米子高専教員らの研究が二次電池特性向上に貢献!

―有機化合物をプラス極の材料とした高性能な二次電池の開発に期待―

独立行政法人国立高等専門学校機構 米子工業高等専門学校(鳥取県米子市 校長:寺西恒宣 以下「米子高専」)総合工学科化学・バイオ部門 清水 剛志GEAR5.0特命助教らの研究チームらの研究成果が、アメリカ化学会が刊行する材料化学専門誌ACS Applied Materials & Interfaces(電子版)に掲載されました。
発表概要
 米子工業高等専門学校(鳥取県米子市 校長:寺西 恒宣 以下「米子高専」)清水 剛志GEAR5.0特命助教らの研究チームが、金属フタロシアニン(注1)を炭素原子または窒素原子で架橋した化合物が二次電池のプラス極の材料として有効にはたらくことを発表しました。この成果は、アメリカ化学会が刊行する材料化学専門誌ACS Applied Materials & Interfacesのオンライン版に8月20日に掲載されました。
 二次電池とは、マイナス極のリチウムから放出された電子(注2)をプラス極で受け取る際に、接続した機器が電気エネルギーを使用できるデバイスです。二次電池は、充電することで繰り返し使えることから、スマートフォンや電気自動車などのエネルギー源として幅広く使われています。現在では、主にコバルトやニッケルなどのレアメタル(注3)からプラス極の材料がつくられていますが、近年、スマートフォンや電気自動車に搭載できる、軽くて安い材料が求められていることから、軽量で地球上に豊富に存在する有機化合物を使った二次電池の開発研究が有望であるとさており、その中でも、多くの電気を蓄えられる「金属フタロシアニン」とい化学物質がプラス極の材料に今回注目しました。
 本研究では、炭素原子または窒素原子1個で架橋した金属フタロシアニンをプラス極の材料、金属リチウムをマイナス極とした電池試作して性能評価を行ったところ、従来のリチウムイオン電池(注4)のと比べて,1.5倍長い時間使える性能を示すことが証明されました。この現象は、平面構造であるのフタロシアニン同士が重なるように並んだ構造に特有の現象と考えられており、今後の有機化合物を用いた二次電池の開発に貢献できる内容となっています。

発表内容
清水特命助教(米子高専)の貢献
 二次電池の開発において、長時間使用でき、大きなエネルギーを得られることの2点が重要となります。これらの性能を引き出すためには、高い電圧で多くの電子を蓄えられる電極材料を使用した二次電池の開発が重要です。
 清水特命助教は、今回のプラス極の材料の電池開発および電池測定を担当し、炭素原子または窒素原子で架橋した金属フタロシアニンをプラス極の材料とした、長時間使用でき、高電圧を示す二次電池の開発に貢献しました。
フタロシアニンは、これまでのリチウムイオン電池のプラス極の材料よりも多くの電子を蓄えることができる広い平面構造をもっており、それが重なるように並んだ構造をとることによって高い電圧を示したと考えられます。
 本研究で用いた金属フタロシアニンは、比較的安い原料から合成でき、マイナス極としてもはたらくことから、リチウム金属不使用の、安全で安い二次電池を開発できると期待しています。

図1. 今回開発した二次電池の概略図(論文本編グラフィカル・アブストラクトを改変 APS Publications許諾済み)図1. 今回開発した二次電池の概略図(論文本編グラフィカル・アブストラクトを改変 APS Publications許諾済み)


用語解説
(注1)フタロシアニン:4つのフタル酸イミドを窒素原子で架橋した構造をもつ環状有機化合物であり、その中心に金属イオンを取り込むことができる。金属の種類によって青、緑、黄色など様々な色を示し、道路標識や新幹線の車体の青色顔料として使われています。
(注2)電子:マイナスの電気を帯びた非常に小さな粒子。
(注3)レアメタル:地殻中の存在量が少ない、採掘と精錬のコストが高いなどの理由で流通・使用量が少ない金属。
(注4)リチウムイオン電池:プラス極の材料に金属酸化物LiCoO2、マイナス極の材料に炭素を使用した二次電池。充電することでプラス極からマイナス極に電子を蓄えてから放電する。

GEAR5.0プロジェクトについて
国立高専機構が立ち上げた、未来技術の社会実装教育を目的とした大型事業です。「防災・減災・防疫分野(エネルギー)」分野では、中核拠点校である奈良高専と、協力校4校(苫小牧高専、長岡高専、米子高専、都城高専)が活動しています。

高専機構GEAR5.0紹介ページ
https://www.kosen-k.go.jp/about/profile/gear5.0-compass5.0.html


論文情報
論文タイトル
Application of μ‑Nitrido- and μ‑Carbido-Bridged Iron Phthalocyanine Dimers as Cathode-Active Materials for Rechargeable Batteries
(μ-ニトリドとμ-カーバイドで架橋した鉄フタロシアニン二量体を二次電池のプラス極の材料としての応用)
著者
Takeshi Shimizu, Katsuhiro Wakamatsu, Yasuyuki Yamada, Yuka Toyoda, Shigehisa Akine, Kenji Yoza, and Hirofumi Yoshikawa*
論文リンク先
https://pubs.acs.org/doi/10.1021/acsami.1c10540


【学校概要】
学校名:米子工業高等専門学校
所在地:鳥取県米子市彦名町4448
代表者:校長 寺西 恒宣
設立:1964年4月
URL:https://www.yonago-k.ac.jp/
事業内容:高等専門学校・高等教育機関


【本リリースに関するお問い合わせ先】
独立行政法人高等専門学校機構
米子工業高等専門学校
総務課企画・社会連携係
TEL:0859-24-5007(平日8:30-17:00)
e-mail:kikaku@yonago-k.ac.jp

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会社概要

URL
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業種
教育・学習支援業
本社所在地
東京都八王子市東浅川町 701-2
電話番号
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代表者名
谷口 功
上場
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資本金
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設立
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