三菱総合研究所、「日本CTX研究会」を設立
治験形態の転換で新薬承認の迅速化・アクセス向上へ
1. 背景
近年、国内におけるドラッグラグ・ドラッグロス※1が再び問題視され、国の検討会等においても危機感が示されています。その要因のひとつとして、日本の国際共同治験への参画率の低さが挙げられます(2018年に実施された国際共同治験1,035件に対して日本の参加率は21.0%※2)。新薬へのアクセスを確保するためには、日本が国際共同治験に参加できる、すなわち「治験に選ばれる」ために国内の治験環境を整える必要があります。そのための手段には治験形態の転換(Clinical Trial Transformation:CTX)が不可欠です。
CTXとは、治験をより効率的・効果的に実施するために治験の組み立て方や、運用、通例等の形態を転換することです。海外で取り組まれている治験の分散化(Decentralized Clinical Trial:DCT※3)による治験の効率化、患者の治験参加機会増加や、治験計画段階からの前向きの質保証、適正な市場価値に基づく費用算定の考え方は、日本では本格的な導入に至っていません。国際的な潮流に対応すべくCTXを推進し、国際共同治験への参画を向上させることが急務となっています。
※1:海外で承認・使用されている医薬品が日本で承認されて使用できるまでの時間差がある、もしくは国内では未承認で使用できないこと。
※2:医薬産業政策研究所(2022年7月)「近年における国際共同治験の動向調査」政策研ニュースNo.66。
※3:分散型臨床試験。デジタル技術を活用し、医療機関に来院することなく患者の自宅など遠隔地で実施する治験。オンライン治験やリモート治験とも呼ばれる。
2. 経緯
CTXを推進させるためには、産官学患のマルチステークホルダーによる連携が求められます。MRIは、ステークホルダー間の垣根を取り払い、利害関係を超えた連携の場となる日本CTX研究会設立のため、準備委員会を2023年4月に発足させて協議を進めてきました。準備委員会には、製薬企業やCRO(Contract Research Organization:開発業務受託機関)等、12社に参画いただきました。
3. 日本CTX研究会の概要
(1)目的
日本CTX研究会は、治験に関する様々なステークホルダーが参画する活動により、国内の治験環境を変革することで国際共同治験への参画を維持・向上し、ドラッグラグ・ドラッグロスの解消を目指します。
(2)活動内容
日本CTX研究会では、CTX推進の最初のトピックとして、DCT(分散型臨床試験)を取り上げます。DCTは、COVID-19の流行を契機に世界的に取り組みが加速しましたが、日本では導入に向けて規制整備が進みつつある段階です、本格導入には、DCT導入の遅れによる治験におけるジャパンパッシングに関する危機感や、DCT導入に向けた不明点や不安等の共通認識を、ステークホルダー間で持つことが重要です。また、普及においては、DCT導入の実績・エビデンスも重要です。
日本CTX研究会では、ステークホルダー間のDCTに関する共通認識の醸成、DCT導入・普及の課題の深堀、それを解決するために必要な国としての取り組み(規制、制度、支援等)を提言することで、実績・エビデンスを創出しやすい環境づくりに取り組みます。
(3)会員
2023年10月1日設立時における会員は、以下のとおりです(計13者)
愛知県がんセンター
イーピーエス株式会社
エイツーヘルスケア株式会社
国立大学法人岡山大学 岡山大学病院
シミック株式会社
日本イーライリリー株式会社
ファイザーR&D合同会社
メルクバイオファーマ株式会社
ヤンセンファーマ株式会社
株式会社Buzzreach
IQVIA Site Solutions Japan G.K
株式会社LSIメディエンス
株式会社MICIN
日本CTX研究会説明資料
https://www.mri.co.jp/news/press/hd2tof0000009kv0-att/nr20231002jctx.pdf
新規参画等、ご関心がある方は下記の「内容に関するお問合せ先」までご連絡ください。
4. 参考
日本CTX研究会は、東京都の創薬・医療系スタートアップ育成支援事業「Blockbuster TOKYO」の活動の一環として実施します。
【Blockbuster TOKYOについて】
Blockbuster TOKYOは、東京都創薬・医療系ベンチャー育成支援事業として、東京都との協定に基づきエコシステム形成支援者(プロモーター)が連携し、ブランド構築及び効果的な発信を行いながら、様々な支援策を実行し、グローバルレベルのスタートアップ創出のための支援環境を整備しています。MRIは、一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(本社:東京都中央区日本橋室町、理事長:岡野栄之)、CIC Japan合同会社(本社:東京都港区虎ノ門、職務執行者: Timothy Rowe)との3社共同事業体として、Blockbuster TOKYOのプロモーターに採択されています。
本件に関するお問い合わせ先
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株式会社三菱総合研究所
〒100-8141 東京都千代田区永田町二丁目10番3号
【内容に関するお問い合わせ】
ヘルスケア事業本部 「日本CTX研究会」事務局 吉田、川上
電話:03-6858-1480 メール:jctx@ml.mri.co.jp
【Blockbuster TOKYOに関するお問い合わせ】
ヘルスケア事業本部 担当 川上、加納
電話:03-6858-1480 メール:blockbuster_tokyo@ml.mri.co.jp
【報道機関からのお問い合わせ】
グループ広報部
メール:media@mri.co.jp
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