地域みらい留学、導入校に地元から進学した生徒の非認知能力や自己肯定感にも伸び
〜延べ約34万人の高校生への大規模調査データに基づき「地域×学び」の教育的効果を分析〜
一般財団法人 地域・教育魅力化プラットフォーム(代表理事:岩本 悠、以下「当財団」)が実施した延べ約34万人の高校生を対象とした調査の分析の結果、地域みらい留学(中学生が地元を離れ、全国各地の公立高校に進学する国内留学プログラム)に参画する高校(以下、地域みらい留学校)に地元から進学した生徒は、全国平均と比べて、論理的思考力や多角的に考える力といったいわゆる非認知能力や自己肯定感に係る成長の幅が大きい傾向にあることが明らかになりました※。
このことは、地域みらい留学の導入が、地域みらい留学で越境した生徒(留学生)だけでなく、地元から進学した生徒の高校3年間の成長にもポジティブな変化をもたらしている可能性があるのではないかと、当財団として分析しています。
※伸び幅の変化に関する分析は、同一母集団の比較が可能なデータを対象に実施

■地域みらい留学校に地元から進学した生徒に見られた変化とは?
地域みらい留学は、中学生が住んでいる都道府県の枠を超えて、離島や中山間地域といった地方の公立高校に3年間進学する「国内留学プログラム」で、地域みらい留学を導入している高校では、県外から留学した生徒(以下、地域みらい留学生)と地元から進学した生徒(以下、地元進学生)が一緒に学んでいます。
この地域みらい留学校で学んでいる高校生に、3年間でどのような成長や変化がみられるのか——。
本調査は、公立・私立あわせて45都道府県367校、延べ約34万人の高校生を対象に行い、このうち高校3年間の成長の変化については、同一母集団の比較が可能な約7万人のデータを用いて分析しています。
その結果、地域みらい留学校の地元進学生には、論理的思考力や多面的・多角的に考える力などの非認知能力、および自己肯定感に関する項目で、全国平均を上回る伸びが確認されました。
たとえば、「複雑な問題を順序立てて考えるのが得意だ」と回答した割合は、全国平均で6.1ポイントの上昇に対し、地域みらい留学校の地元進学生では11.4ポイント上昇と、最も大きな伸びが見られました。
また、「自分には良いところがある(+10.9ポイント)」「多くの立場から考えようとする(+10.3ポイント)」といった項目においても、同様に全国平均を上回る大きな伸びが確認されています。
さらに、「勉強した内容を実際に応用する」「自分の意見を発表するのが得意」といった応用力や発信力に関する項目でも、地域みらい留学校に通う地元進学生の3年間での伸びが全国平均より大きい傾向が見られました。
こうした分析結果から、当財団では、地域をフィールドとした学びや多様な人との関わりを通じた経験が、生徒の非認知能力の成長と関連している可能性を示唆するものと考えています。

■ 本調査の背景と概要
高校をはじめとする近年の学校教育においては、学力だけではなく、思考力や主体性といった「自ら考えて行動する」資質や能力の育成、成長も重視されています。
しかし、これらの力は定量的な把握が難しく、「地域みらい留学」においても教育的効果の可視化は十分とは言えませんでした。2022年3月には三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社と共同で分析結果を公表し、その中で、地域での学びの環境が生徒の成長と関連している可能性が示唆されましたが、その後は個別の事例や経験談を中心とした紹介が主となっていました。
こうした背景を踏まえ、本調査では、当財団が同社と共同開発した「高校魅力化評価システム」※のデータを改めて用い、特に、地域みらい留学校に通う地元生徒に着目しました。
具体的には、2022年度から2024年度までの3年間にわたる定量的なデータをもとに、学習環境や学習活動、生徒の資質・能力に関する全国の生徒と地域みらい留学校に通う生徒(地域みらい留学生および地元進学生)間の比較や高校3年間での変化を分析したものとなっています。
※高校魅力化評価システムとは…地域社会と一丸となって魅力ある学校づくりを進め、地域の将来的な担い手を育成することを目的とした取り組みである「高校魅力化」が各校の学習環境や生徒の資質・能力にどのような影響をもたらしているかを、定量的に可視化するための診断ツールです。2025年度は全国346校(2月24日時点)が活用しています。
■ 調査概要
対象期間: 2022年度〜2024年度
対象者: 全国の高校生 延べ約34.6万人(2024年度は358校、約12万人)
手法: 高校魅力化評価システムによるアンケート調査
調査項目:全88問(「学習活動」「学習環境」「生徒の資質・能力」別に、「主体性」「協働性」「探究性」「社会性」にまつわる問を設定)
比較対象:地域みらい留学校とそれ以外を含む全国平均
※「地域みらい留学生」の定義 :出身中学校を「高校と異なる都道府県に所在する中学校」と回答した生徒。
■なぜこのような伸びが生まれるのか〜分析担当者よりコメント
地域みらい留学校に通う地元進学生の非認知能力や自己肯定感に伸びが見られる理由として、地域みらい留学校の特色である「探究学習」が挙げられると考えます。
地域みらい留学校では、地域資源を教材とした学習に力を入れており、地域に赴き自ら課題を発見し、地元住民や事業者との対話を通して情報を収集・分析のうえ、自分なりの考えにまとめて発表する「探究学習」を行っています。この一連の活動の中で、生徒は論理的思考力や多面的・多角的に考える力、自己肯定感を養っているのだと考えられます。
地元進学生のみならず、県外からの地域みらい留学生においても、これらの非認知能力は高校3年間を通じて全国平均を上回る高い数値を示しており、探究学習の効果が示唆されます。

また、この探究学習を支える存在として、学校と地域をつなぐ「コーディネーター」の役割が大きいと考えます。地域みらい留学校には、地域や学校と一体となってカリキュラムの運営、支援を行ったり、生徒と地域との橋渡し役を担うコーディネーターが配置されている高校があります。
こうしたコーディネーターを配置している高校では、学習環境や学習活動の充実度に関する生徒の認識が高く、とりわけ「探究性」にまつわる項目は全国的に伸び悩む傾向がある中、コーディネーターのいる地域みらい留学校では、着実な向上(+4.7ポイント)が見られています。
このことは、外部資源を学びに変換するコーディネータの役割の重要性を示唆していると考えます。

■ 今後について:地域と若者の長期的な「関係性」の構築へ
当財団では、こうした定量的なデータに加え、定性的なヒアリングなども実施しながら、地域みらい留学が単なる若年人口の流入という施策を超え、地元進学生への波及効果を含めた地域へもたらすインパクトについても検証を行い、地域みらい留学を導入している自治体や学校へ還元してまいりたいと考えています。
また今後は、さらなるデータの蓄積と分析を通じて教育的効果の検証を進めると同時に、高校生の卒業後の変化も追跡し、地域みらい留学における高校時代の越境体験が、その後の進路や成長に与える長期的な影響も明らかにしていく方針です。
■一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームについて
地域みらい留学を中心に、高校の教育魅力化をはじめ、教育×地域の各種事業を推進する一般財団法人。主に都市部の中学生が、地方の公立高校に3年間進学する「地域みらい留学」には、全国の公立高校173校(2025年10月現在)が参画。累計で4,000名以上の留学生を輩出し、多くが卒業後も地域との関わりを継続している。
所在地:島根県松江市東本町二丁目25-6みらいBASE2階
代表理事:岩本悠/共同代表:尾田洋平
URL:https://c-platform.or.jp
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