台湾運搬機械設備製造業の振り返りと2021年の展望<ワイズ機械業界ジャーナル2021年7月第5週号発行>
〜台湾機械業界の動向が分かる〜
ワイズコンサルティング グループ(本社:中華民国台北市、代表取締役:吉本康志)は台湾機械業界専門誌「ワイズ機械業界ジャーナル」の7月第5週号を発行しました。今週号では、運搬機械設備業界、台湾製造業の景気予測、特殊合金メーカーのGMTC、機械部品業界について紹介します。
<210729号内容>
1 | 台湾運搬機械設備製造業の振り返りと2021年の展望 |
2 | 2021年の台湾製造業の景気予測及び今後の課題に対するアドバイス |
3 | 特殊合金メーカー、栄剛材料科技(GMTC) |
4 | カスタマイズしたソリューションを提供する台湾のドイツ系伝動部品メーカー |
●今週号記事の一部を紹介します。
<台湾運搬機械設備製造業の振り返りと2021年の展望>
一、産業概況
世界景気の回復、新たなテクノロジーの応用拡大、従来型製造業の販売好調に加えて、▽遠距離商機と巣ごもり経済、▽第5世代移動通信システム(5G)、▽高性能計算(HPC)などの需要増加によって、情報電子及び電子製品の受注は大幅成長した。メーカーは工場での新型コロナウイルス感染症のクラスター感染を回避するため、運搬機械を含む自動化設備への投資を拡大した。また、米中貿易摩擦の深刻化を受けて台商(海外で事業展開する台湾系企業)のUターン投資が増加する中、台湾政府が三大投資プランを実施したことから、台湾運搬機械の内需は拡大した。
総合すると、世界経済の回復によって各国製造業の投資規模が成長し、運搬機械設備製造業への追い風となった。とくに台湾では2021年5月19日から新型コロナウイルスに対する防疫レベルが第3段階(レベル3)に引き上げられ、製造業は生産中止とならなかったものの、分散出勤の影響で労働力不足が深刻化したことから、自動化設備の関連需要が大幅増加した。このため、21年上半期の台湾当産業の生産額と販売額は20年のマイナス成長から脱却できる見通しだ。しかし、原材料価格の高騰によって産業全体の粗利益率が低下しており、さらに一部メーカーが台湾元高の影響で為替差損を出したことから、21年上半期の台湾当産業の景気は小幅成長にとどまると予測される。
2021年1〜4月、台湾当産業製品の販売額は大部分が成長し、うち「フォークリフト」の販売額の成長幅が最も大きかった。製造業の景気回復によって生産量が大幅増加し、工場のフォークリフトの需要が伸びたため、21年1〜4月の販売額は前年同期比23.26%増の7億6,800万台湾元となった。
台商のUターン投資増加によって台湾における生産規模が拡大したことに加えて、▽新型コロナウイルス感染症のクラスター感染の予防、▽外国人労働者の入国制限、▽台湾の人件費高騰などの要因によって、メーカーの自動化生産の導入意欲が高まった。このため、2021年1〜4月の「コンベア」の販売額は前年同期比10.68%増の19億2,600万台湾元となった。
「リフト、エスカレーター」は民間の大型建設工事が完工し、エレベーターの設置が進んだことから、2021年1〜4月の販売額は前年同期比4.07%増の37億8,400万台湾元となった。また、「その他運搬機械・部品」は産業全体の生産額が成長したことから、関連部品の需要が増加したため、21年1〜4月の販売額は同10.68%増の55億7,600万台湾元となった。
一方「クレーン」は、2021年に入って政府及び公営企業の固定資産投資額が20年より大きく減少したことに加えて、建築設備レンタル業者の売上高が減少して設備投資意欲が低下したこと、さらに輸出受注が大幅減少したことから、21年1〜4月の販売額は9億5,200万台湾元で、同33.02%減と大幅減少した。
二、2021年下半期の展望
2021年5月19日、台湾では新型コロナウイルスに対する防疫レベルがレベル3に引き上げられた。一部ハイテク産業の工場で外国人労働者のクラスター感染が発生したものの、製造業メーカーの工場は大部分が通常通りに稼働している。メーカーが労働者のクラスター感染を予防するため、自動化設備の導入を加速させていることから、需要は安定して成長する見込みだ。
また、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によって、電子商取引を利用する消費者が増加し、倉庫や物流などのサービスに対する需要が大きく伸びた。これに伴って▽コンベア、▽フォークリフト、▽無人搬送車(AGV)▽自動化倉庫システムの需要が成長している。さらに、台商のUターン投資及び台湾メーカーによる工場投資が増加しているため、2021年下半期の台湾当産業の内需は成長傾向を維持できる見通しだ。
海外市場については、世界経済の回復、米国のインフラ投資増加、中国の大規模な経済成長が台湾当産業の輸出拡大への追い風となっている。また、日本の運搬機械産業からの受注が増加したことから、日本市場への輸出需要が伸びた。このように、主要市場における需要増加によって、2021年下半期の台湾当産業の輸出額は成長するとみられる。
総合すると、海外及び内需市場はいずれも好調が続き、2021年下半期の台湾当産業の販売額は成長するが、原材料価格の高騰を受けてメーカーの粗利益率が低下し、産業の景気は小幅成長となるだろう。
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代表者:吉本康志
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