横浜ゴムとdotData、製造R&Dを支援するAIエージェントの共同開発を開始
~特徴量自動設計と生成AIを組み合わせ、“人とAIとの協奏”による仮説形成・解釈・判断を支援~
横浜ゴム株式会社(本社:神奈川県平塚市、代表取締役会長 兼 CEO:山石昌孝、以下 横浜ゴム)とdotData, Inc.(本社:米国カリフォルニア州、CEO:藤巻遼平、以下 dotData社)は、製造業の研究開発(R&D)における技術者の仮説形成と解釈・判断を支援するAIエージェントの共同開発を開始します。実際の研究開発への本格適用に先立ち、必要となる機能や技術的な実現性を検証する取り組みです。
本開発では、設計情報や実験報告書などの技術文書、技術者が蓄積してきた知見と、dotData社の「特徴量自動設計」技術が計測データから導き出す特徴量を組み合わせます。これにより、研究開発の目的や状況、制約などのコンテキストに応じて、AIエージェントが技術者に判断材料を提示する仕組みを構築します。
AIエージェントは技術者に「正解」を示すものではありません。Human-in-the-loop(人が判断に介在する仕組み)を前提に、複数の可能性や異なる観点からのコメント、留意すべきリスクを提示し、技術者の発想の幅を広げます。両社は、AIとともに考える経験の蓄積を通じて、人材の成長にもつなげていきます。

背景
製造業のR&Dでは、実験やシミュレーション、製造・評価を通じて多様なデータが蓄積されます。しかし、そこから新たな技術仮説を導くには、研究開発の目的や対象、実験条件、制約条件、過去の経験といったコンテキストと専門知識を踏まえた技術者の解釈と判断が欠かせません。
また、新しい技術や製品を生み出す研究開発に、あらかじめ一つの正解があるとは限りません。観察された現象から、それを説明し得る複数の仮説を立て、検証を重ねてより有望な仮説へと発展させる「アブダクション(仮説形成)」が重要な役割を担います。一方で人の仮説形成は、経験や専門性が強みとなる反面、過去の成功体験や思い込みによって検討の範囲が狭まることもあります。両社は、AIが人に代わって答えを出すのではなく、データと知識をもとに人の視野を広げることで、製造R&Dに新しい価値をもたらせると考えています。
開発するAIエージェントの姿
本開発で検証するのは、研究テーマの目的、対象、制約条件といったコンテキストを理解したうえで必要な情報を探索・整理し、次の4つの形で技術者を支援するHuman-in-the-loop型のAIエージェントです。
1.設計情報や技術者の知見を踏まえる
設計情報、実験報告書、研究報告書などの技術文書に記録された情報や、技術者が蓄積してきた知見などを参照し、研究開発テーマの背景や過去の経緯を踏まえた検討を支援します。
2.データから得られる特徴量を判断材料として提示する
dotData社の特徴量自動設計技術により、人があらかじめ想定した要因に限定することなく、計測データや実験データのパターンを幅広く探索します。こうして得られる特徴量は、データに基づく定量的な知見として機能します。これを設計情報や技術者の知見と組み合わせることで、人の経験や既存の仮説だけでは気付きにくかった関係性を、新たな仮説を考えるための判断材料として提示します。
3.多様な観点からコメントやリスクを提示する
一つの結論に収束させるのではなく、材料、設計、解析、生産、評価といった異なる専門的観点や、既存の仮説とは異なる観点からコメントを示します。あわせて、「この解釈に別の可能性はないか」「どの条件が変われば、この関係は成立しなくなるか」といった、仮説を検証するための問いやリスクも提示します。
4.最終的な解釈・判断は人が行う
技術者は提示された情報をもとに自ら仮説を立て、実験や解析によって検証し、その結果を再びAIエージェントとの検討に活用します。この反復的な対話により、仮説形成から検証、解釈・判断に至る研究開発サイクルを支援します。
また、AIエージェントとの対話を通じて技術者が分析の目的や着目点を伝えることで、特徴量自動設計の実行に必要な操作や設定を支援する仕組みも検証します。データサイエンスの専門家だけでなく、技術者自身が必要に応じてデータから特徴量を探索できる環境を目指します。
HAICoLabの実践をAIエージェントへ発展
横浜ゴムは、“人とAIとの協奏”によって製品・プロセス・サービスの革新と人の成長を目指すAI活用フレームワーク「HAICoLab(ハイコラボ)※」を推進しています。HAICoLabを策定した2020年からは、その実践を支えるツールの一つとして「dotData」を活用し、タイヤ設計やゴム混合プロセスなどで、自動設計された特徴量に技術者が多角的な解釈を加えることで、新たな気付きや仮説を得る取り組みを進めてきました。
今回の共同開発は、この取り組みをAIエージェントへと発展させるものです。技術者は、提示された特徴量やコメントをそのまま受け入れるのではなく、自らの専門知識や経験と照らし合わせて解釈・判断します。この経験を重ねることで、技術者自身が新たな視点を取り込み、思考・判断の枠組みである「スキーマ」を広げていくことも狙いです。両社は、研究開発プロセスを高度化する「仕組みの変革」と、技術者の発想力や判断力を高める「人材の成長」を同時に進め、製造R&Dにおける人とAIの新たな協働モデルの確立を目指します。
※社内に蓄積されたデータや知識を活用してAIを高度化するとともに、人が自らの思考を客観的に捉えるメタ認知を働かせながら仮説を設定し、AIを活用してその結果を解釈・判断することで、製品・プロセス・サービスの革新と人の成長を循環的に促していくことを目指したAI活用のフレームワークです。
今後の展望
横浜ゴムは、実際の製造R&Dテーマへの適用を通じてAIエージェントを活用したHAICoLabの実践を重ね、人の発想力とデータ活用を組み合わせた研究開発プロセスのさらなる高度化を進めます。
dotData社は、特徴量自動設計によって導き出される定量的なコンテキストとAIエージェントを組み合わせ、製造業のR&Dへ幅広く適用するための技術開発を進めます。研究テーマやデータの形態、開発フェーズが異なる多様な現場においても活用できる方式を確立し、専門性の高い業務領域における人とAIの協働を支えていきます。
両社からのコメント
横浜ゴム株式会社 執行役員 研究先行開発本部長 藤田 資二
当社は2020年からHAICoLabのもと、人とAIがそれぞれの強みを生かして協奏する研究開発に取り組んできました。AIエージェントの活用により、技術者は自らの経験の枠を超えた視点に触れ、より多面的に仮説を検討できるようになると考えています。本開発を通じて、研究開発の高度化と技術者の成長の双方を進めてまいります。
dotData, Inc. CEO 藤巻遼平
製造業のR&Dにおいては、企業に固有のデータと知見をいかにAIへ橋渡しするかが成果を左右します。特徴量自動設計によってデータから導き出される定量的なコンテキストは、AIエージェントが技術者と実データに基づく議論を行うための基盤となります。長年にわたりデータ活用を実践してこられた横浜ゴム様とともに、専門性の高い業務領域におけるAI活用の方式を確立してまいります。
本件に関するお問い合わせ先
[横浜ゴム株式会社]
経営企画部 広報室
E-mail:yinfo@y-yokohama.com
会社概要:https://www.y-yokohama.com/profile/company/
[dotData, Inc.]
E-mail:pr-j@dotdata.com
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