神戸学院大学 薬学部の稲垣研究室が効果検証したCO2固体化吸収液「MXDA」が田中石灰工業株式会社のCO2固定化実証に採用されました

~DAC技術の画期的な効率向上で脱炭素社会に貢献~

神戸学院大学

鉱山跡地に整備した実験プラント

神戸学院大学 薬学部の稲垣冬彦教授の研究室が独自にその効果を実証したCO₂固体化吸収液「MXDA(メタキシリレンジアミン)」が、田中石灰工業株式会社(本社:高知県南国市、田中 克也代表取締役)が開始した「岩石風化促進技術を用いたCO₂固定化実証」に採用されました。

本技術は、大気中のCO₂を直接回収するDirect Air Capture(DAC)技術において長年の課題であった「吸収剤の含水(水分による性能低下)」を根本的に解決するものであり、CO₂分離プロセスにおけるエネルギー消費を大幅に削減し、脱炭素社会の実現に向けたDAC技術の実用化に大きく貢献することが期待されます。


■CO₂固定化技術の重要性とDAC技術の課題

地球温暖化対策において、大気中からのCO₂除去(CDR: Carbon Dioxide Removal)技術、特にDirect Air Capture(DAC)は重要性を増しています。しかし、従来のDAC技術では、CO₂吸収時に吸収剤が水分を同時に取り込み、CO₂分離時の加熱エネルギー消費増大や効率低下が課題でした。


■稲垣研究室「MXDA」の画期的な技術


稲垣研究室は、このDAC技術における長年の課題に対し、革新的な固体化吸収液「MXDA(メタキシリレンジアミン)」の技術を導き出しました。本研究では、疎水性のフェニル基をアミン近傍に導入することで、CO₂を選択的に回収できることを見出しました。これは、該当アミンがCO₂と反応すると「逆親媒性」を発現し、水分の取り込みを防ぐためです。特にMXDAは、CO₂のみを吸収し、一切含水しないという極めて優れた特徴を有しています。

これにより、CO₂分離時に必要となる多大な加熱エネルギーを大幅に削減することが可能となり、DACプロセスの効率を飛躍的に向上させることができます。

また、この特徴に加え、CO₂を吸収し固体化したMXDAをスラリー(※注1)として取り扱えば、既存のアミンCO₂回収プロセスをそのまま適用できる利点を持ちます。これにより、吸収液再生にかけた熱を有効に再利用できるため、点源(※注2)CO₂回収並みの熱源単位を実現できる可能性があります。


  (※注1)液体の中に固体の微粒子が均一に分散している混合物
  (※注2)火力発電所など大量にCO₂を排出する施設


■田中石灰工業のCO₂固定化技術とMXDAの貢献


田中石灰工業が推進する「岩石風化促進技術を用いたCO₂固定化実証」は、蛇紋岩を粉砕し物理的に風化を促進させ、DACで回収した大気中のCO₂と反応させることで、炭酸塩生成によるCO₂固定化を実現するものです。自然環境下で数年から数百年かかるこのプロセスを、本技術により非常に短い期間に加速できます。田中石灰工業は、高知県内に数カ所の蛇紋岩砿山を保有し、半世紀にわたり、蛇紋岩を鉄鋼副原料として高炉メーカーに納入してきた実績を持っています。その採掘する蛇紋岩を使用することで、資源の有効活用を図るとともに、脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいます。

この実証において、稲垣研究室が開発したMXDAがDAC技術の中核として採用されました。MXDAの活用により、大気中のCO₂を効率的かつ低コストで回収・固定化することが可能となり、未利用鉱物の有効活用や輸送コスト削減による経済性の向上にも寄与し、CO₂固定化技術の社会実装を加速させることが期待されます。

稲垣教授は「この度、私たちが長年研究を重ねてきたCO₂固体化吸収液『MXDA』が、田中石灰工業株式会社様の画期的なCO₂固定化実証プロジェクトに採用されたことを大変光栄に思います。DAC技術における『含水』という大きな壁を克服することで、CO₂回収の効率を飛躍的に高めることができました。本技術が、岩石風化促進という自然の力を活用したCO₂固定化プロセスと融合することで、脱炭素社会の実現に向けた具体的な一歩を踏み出せることを確信しています」と話しています。


■本件のポイント

  • 薬学部の稲垣研究室が開発した、CO₂固体化吸収液「MXDA」が、田中石灰工業株式会社のCO₂固定化実証に採用。

  • MXDAは、大気中の水分の影響を受けずにCO₂のみを吸収する画期的な特長を持ち、CO₂分離時の加熱エネルギーを大幅に削減。

  • CO₂を吸収し固体化したMXDAはスラリーとして取り扱えるため、既存の点源CO₂回収並みの熱源単位を実現可能。

  • 既存のDAC技術の課題を克服し、CO₂固定化プロセスの効率と経済性を飛躍的に向上させ、脱炭素社会の実現に貢献。


<本件に関するお問い合わせ>

神戸学院大学 広報グループ

TEL:078-974-5896

Email:koho@j.kobegakuin.ac.jp

<参考URL>

神戸学院大学 學報.net

神戸学院大学 薬学研究科

薬学部オリジナルサイト

このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります

メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。

すべての画像


ビジネスカテゴリ
学校・大学
ダウンロード
プレスリリース素材

このプレスリリース内で使われている画像ファイルがダウンロードできます

会社概要

神戸学院大学

0フォロワー

RSS
URL
-
業種
教育・学習支援業
本社所在地
兵庫県神戸市中央区港島1-1-3
電話番号
078-974-1551
代表者名
備酒伸彦
上場
未上場
資本金
-
設立
-