【第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)】空き家対策の意識は高まるも、具体的な行動は依然進まず
—行動を阻む「3つの壁」と、突破口は「出口までつながる仕組み」—
中古住宅買取再生事業を展開する株式会社カチタス(代表取締役社長:新井健資、本社:群馬県桐生市)は、深刻化する空き家問題解決に寄与するため、2026年に「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年)」を実施しました。
◆はじめに
調査実施の前提として、国土交通省が実施した「令和元年空き家所有者実態調査」と、「弊社へ中古住宅を売却いただいた実態」を比較分析しました。その結果、「空き家の取得方法」について相続・贈与の割合が近しく、「空き家の所在地」のエリア比率も類似していることから、弊社の事業領域と全国の空き家の実態には強い相関があると認識いたしました。加速する日本の空き家問題の解決により一層貢献するために、市場の状況や課題を捉えるべく、2021年から「空き家所有者に関する全国動向調査」を実施しています。
◆「第6回 空き家所有者に関する全国動向調査」実施の背景・意図
前回(第5回)の調査では、空き家対策の第一歩は「家族との対話」であり、対話をした人はしていない人に比べて対策検討が約1.5倍進むことが明らかとなりました。一方で、「まだ先のことだから」と対話を先送りする層が依然として存在し、意識の高まりが具体的な行動に結びつかない実態が浮かび上がりました。今回は「課題意識と行動のギャップ」と「行動を阻む要因」に焦点を当て、定点調査を継続しました。
◆調査まとめ


◆調査結果—重点ポイント—
●空き家対策の意識は高まるも、具体的な行動は依然進まず
相続登記義務化の認知(70.0%)、空家等対策の推進に関する特別措置法(以下、空家特措法)の認知(58.0%)、家族との対話率(72.5%)はいずれも過去最高を更新。2021年の調査開始時と比べると相続登記義務化の認知は約3倍、空家特措法の認知は約1.5倍、対話率は約2.2倍と、空き家問題への意識は着実に高まっている。

●「重要だとわかっている」のに動けない—課題意識と行動の2割ギャップ
しかし「今後3年以内に取る対策が“まだわからない”」と答えた人は25.5%と、4人に1人が依然として未行動であり、意識の高まりに比べ、具体的な行動には直結していない実態が浮かび上がった。

さらに、空き家対策を重要だと考えている人は約7割以上存在しているものの、取り組みの優先度は5割まで減少し、課題意識と行動のギャップが2割ほど存在する。

空き家対策の取り組み優先度が高くない層の理由は、まだ困っていない・緊急性を感じない(39.7%)が最多で、問題の先送り化が要因と言える。

◆具体的な行動を進めるには「3つの壁」がある
では、なぜ課題意識があっても行動に踏み出せないのか。今回の調査からは、対策を阻む「3つの壁」の存在が浮かび上がった。

◆年代の壁
年代によって空き家対策への意識・行動には大きな差がある。
●年代別│3年以内に取る予定の空き家対策
20〜30代は売却・賃貸などの積極的な対策意向が高く、未検討層は60代以上の半数である。一方で60代以上は対策の未検討層が全年代の中で最も多い。空き家対策が「まだわからない」理由を年代別で見ると、60代以上は、今後3年以内の対策に「自分・家族が使う」という選択肢があるにも関わらず「まだわからない」を選び、まだわからない理由に「今後自分・家族が使うかも」を選択。つまり「使う」とも「手放す」とも決めきれず対策を止めていると言える。

●年代別│優先的に取り組まない理由
さらに60代以上は「緊急性を感じない(51.1%)」と先送りする傾向が強く、60代以上の今後対策に動き出すきっかけは「管理や税金・維持費の負担」「老朽化」といったリスクや負担の実感であることが明らかとなった。

