アジアにおける最新の炎症性腸疾患の動向を示した国際共同研究の論文がLancet Gastroenterol Hepatolに掲載
杏林大学医学部久松教授研究グループを含む国際共同研究
杏林大学(東京三鷹市)医学部消化器内科学教室 久松理一教授の研究グループは、カナダやマレーシア、中国、香港、韓国の大学等との国際共同研究で、アジアにおける最新の炎症性腸疾患の動向を明らかにしました。
炎症性腸疾患患者はアジアで急増しており、本研究で、現在日本がどの段階にいるのかよく分かると共に、アジア各国の医療事情を知ることもできます。
本研究成果は2026年8月12日に「THE LANCET Gastroenterology &Hepatology」に掲載されました。
■研究成果の概要
炎症性腸疾患(IBD)の疫学は、出現期(第1段階)、発生率の加速期(第2段階)、有病率の複合的増加期(第3段階)、有病率の均衡期(第4段階)の4つの段階を経て進行すると考えられています。初期に工業化された地域(ヨーロッパ、北米、オセアニア)のほとんどは第3段階に達していますが、第二次世界大戦後に主に工業化が進んだ多くの新興工業地域は第2段階にあり、発生率の上昇は公衆衛生上の懸念事項となっています。新たに工業化が進んだ東アジアおよび東南アジア地域には、第1段階から第2段階への移行期にある国や地域と、初期工業化地域以外で初めて第3段階に突入する国や地域が含まれています。
本レビューでは、1920年代の日本で最初の症例が報告されてから現在に至るまで、東アジアおよび東南アジアの5つの地域(日本、韓国、中国、香港、マレーシア)におけるIBDの100年にわたる軌跡をたどり、各地域が現在第2段階の初期、中期、後期にあることを明らかにし、IBDの疫学的進化を浮き彫りにしています。
地域横断的な疫学的傾向を理解することは、世界的に増加するIBDの負担に対処するための介入策を開発する上で不可欠です。東アジアおよび東南アジアの経験は、今後数十年で同様の軌跡をたどると予想される他の新興工業化地域や新興地域にとってモデルとなり得ます。
■研究成果のポイント
・アジアの5つの地域(日本、韓国、中国、香港、マレーシア)での炎症性腸疾患の疫学は、現在発生率の加速期(第2段階)の初期、中期、後期にあることを明らかにした。
・世界的に増加するIBDに対処するための介入策を開発する上で不可欠となる、地域横断的な疫学的傾向を理解することができた。

■論文情報
掲載誌:THE LANCET Gastroenterology &Hepatology
著者:Shinji Okabayashi, Lindsay Hracs, Joseph W Windsor, Julia Gorospe, Stephanie Coward, Raja Affendi Raja Ali, Ida Hilmi, Tadakazu Hisamatsu,
Joyce W Y Mak, Ren Mao, Katsuyoshi Matsuoka, Yoshitaka Murakami, Siew C Ng, Sang Hyoung Park, Zhihua Ran, Jeongkuk Seo, Suk-Kyun Yang,Gilaad G Kaplan
出版日: August 12, 2026
DOI: 10.1016/S2468-1253(26)00162-7
■研究内容に関するお問い合わせ
杏林学園広報室
TEL:0422-44-0611
E-mail:koho@ks.kyorin-u.ac.jp
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