【WHI調査レポート】大手64法人調査 テレワークにより通勤2時間以上の遠隔地へ引っ越し「認める」が7割
~コロナ禍で61%の法人が通勤手当の実費支給を導入、3社に1社は金額上限なし~
株式会社Works Human Intelligence(本社:東京都港区、代表取締役最高経営責任者:安斎富太郎、以下 WHI)は、統合人事システム「COMPANY」のユーザーである大手法人を対象に「自己都合で遠隔地に居住する従業員の通勤や転勤の扱い」に関する調査を実施し、64法人から回答を得ました(調査期間:2021年8月25日~9月24日)。テレワークが普及する中、従業員の個人的な都合による遠隔地居住の扱いについて、調査結果をお知らせします。
- 調査の背景
調査結果概要
- 遠隔地居住を何らかの形で認めているのは約7割
- コロナ禍で61%が通勤手当の実費支給を導入、34%は従来の通勤手当を廃止
- 実費支給の上限は、従来規定の通勤手当と同額が43%、上限額なしは30%
- 自己都合で遠隔地居住の場合、出社時の通勤手当は「通勤の度に支給」が最多の35%、自己負担は0%
- 遠隔地居住を認めない理由は「各種制度が遠隔地の居住を想定していないから」が最多の76%
- 遠隔地居住後、人事異動により職場付近へ戻る場合、引越費用等の負担は「不可」が33%
調査結果
- 1. 遠隔地への居住を何らかの形で認めているのは約7割
通勤に数時間以上かかるような、日々の通勤が難しい遠隔地への居住を「無条件で認めている」法人は11.1%でした。57.4%は条件によって認めており、そのうち「理由によって認めている」のは64.5%、「所定の距離、通勤時間の範囲内で認めている」のは29.0%でした。条件あり・なし問わず、遠隔地への居住を何らかの形で認めているのは約7割という結果となりました。一方で、全体の31.5%は「認めていない」と回答しました。
- 2. コロナ禍で61%が通勤手当の実費支給を導入、34%は従来の通勤手当を廃止
テレワークの普及に伴い、通勤手当を定額ではなく実費支給としているか聞いたところ、34.4%が「従来の通勤手当を廃止して実費支給に変更した」と回答しました。また、従来の制度は廃止せずに、対象者へ実費支給を行う制度を追加したのは26.6%でした。
上記2つの回答を合計すると、何らかの形で通勤手当の実費支給を行っている法人は61.0%となりました。2020年10月~11月に弊社が実施した調査では、通勤手当の実費支給を「実施している」と回答した法人は26.4%となっており、この1年で倍増という結果になりました。
※昨年実施した調査についてはこちらをご覧ください。
通勤交通費の実費支給化に見る、企業の課題と実施すべき対策とは【対応状況アンケート公開】
https://www.works-hi.co.jp/businesscolumn/transportation-fee-3
- 3. 実費支給の上限は、従来規定の通勤手当と同額が43%、上限額なしは30%
通勤手当を実費支給している場合に、移動費の上限があるか聞いたところ、42.5%の法人が「従前規定上の通勤手当の上限額を共通で利用している」と回答しました。一方で「上限額はない」と回答した法人もあり、30.0%を占めました。
- 4. 自己都合で遠隔地居住の場合、出社時の通勤手当は「通勤の度に支給」が最多の35%、自己負担は0%
遠隔地への居住を認めている法人に対し、一時的に出社する時の移動費の扱いについて聞いたところ「通常の通勤手当等と同様に、通勤の度に1回分の往復金額を支払う」と回答した法人が最も多く、34.6%でした。「その他」には「所定の上限額を補助し、差額は自己負担」といった回答もありました。
- 5. 遠隔地居住を認めない理由は「各種制度が遠隔地の居住を想定していないから」が最多の76%
遠隔地への居住を認めていない法人に対して理由を聞いたところ、「各種制度が遠隔地の居住を想定していないから」が最も多く、76.2%でした。次いで「出勤できることに重きを置いているから」が61.9%でした。
- 6. 遠隔地居住後、人事異動により職場付近へ戻る場合、引越費用等の負担は「不可」が33%