年代の壁である【対策検討が進まない60代以上の空き家所有者】への処方箋
空き家放置のリスクを実感できる情報提供によって危機感を醸成し、「家族が使うかもしれない」という不確かな見通しを、具体的な対策行動へと転換できる可能性がある。
◆対話の壁
空き家について家族や親族と対話をすることが、空き家のリスクや対策選択肢の解像度を上げる機能を果たしていると考えられる。
●対話の有無別│今後3年以内に取る予定の空き家対策
家族で対話をしている人は対策未検討が19.0%にとどまる一方、対話をしてない人では42.5%が未検討のまま。

●対話の有無別│空き家対策、今後動くきっかけ
対話をしていない人が今後動くきっかけの1位は「あてはまるものはない(29.9%)」であり、動くきっかけすらイメージできていない。一方で対話をしている層は、「老朽化・リスク」「管理負担」「活用メリットを知った」と具体的なきっかけが見えている。家族で対話をするという行為が、リスクや選択肢の解像度を上げる機能を果たしていると考えられる。

●対話をしない理由と対話のきっかけ
対話をしない理由の1位は「まだ先のことなので、話すタイミングではない(30.2%)」であり、アンテナが立っていない状態では対話自体が始まらない実態が明らかになった。一方、対話のきっかけとなった出来事の上位は「相続をしたので(27.2%)」「固定資産税納税通知を受け取って(21.2%)」「維持管理や税の負担が重くて(20.5%)」であり、負担やリスクが目の前に現れて初めて家族の話し合いが始まっていることがわかる。つまり、空き家対策の第一歩である「対話」は、当事者が何らかの負担やリスクを体感するまで待つしかない状況にあると言える。

対話の壁である【家族と空き家について対話をしない層】への処方箋
対話がなければ選択肢は見えず、動くきっかけも生まれない。固定資産税通知など「アンテナが立つタイミング」に先回りして「負担やリスク」を伝えると対話が生まれ対策が進む可能性がある。
◆地域の壁
●地域別│対策が決められない理由
空き家対策がまだわからない理由は、都市部・都市・都市郊外では「金銭的な理由」が1位で、これは、都市部の不動産は資産価値が高い分、複数の相続人間での分け方の合意形成の難しさ、あるいは解体・リフォーム費用の現実的な認識が先に立つことが背景として考えられる。郊外は「自分・家族が使うかも」が多く、手放す必要性をまだ感じていない。

●地域別│対策を後回しにする理由
「まだ困っていない・緊急性を感じない」が全地域で1位、「費用がかかりそう」がほぼ全地域で2位と、後回しの理由に地域差はほぼなし。ただし都市部のみ「家族と話し合いができていない(29.4%)」が2位で、資産性の高い都市部では家族間の合意形成が壁になっている可能性が考えられる。

●地域別│空き家にまつわる情報接触について
都市部〜都市郊外では空き家情報を「週1回以上」見聞きする人が半数超。一方、過疎地では情報取得頻度が低く、テレビ・新聞で「知る」ことはできても、自ら「調べる」ステップへ進む人が急減。郊外ほど情報取得を能動的に行っていないことが分かる。

●地域別│空き家対策、今後動くきっかけ
都市〜地方都市では「老朽化・災害リスクの上昇」「管理が負担」といった目の前のリスク・負担の実感が主なきっかけで、過疎地では「活用するメリットを知った(14.3%・1位)」というポジティブな出口情報が行動のトリガーになっている。

●地域別│3年以内に取る予定の空き家対策
そんな中、どの地域でも、今後3年以内に検討する対策の第1位は「売却」。しかし都市部では「賃貸(25.6%)」という選択肢も多く存在する一方、郊外・過疎地では借り手がつきにくい背景からか「賃貸」の意向が低く、郊外ほど対策の選択肢は売却一択に近い状況である。

