難聴に関して日本では聴覚を健康に保つための行動が遅れがち ー難聴の診断後も治療を必要と考えるのは「日常生活に支障をきたしてから」ー
~コクレア社、難聴に関するアジア太平洋地域での意識調査を発表~
3月3日は、「耳の日」、3月は耳鼻咽喉科月間です。耳の健康について考える機会として、コクレア社は2024年年末 に実施された自社調査:「健康な耳で、健康な日々を(Healthy Ears, Healthy Years)」の結果を発表しました。この調査は、アジア太平洋地域全体の聴覚の健康に関する知識および難聴治療の利点の理解についての現状調査として、ウェイクフィールド・リサーチ社によって実施され、日本の調査回答者 1,200 人を含むアジア太平洋地域の 25 歳以上の成人 4,000 人以上が参加しました。
調査の結果として、多くの人が聴覚の健康を保つための行動を先延ばししており、専門家へ相談することの重要性および治療の選択肢に関して、認知が不足していることが判明しました。
オーストラリア、中国、シンガポールのデータおよび詳しい調査内容は、添付のファクトシートをご参照ください。
検査や受診、治療への行動が遅れがち
日本では他のアジア太平洋地域の国々のなかで、聴覚を健康に保つための行動が遅れがちということがわかりました。医師によって難聴と診断された場合、アジア太平洋地域の29%は、日常生活に支障をきたすまで聴覚障害の治療を求めないと回答していますが、日本では、さらに多くの40%となっています。さらに、次のような結果が出ています1。
60%-日本では、普段と比べて聴覚に異変を感じても、すぐに医師に予約を入れないと回答しています。
27% - 日本では、聞こえづらいと感じたとき医師に相談するという選択肢ではなく「自分で対処する」「加齢として受け入れる」ことを選んでいます。
その一方で、実際に難聴の治療を受けた回答者においては、アジア太平洋地域全体で98% 日本においても85%が、治療後に生活の質が改善したと報告しています。
費用への懸念が検査、受診や治療への抵抗感に関係している
日本では、ほかのアジア太平洋地域の国々と同様、費用への懸念から検査、受診や治療に対して抵抗を感じていることがわかりました。 44% の日本の回答者が、難聴の治療にかかる費用を懸念しており、費用の懸念から、検査を受けることおよび頻繁に検査を受けることを遠ざけており(28%)、 受診を先延ばしし(24%)、直ちに治療を受けることを先延ばしにし、(30%)、手術を先延ばしにする(25%)と答えています1。
この結果について東海大学医学部 耳鼻咽喉科・頭頸部外科 准教授 和佐野 浩一郎 先生は次のようにコメントしています。
「難聴という言葉に関してまったく聞こえない状況を想像する方もいらっしゃるかもしれませんが、実際は年齢をはじめとした様々な要因の影響によって徐々に聴力が低下していく状況すべてをさします。はっきりと聞こえにくさを感じるのはある程度進行してからなので、多くの患者さんにおいてその変化に気づくまで時間がかかることがあり、受診のタイミングがつかみにくいことがあるようです。医師の診断に基づき適切な治療とケアを受けることで、生活に大きな利点をもたらすことができます。難聴の兆候は、会話についていけなくなった、相手に繰り返してもらうことが多くなった、電話が聞き取りにくくなった、話す声が大きくなった、レストランなど騒がしい環境で聞きづらくなった、などのほか、耳鳴り、高音が聞こえなくなったなどさまざまあります。変化を感じたら速やかに耳鼻科医に相談し聴覚検査を受けられることをお勧めします。
また、日本では、治療やケアにおいて様々な助成システムがあり、患者さんの状態によっては健康保険の対象になります。費用のことで聞こえの健康をあきらめず、ぜひ一度医療機関や自治体にお問い合わせください。」(和佐野先生)
今回の調査について
「健康な耳で、健康な日々を(Healthy Ears, Healthy Years)」調査は、Cochlear Limitedの依頼でWakefield Researchによって実施され、オーストラリア(1,200人)、日本(1,200人)、中国(1,200人)、シンガポール(500人)の4か国で25歳以上の4,100人の回答者が参加しました。オンライン調査は2024年11月19日から12月2日までの間に電子メールの招待形式で行われました。データは加重されています。この特定の調査で実施されたインタビューの結果は、全体のサンプルから得られる結果と比較して、プラスマイナス1.5パーセントポイント以内で変動しない確率が95%です。オーストラリア、中国、日本市場では2.8パーセントポイント、シンガポール市場では4.4パーセントポイントの変動があります。
成人と子供の聴覚障害について
現在、世界中で5人に1人(15億人)が聴覚障害を経験しています。この数字は2050年までに4人に1人(25億人)に増加すると予測されています8。
現在、西太平洋地域*では5億4600万人が何らかの形で聴覚障害を抱えており、そのうち3800万人が子供です9。
2050年までに、西太平洋地域は約7億6000万人の聴覚障害者を抱えると予測されています。
西太平洋地域における聴覚障害の総費用は3283億ドルと推定されています9。
子供が聴覚障害を持っている場合、早期に治療を受けることで多くの利益があります。これには、基本的な言語の基礎を築くことが含まれ、社会的スキルを発展させ、学校生活を助けることができます10-11。
聴覚は音が子供の耳を通って伝わるプロセスですが、実際にはその情報を解釈するのは脳です。早期に脳に必要な刺激を与えることで、よりよいスピーチ、言語、社会的スキルを達成することができます10。
聴覚障害は年齢とともに一般的になります。60歳以上の成人のほぼ3分の2が何らかの程度の聴覚低下を経験しています。この割合は80歳以上の人々ではほぼ90%に上昇します12。
*世界保健機関(WHO)によって定義された西太平洋地域は、オーストラリア、中国、日本、シンガポール、韓国、ニュージーランドなど、アジア太平洋地域の37か国と地域を指します。
コクレア社;Cochlear Limited (ASX: COH)について
コクレア社は、埋め込み型聴覚ソリューションの世界的なリーダーです。Cochlearのインスピレーションは常に人々であり、Graeme Clark教授が父親の難聴に苦しむ姿を見て、最初のマルチチャンネル人工内耳を作成しようとしたことから始まりました。中等度から重度の難聴の人々に音という贈り物をお届けするため、1981年以来、世界で4,500人以上の従業員が働き、研究開発に年間180億円以上を投資しています。当社の製品には、人工内⽿システム、⾻固定型補聴器、その関連製品が含まれます。幅広い年齢層の難聴者が聴こえの改善によって充実した生活を送ることができるよう、1981年以来、180以上の国々で、これまでに75万台を超える人工聴覚器をお届けしてまいりました。
日本におけるコクレアについて
コクレアは、1989年に東京に最初のオフィスを開設しました。アジア初のマルチチャンネル人工内耳手術は、1985年に東京医科大学の船坂教授によって東京で行われました。1994年にコクレアの人工内耳システムは国民健康保険制度の適用となりました。幅広い年齢層における日本の10,000人以上の人々に対し、ソリューション・サービスを通じて聞こえの支援をいたしてまいりました。