自己都合で遠隔地へ転居をした後の対応についても伺いました。その後の人事異動で職場近隣に居住する必要ができた場合に、転居に関わる制度の利用は可能かどうかについて伺ったところ、「すべて利用不可」が33.3%、「引越費用や赴任旅費等を全額または一部負担」が42.9%という結果となりました。「その他」の回答には、「現状では実例がないが、異動内容を考慮して個別判断」といった声がありました。
- 総括(解説:WHI総研 井口 克己)
通勤可能な距離を超える遠隔地での居住を認める企業が増えてきました。これは、コロナ禍の対応のために、テレワーク主体の就業スタイルが定着し、通勤手当を定期代から実費支給に変更する等、環境が整ってきたからと考えられます。単身赴任の解消や、職場から遠距離に住む家族の介護のために近隣に転居することも可能で、従業員にとっても望ましいものとなります。多様な働き方の尊重は進み、居住場所の制限は少なくなっていくと考えられます。
しかし、自己都合で遠距離に居住する場合には、引越や新居にかかる費用は自己負担のようです。また転居時にはテレワーク主体の働き方であっても、その後出勤が主体となる部署に異動となった場合、会社の転勤者向け制度の利用に一部制限がある企業が多いことが判明しました。
従業員が1,000名を超える大手企業にはテレワーク中心の職場と出勤が中心の職場が混在し、定期的に人事異動が行われています。その際に、転居の費用が自己負担となっていると円滑な人事異動の妨げになる恐れがあり、また従業員も遠隔地居住を躊躇することも考えられます。今後、多様な働き方として居住地の自由化を進めるには、テレワーク中心の職場と出勤主体の職場間の人事異動を希望者のみとしたり、自己都合による転居に対しても住宅支援制度を充実させたりする等、対策が必要になると考えられます。
解説者プロフィール
井口 克己(いぐち かつみ)
株式会社Works Human Intelligence WHI総研 フェロー
神戸大学経営学部卒、(株)朝日新聞社に入社し5年間人事部門に従事。(株)Works Human Intelligence(当時ワークスアプリケーションズ)に転職しシステムコンサルタントとして従業員1万人以上、製造業、小売業、地方公共団体等、幅広い業種の人事給与システムの構築を支援した。現在は地方公共団体向けのクラウドサービス「COMPANY on LGWAN」の提案営業、導入支援活動に従事。その傍ら特定社会保険労務士の資格を生かし法改正の解説や労務相談Q&Aの執筆を行っている。
※WHI総研:当社製品「COMPANY」の約1,200法人グループの利用実績を通して、大手法人人事部の人事制度設計や業務改善ノウハウの集約・分析・提言を行う組織。
<調査概要>
調査名 :自己都合で遠隔地に居住する従業員の通勤や転勤の扱いに関するアンケート
期間 :2021年8月25日~9月24日
対象 :当社ユーザーである国内大手法人64法人
調査方法:インターネットを利用したアンケート調査
<引用・転載時のクレジット記載のお願い>
本リリース内容の転載にあたりましては、「Works Human Intelligence調べ」という表記をお使いいただきますようお願い申し上げます。
なお、本調査では他にも「遠隔地へ居住を認める理由、期間」等に対する回答も得ております。
詳細レポートをご要望の方は、当社ホームページのお問い合わせフォームよりご連絡ください。
https://www.works-hi.co.jp/contact
WHIは引き続き、大手法人の人事トレンドや業務実態について調査をしてまいります。
- WHI調査レポートとは~HR領域における大手法人の実態を調査~
(ユーザーコミッティについてはこちら https://www.works-hi.co.jp/service/user-committee?utm_source=pr220221&utm_medium=referral )
- WHIについて
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※2019年度 ERP市場 - 人事・給与業務分野:ベンダー別売上金額シェア 出典:ITR「ITR Market View:ERP市場2021」
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