地域の壁である【対策が進まない郊外の空き家を持つ人】への処方箋
手放す必要性を感じず優先度が下がる&情報取得頻度が落ちる。郊外ほど出口の選択肢が「売却」に限られる。「リスク・負担の実感」と「出口の一つである売却法」を届けることで、対策検討が進む可能性がある。
※地域区分の詳細は、後述の注釈に記載
◆3つの壁を越えるための処方箋—「いつ・何を・どう届けるか」
3つの壁の分析を通じて見えてきたのは、壁ごとに異なる処方箋の必要性。年齢の壁には「リスクや負担を体感できる情報を届け、緊急性を上げること」、対話の壁には「固定資産税通知・お盆など、アンテナが高い時期にリスクや負担を伝え、対話を促すこと」、地域の壁には「リスクや負担だけでなく、唯一の出口である『売却法』をメディアで届けること」が有効と考えられる。
これらを踏まえた対策が「まだわからない」層への処方箋は3点に集約される。発信のフックはリスクや負担を体感できる情報で緊急性を上げること。発信のタイミングは固定資産税の通知が届く4〜6月や、相続について話すきっかけになりやすいお盆(8月)が効果的。発信の内容は売却法を中心に、具体的な出口の手法を伝えることが重要である。

◆空き家の売却ニーズの変化
空き家対策でもっとも検討されているのは「売却」であったが、その「売却」というゴールに向けて、所有者は何を求めているのか?売却する場合に、求めるニーズと選択するサービスを調査した。
空き家対策で最も意向が高いのは「売却」、売却に求めるニーズと選択するサービスは「手離れの良さ」に意向が高まる
今後3年以内に取る予定の空き家対策として最も多いのは「売却(32.8%)」で、2023年(28.4%)から増加傾向が続いている。「賃貸(21.7%)」「自分・家族が利用(12.0%)」を引き離すトップの選択肢である。

売却先として「買取会社」を検討する人は42.8%(2021年比約2.6倍)となり、仲介会社(46.2%)との差は3.4ポイントまで縮小している。売却先に求める要素では「信用・信頼(45.7%)」「高く買ってくれる(40.7%)」に続き、「残置物を処理してくれる(28.6%)」「現況のままで買ってくれる(28.5%)※2026年新設」「早く買ってくれる(27.1%)」など「手離れの良さ」へのニーズが根強く、買取会社の特性と合致していることが選択率上昇の背景と考えられる。

◆自治体の空き家対策
●自治体の空き家対策への関心は高いが、制度の活用はまだ途上
前述の通り、年代・地域・対話という3つの壁が、空き家対策の行動を阻んでいる実態が明らかになった。これらの壁を乗り越えるうえで重要な役割を担うのが自治体の空き家対策であると考え、今回は、空き家所有者が自治体の空き家対策をどう認知し、どう活用しているかについても調査を実施した。
●自治体の空き家対策の認知は半数超、ただし内容理解は3割未満
自治体の空き家対策について「内容までよく知っている」は26.8%、「概要は知っている」が29.4%で、認知計は56.2%と半数を超える水準。一方、内容まで正確に把握している層は3割未満にとどまり、制度の存在は届いているが、詳細まで伝わっていない実態。
認知経路の1位は「自治体のホームページ(36.0%)」、次いで「固定資産税などの通知(31.6%)」「自治体の広報誌(30.1%)」と、自治体発信の情報が上位を占める。対話の壁で明らかになった「固定資産税通知が対話のきっかけになる」構造と一致しており、税の通知が空き家情報の重要な接点となっている傾向であると言える。

●利用経験は23.6%、潜在的な関心層を含めると6割
自治体の空き家対策制度の利用率は、「利用したことがある(23.6%)」「利用はないが検討したことはある(36.3%)」で、合計約6割が関心を持つ層。「利用も検討もない(33.9%)」であり、潜在的な需要はまだ十分に掘り起こされていない状況である。
利用実績のある制度は「空き家バンクへの登録・利用(48.7%)」「相談窓口の利用(46.6%)」「事業者との連携サービス・企業の紹介(45.3%)」と拮抗しており、出口につながる制度が活用されている傾向。

