2024年、フェアトレード・プレミアム約330億円を開発途上国の生産者へ

生産者組織が民主的な話し合いを通じて決定し、地域の経済的・社会的・環境的な発展など未来に投資

特定非営利活動法人フェアトレード・ラベル・ジャパン

認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンを含む世界約100カ国の生産国・消費国を束ねるフェアトレード・インターナショナルは、国際フェアトレード認証の2024年の実績をまとめた「フェアトレード モニタリングレポート 第17版」を発表しました。

本レポートでは、世界約70か国、1,800を超える生産者組織に所属する約187万人の農家・労働者の状況や、フェアトレード認証産品の販売実績、フェアトレード・プレミアムの活用状況などを通じて、フェアトレードが生産者や地域社会にもたらしている成果を報告しています。

              
2024年は、生産者が販売したフェアトレード認証原料が約150万トンに達し、フェアトレード・プレミアムの総額は2億160万ユーロ(約330億円)となりました。過去5年間の累計では10億ユーロを超えています。

(C)Fabian Sturm ペルーでアマゾン原産の「クリオロ種」のカカオを栽培しているEnrique Gabriel Hernandez Vasquezさん

■   生産者自身が使途を決める「フェアトレード・プレミアム」、経済的安定と環境保全の両立を後押し

フェアトレード・プレミアムとは、毎年フェアトレードが重視する指標の一つで、フェアトレード最低価格とは別に、認証原料の取引価格へ上乗せして支払われる奨励金です。資金の使途は、生産者組織が民主的な話し合いを通じて決定し、地域の経済的・社会的・環境的な発展に活用されています。

今回のレポートでは、市場環境の変化やサステナビリティをめぐる新たなニーズを反映するとともに、フェアトレードに取り組む農家と労働者、そして彼らの地域コミュニティが投資している分野を明確にするため、プレミアム資金の分類方法を見直しました。生物多様性の保全、リサイクル活動、有機農業資材の使用、EU森林破壊防止規則(EUDR)への対応など、近年重要性が高まる持続可能性への取り組みをより詳細に把握できるようになりました。

また今回初めて、プレミアム資金が経済面・環境面にもたらす効果を分析し、その結果、生産者組合ではプレミアム資金の76%、大規模プランテーションの労働者では80%が、生産性向上や品質改善、収入向上など経済的利益につながる取り組みに充てられていることが分かりました。一方、生産者組合では24%が環境・気候変動対策に活用されており、森林再生や生物多様性保全など、持続可能な農業への投資も進んでいます。(ひとつの取り組みが経済・環境の両方に分類されるケースもあります。)

■   地域別レポートでも高い満足度を維持 一方で市場アクセスと気候変動が共通課題

あわせて公開された3つの地域別レポートでは、生産者満足度は各地域とも約90%と高い水準を維持し、年々向上していることが明らかになりました。

一方で、生産者が共通して抱える最大の課題は「市場へのアクセス制限」と「気候変動」です。

生産者がフェアトレードの主なメリットとして挙げたのは、以下の点でした。

  •  より良い価格とフェアトレード・プレミアムによる収入向上 

  • 生物多様性保全など持続可能な農業技術の向上 

  • 労働環境や労働者の権利保護の充実 

  • 女性のエンパワーメントと機会拡大 

各地域レポートでは、フェアトレード生産者ネットワーク(PN)が実施する研修や支援を受けたことで、生産者自身が実感した成果についても紹介しています。

■   2024年 国際フェアトレード認証の主な実績

  • 約187万人の農家・労働者が国際フェアトレード認証に参加(約90%が小規模農家) 

  • 1,800を超える生産者組織が認証を取得 

  • フェアトレード認証原料 約150万トンを販売 

  • フェアトレード・プレミアム総額は2億160万ユーロ(約330億円) 

  • 主要6品目(バナナ・カカオ・コーヒー・サトウキビ糖・綿花・紅茶)の認証農地は約280万ヘクタール 

  • その約4分の1が有機栽培農地で、生産量ベースでは36%がオーガニック 

  • 女性の割合は農家23%、労働者40% 

  • 女性比率が最も高い産品は、農家では穀物(64%)、雇用労働者では紅茶(55%) 

