水素航空機向け液化水素ポンプの実液試験に成功
世界初、浸漬状態における高速回転で
■背景
燃焼時に二酸化炭素を排出しない水素を燃料とする水素航空機は、航空分野の脱炭素に向けた次世代の航空機として有力視されています。水素は液化すると気体の800分の1まで体積を圧縮できるため、液化水素が燃料に採用されています。
川崎重工は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」に「水素航空機向けコア技術開発」を提案し、21年11月に採択されました。日機装は川崎重工から再委託を受け、液化水素ポンプの開発を担当しています。
■液化水素ポンプの特徴
今回、日機装が開発している液化水素ポンプは、液化水素を燃料タンクからエンジンポンプへと昇圧して送液するブースタ・ポンプです。航空機用ポンプは小型・軽量であることが求められ、また水素は低密度で昇圧しにくいことから、日機装は従来のポンプ設計よりも高速回転の電動モータを開発し、必要な圧力や流量を確保することを目指しました。
熱収縮率の異なる金属で構成されるポンプを、極低温の液化水素が満ちた状態で高速回転させるには高い技術力が必要ですが、日機装はLNG(-163℃)など極低温流体に対応した産業用特殊ポンプにおける製造実績が豊富にあります。この経験から培ったノウハウを活かしながら、液化水素の極低温下でも高速回転が可能なモータや高速回転に耐えうる軸受、高効率なポンプなどの設計・開発を行っています。
■実験の成果と今後の展開
実験は6月に、JAXA角田宇宙センター(宮城県角田市)において実施し、設計通りの良好な結果を得ました。実験で得られた結果を分析し、さらなる小型・軽量化と長寿命化を目指して、試作機の改良を行っていきます。日機装は、水素航空機向け液化水素ポンプの研究・開発を通じて、脱炭素社会の実現に貢献してまいります。
<日機装 会社概要>
会社名: 日機装株式会社
本社所在地: 東京都渋谷区恵比寿4丁目20番3号恵比寿ガーデンプレイスタワー22階
創業: 1953年12月26日
代表者: 代表取締役社長 甲斐 敏彦
事業内容: 産業用特殊ポンプ・システム、医療機器、航空機部品等の製造・販売
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