●満足度は「入口は評価、出口は課題」
制度の満足度では「相談のしやすさ(満足計40.9%)」「紹介された事業者・専門家の質(満足計41.1%)」への評価は比較的高い一方、「解決につながったか(満足計35.4%)」は低水準であることから、相談はできても解決に至っていない可能性があると考えられる。そのことから制度の入口より、手続きや出口の改善に余地がある。
「出口につながる制度」が多く活用されている現状を踏まえると、制度の入口から出口(売却・活用など)までをシームレスにつなぐ仕組みが、行動促進の鍵となる可能性があると言える。

◆調査結果―その他データ―
●空き家の取得種類と所有戸数-多くが戸建てで、2戸以内の所有
空き家の種類は「一戸建て(79.6%)」が圧倒的多数で、以下「マンション(23.0%)」「アパート(11.4%)」と続く。戸数は「1戸(67.2%)」が最多で、「2戸(16.3%)」を合わせると8割超が2戸以内。複数戸の管理負担を抱える所有者は少数にとどまる一方、把握していない層も5.4%存在。

●空き家はほとんど相続で取得し、名義変更も7割は完了している
取得経緯は「単独相続(46.4%)」「複数相続(32.4%)」を合わせた相続計が78.8%と大多数を占め、空き家問題が相続に起因する構造は今回も変わらず。「自ら取得(9.9%)」「贈与で取得(6.8%)」は少数。名義の状況では、70.2%が「名義変更済み(現在の所有者名義)」であるものの、「名義変更していない(相続前の名義のまま)(20.5%)」が依然2割存在。「わからない(9.3%)」を含めると約3割が名義の整理が不十分な状態にあり、相続登記義務化が施行された中でも未対応層が残る実態。

●空き家の管理者
管理者については「自分(55.7%)」が過半数を占め、「家族・親族(19.0%)」「配偶者(11.6%)」と続く。管理している人がいない空き家は6.2%で、無管理のまま放置されているケースも一定数存在。

<カチタスからのコメント>
今回の調査では、空き家問題への意識は着実に高まりながらも、「3つの壁」によって具体的な行動に踏み出せない所有者が依然として多いことが明らかになりました。心理的なハードル、情報・手続きの壁、そして金銭的・実務的な負担が複合的に絡み合い、「わかってはいるが動けない」構造を生み出しています。
こうした背景の中、自治体の制度への潜在的な関心が6割に達することは、空き家解決に向けた行動促進の可能性を示しています。また、空き家対策として最も検討されている「売却」において、「手離れの良さ」を特長とする買取会社の選択率が仲介会社との差を3.4ポイントまで縮め、横並びになる水準まで上昇してきたことは、空き家売却市場における構造変化の表れと言えます。
当社は、中古住宅買取再生事業において年間販売棟数12年連続ナンバーワン*の実績で、「荷物の片づけ不要」「最短3週間で売却可能」「現況のまま買取」という手離れの良さを強みとしています。引き続き自治体や地域と連携しながら、空き家問題の解決と地域の活性化に貢献していきます。
※本調査の詳細に関するご質問・データ提供をご希望される場合は、当社までご一報いただけますと幸いです。
調査実施概要

|
調査名 |
第6回 空き家所有者に関する全国動向調査(2026年) |
|
調査対象 |
日本全国の空き家所有者 |
|
調査期間 |
2026年6月11日 |
|
調査機関 |
アイブリッジ株式会社 |
|
調査方法 |
インターネット調査 |
|
有効回答数 |
1,000人 |

注釈*:リフォーム産業新聞【買取再販年間販売戸数ランキング】2025年7月発行より
※地域区分は下記の通り

会社概要

カチタスは空き家を買い取りし、リフォームして販売する中古住宅買取再生事業を行っています。この事業を通じて空き家問題の解決を目指します。
会社名:株式会社カチタス
所在地:【本社】〒376-0025 群馬県桐生市美原町4番2号
【東京本部】〒104-0033 東京都中央区新川2-9-11 PMO八丁堀新川9階
代表者:代表取締役社長 新井 健資
資本金:37億7,887万1,000円(2024年3月31日現在)
上場市場:東京証券取引所プライム市場(証券コード8919)
URL:https://katitas.jp/
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。
すべての画像