フェアトレードは、生産者への適正な価格の支払いにとどまらず、生産者自身が未来への投資を決定し、地域社会の発展や気候変動への対応、生物多様性の保全など持続可能な社会づくりを支える仕組みとして、その役割をさらに広げています。

 

モニタリング・レポート第17版について詳細はこちらからご覧いただけます。

■    フェアトレード・プレミアムを活用した生産者の声

(C)Fabian Sturm ペルーのカカオ農家Enrique Gabriel Hernandez Vasquezさん

協同組合は、私たちがカカオをできるだけ良い価格で販売できるよう支えてくれています。カカオの販売を通じて、私たちは『フェアトレード・プレミアム』を受け取っています。その資金は、カカオの木や肥料の改善に使っています。また、フェアトレードは、私たちが受けている技術研修の費用も支援してくれています。協同組合のメンバーであることは、私たちにとって大きな支えになっています。「以前は、この土地でキャッサバ、パパイヤ、米など、さまざまな作物を育てていました。家畜や鶏も飼っていました。でも、病気によってそれができなくなり、私たちはカカオに転換して、カカオの木を植えました。今では、カカオが私たちの力です。食べ物や衣服、そして暮らしを支えてくれる収入を、カカオがもたらしてくれています。

(C)No Logo / Fairtrade Foundation インドの茶園で働くUsha Marshalさん

茶園で働き、スタネスのコミュニティの一員として過ごしてきた中で、彼女が感じた大きな変化の一つが、プレミアムによって地域に太陽光発電式の街灯が設置されたことでした。街灯が設置される前は、茶園の夜は暗く、安全とはいえない環境でした。遅い時間まで授業を受けたり、屋外で活動したりした後に帰宅する子どもたちにとって、夜道を歩くことは危険を伴いました。特に近年は、野生動物による被害も増えていたといいます。

「夜、子どもたちが学校から帰ってきたり、外で遊んで帰ってきたりするとき、暗闇の中を帰ってくるのが怖くて、私たちはとても不安でした……。ヒョウやトラ、バイソンなどの動物による被害も多く、私たちはとても苦労しています。」

街灯の設置によって、家族の安全は大きく改善されました。

「ソーラーライトが設置されてからは、その恐怖を感じることがなくなりました。私たちの生活はずっと良くなりました。」

また、ウシャさんは、街灯が太陽光発電であることにも大きな意味があると感じています。環境面だけでなく、電気代の負担軽減や安定した電力供給にもつながっているからです。太陽光で発電する街灯は、通常の電力に依存しないため、電気料金を気にすることなく、夜間も家族の安全を守る明かりとして機能しています。


【フェアトレードとは?】

フェアトレードとは直訳すると「公平・公正な貿易」です。通常の取引では、市場価格の情報や販売先の選択肢の欠如により、末端の小規模生産者は、安く買い叩かれてしまうことが今も多くあります。その結果、生産者の生活水準低下、コスト削減を目的とした児童労働・強制労働、過剰な農薬による環境破壊や生産者が健康被害をうけるという問題が引き起こされます。フェアトレードは、人と環境に配慮して生産されたものを適正な価格で取引し、持続可能な生産と生活向上を支援する仕組みです。フェアトレードによる取引では、適正価格の保証・プレミアムの支払い、児童労働・強制労働の禁止、環境に配慮した生産などが行われます。

【認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン】

1993年設立、2023年11月に30周年を迎えた認定NPO法人。国際フェアトレードラベル機構(Fairtrade International)の構成メンバーとして、日本国内における国際フェアトレード認証ラベルの認証・ライセンス事業、フェアトレード の啓発・アドボカシー活動を行います。国際フェアトレードラベル機構は、公正な取引を通じた世界の貧困問題の解決、生産者の持続可能な生活の実現を目指して1997年設立された国際組織。現在開発途上国 約70カ国・約200万人の生産者・労働者と消費国30カ国メンバーが参加しています。(https://www.fairtrade.net/jp-jp.html

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会社概要

URL
https://www.fairtrade-jp.org/
業種
財団法人・社団法人・宗教法人
本社所在地
東京都中央区日本橋富沢町11-6 英守東京ビル3階
電話番号
-
代表者名
堀木一男
上場
未上場
資本金
-
設立
1993年11月