分野へ積極的に進出している.
その結果,新規顧客の獲得や競争力の強化が進み,特に売上高,商用車部門の市場占有率は大きく向上し,顧客クレームも大幅に低減している.
▋日経品質管理文献賞 受賞者
デミング賞委員会は,本年10月6日開催のデミング賞委員会において,2026年度日経品質管理文献賞の受賞者を下記のとおり決定いたしました.
授賞式は,11月11日(水)17時15分から東京・大手町の経団連会館においてデミング賞授賞式とあわせて行われます.
受賞文献 3件(書籍名五十音順)
「測定の不確かさとその周辺 不確かさの表現のガイド(GUM)をめぐる16のおはなし」
榎原 研正 著
発行所:一般財団法人日本規格協会
出版:2025年8月

「JSQC選書40 病院だからTQM デミング賞を通して見えたもの」
福村 文雄・立石 奈々 著
発行所:一般財団法人日本規格協会
出版:2025年9月

「品質経営改革 自工程完結を良いモノ造りのプロセス整備から企業価値向上経営手法へ」
佐々木 眞一 著
発行所:株式会社日科技連出版社
出版:2026年5月

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