【会社概要】
社名:株式会社 日本コクレア
本社所在地:〒113-0033 東京都文京区本郷2-3-7 お茶の水元町ビル
執行役員社長:上中茂弘
事業内容:人工内耳・医療機器の輸入販売
この資料は特定の製品を広告する目的や特定の製品に関する情報を提供する目的ではありません。この資料は難聴に関する情報を広めるために提供されています。難聴の治療については、医療専門家に相談してください。
1. Wakefield Research, Online Quantitative Consumer Research, ‘Healthy Ears, Healthy Years’, December 2024. Cochlear data on file.
2. Fitzpatrick EM, Leblanc S. Exploring the factors influencing discontinued hearing aid use in patients with unilateral cochlear implants. Trends in Amplification. 2010, 14; (4): 199–210.
3. Rumeau C, Frere J, Montaut-Verient B, Lion A, Gauchard G, Parietti-Winkler C. Quality of life and audiologic performance through the ability to phone of cochlear implant users. Eur Arch Otorhinolaryngol. 2015, 272: 3685–3692.
4. Runge CL, Henion K, Tarima S, Beiter A, Zwolan TA. Clinical outcomes of the Cochlear™ Nucleus® 5 cochlear implant system and SmartSound™ 2 signal processing. J Am Acad Audiol. 2016, 27; (6): 425– 440.
5. Kelsall D, Lupo J, Biever A. Longitudinal outcomes of cochlear implantation and bimodal hearing in a large group of adults: A multicenterclinical study. Am. J. Otolaryngol. 2021, 42 (1): 102773.
6. Buchman CA, Herzog JA, McJunkin JL, Wick CC, Durkovic N, Firszt JB, Kallogjeri D. Assessment of Speech Understanding after Cochlear Implantation in Adult Hearing Aid Users. A Nonrandomized Controlled Trial. JAMA Otolaryngology-Head & Neck Surgery. 2020;146(10):916-924. Doi:10.1001/jamaoto.2020.1584.
7. Boisvert I, Reis M, Au A, Cowan R, Dowell RC. Cochlear implantation outcomes in adults: A scoping review. PLOS ONE. 2020, 15 (5): e0232421. https://doi.org/10.137/journal.pone.0232421.
8. World Report on Hearing. Geneva: World Health Organization; 2021. License: CC BY-NC-SA 3.0 IGO. ISBN: 978-92-4-002048-1. Available at: https://www.who.int/publications/i/item/9789240020481
9. Matthew C. Kiernan, Glenda M. Halliday, and Rebekah M. Ahmed. Risk factors for the neurodegenerative dementias in the Western Pacific region. The Lancet Regional Health - Western Pacific 2024;50: 101051 Published Online. 16 September 2024. Available at: https://doi.org/10.1016/j.lanwpc.2024.101051
10. Ching TYC, Dillon H, Leigh G, Cupples L. Learning from the Longitudinal Outcomes of Children with Hearing Impairment (LOCHI) study: summary of 5-year findings and implications. Int J Audiol. (2018;May); 57(sup2).Effects of Hearing Loss on Development. American Speech-Language-Hearing Association (ASHA) [Internet]. 2013 [Cited 2013 July]. Available from ASHA.
11. Geers AE and Nicholas JG. Enduring advantages of earlier cochlear implantation for spoken language development. J Speech Lang Hear Res. (2013 Apr); 56(2). Doi: 10.1044/1092-4388(2012/11-0347)
12. Cruickshanks KJ, Wiley TL, Tweed TS, Klein BE, Klein R, Mares-Perlman JA, et al. Prevalence of hearing loss in older adults in Beaver Dam, Wisconsin. The Epidemiology of Hearing Loss Study. American journal of epidemiology [Internet]. 1998;148(9):879–86. Doi: 10.1093/oxfordjournals.aje.a009713
このプレスリリースには、メディア関係者向けの情報があります
メディアユーザー登録を行うと、企業担当者の連絡先や、イベント・記者会見の情報など様々な特記情報を閲覧できます。※内容はプレスリリースにより異なります。